栖原学のレビュー一覧

  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    経済人類学の始祖カール・ポランニーの名前を知ったのは25年以上前、栗本慎一郎を通じてだが、その代表作である本書を読んだのはつい数年前のことである。労働、土地、貨幣という本来商品化に馴染まない生産要素の商品化が社会の存立基盤を掘り崩し、社会の自己防衛としての対抗運動を生み出す。それがファシズム、社会主義、ニューディールという三つの形態をとって表れた今世紀初頭までの歴史を描いている。

    市場経済へのこの三つの対抗運動はいずれも国家主導によるものである。資本主義の暴走に歯止めをかけ、社会を防衛できるのは最終的には国家しかないのだ。これはいかにも逆説的だ。なぜならポランニー自身が指摘するように、資本主

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    2023年12月29日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    歴史的名著だが、難しいです。
    でもなかなか面白い。19世紀の長い平和から一気に対立と混迷を深めていく20世紀以降の世界についての考察が明快で引きこまれる。

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    2023年07月03日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    星5つでも足りない、歴史的な名著。
    19世紀100年の平和がなぜ破られ、2つの破滅的な世界大戦が起きたのか。
    それはふたつの大転換によるのだとポランニーは言う。
    ひとつは産業革命と資本主義の運動により、これまで社会の中に埋め込まれてあくまで社会活動の一部であった経済が自立化し、本来商品として存在しているものではない労働、土地、貨幣が擬制商品として自己調整的市場原理に委ねられる(という大転換)ことになった。しかしそれは社会的な存在としての人間が耐えうるものではなく、そのムーブメントに対して人間を保護する動きが必然的に生じた。そのひとつが社会主義運動であり、いまひとつがファシズム(という第二の大転

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    2023年03月21日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    歴史的名著をようやく読み終わった。経済社会をとらえる視点が斬新かつ明晰で、現代文明を批判する視点は極めて貴重である。

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    2020年07月19日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    院生時代から積読本。やっと読んだ。
    市場と国家の関係について深い洞察がされている。
    また読みたい(∵難解だったので…)。

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    2015年05月26日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    大転換は、経済の大転換、経済学の大転換、環境問題の大転換のさまざまな意味がある。
    ポランニーは、社会経済学の先駆けで、玉野井芳郎が取り上げてきた。

    槌田敦の資源経済学とともに、エントロピー学会の理論的な源泉の一つ。

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    2011年12月25日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    ネタバレ

    現代資本主義がどのように生まれてきたかを述べる、ポラニーの大著。
    A・スミスなど古典派は、「人間には交換性向がある」としたが、ポラニーは未開人の「互酬・再配分・家政」などの文化から、人間の交換性向は、後付に依るものだと結論づける。

    ポラニーはマルクスの唯物史観を一定程度評価しているようだが、マルクスが分析したイギリス資本主義でさえ、一定程度の社会保障が存在したことは、ポラニー曰く「分析されていない。」とする。エリザベス救貧法に代表される、貧民への給付である。これは自由主義者などから批判はされつつも、存続した。資本主義はつねに単独で存在するわけではなく、社会との密接な関連の中で生まれていた

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    2011年07月25日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    本書は、「19世紀に全盛となった市場経済というひとつの特殊な経済システムのもつ社会的な意味をあきらかにすること」(マッキーバー) にある。その結論は、近代の市場経済的資本主義は、人間の本源的要素である土地・労働・貨幣を商品にすることによって、市場に従属させた。それは、人間関係を解体し、自然を破滅させるものであった。今日の市場主義をすでに半世紀前に批判していた書    

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    2009年10月13日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    新訳、ですって。はたして、それに価値があるものなのかどうか?栗本慎一郎にそそのかされて、経済人類学なるものに手を染めたのは、若気の至りというのは、少し言い過ぎかもしれませんが、結局は経済学なんて無能で、何の役にも立たないんだと諦観してしまったのは、あまりにも性急だったかもしれません。マルクス主義経済学とケインズ経済学という相容れないものに惹かれて・・・・その両方でも片付かない現代の問題は、いったいどうするのだという問いに誰も答えてくれないで、ただ誤魔化している情況の時に、ポラニーの語り口は魅力的でしたが、切り口は面白くてワクワクしたものでしたけれど、実際にはあまり役に立った覚えはありません。そ

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    2011年07月19日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    東洋経済新報社 カールポラニー 「 大転換 」

    自由主義経済(市場主義経済)を批判した国際経済学の本。訳者の解説や註解も充実しているが、かなり重厚な本

    自由主義経済により、人間が市場により処理され、環境が破壊され、貨幣不足から企業が清算し、人間と社会が破壊されるという論調


    自由主義経済により、経済のなかに社会が取り込まれている現実を見ており、人間や社会は自由を喪失していることを 批判している


    著者の結論は、政治主導や計画経済を道具として使うことを 複合社会における自由としたもの。人間の自由が確保された社会のなかに経済を機能させるということだと思う



    「十九世紀文明は崩壊し

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    2024年01月03日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    本書は近現代に至るまでの自由市場を批評した政治経済学本である(但し、ここで言う政治経済学は、経済学の中の一分野である政治経済学ではなく、政治と経済を論じる学問という意味での政治経済学である)。たくさんの歴史的な実証から、筆者は自由市場というものを批判している。
    結構知らない事だらけだったので概ね楽しく読めた。しかしながら、欲を言えば、(本書の趣旨ではないのかもしれないが)自由市場のもたらした良い面などについてもしっかり評価した上で、自由市場がなぜダメなのかを論じてほしかったと思ったりもする。

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    2013年09月23日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    ネタバレ

    この時期読み返してみました。

    本書は、19世紀文明(自己調整的市場を母体にバランス・オブ・パワー・システム、国際金本位制、自由主義国家)の誕生とその興隆、そして20世紀前半におけるその滅亡の物語です。
    ボリューム/お値段とも半端では有りませんが、内容は「目からウロコ」、編集は「良」です。

    【「目からウロコのご紹介】
    ○滅亡の原因を「自己調整市場」という考え方がまったくの「ユートピア」であったとしている。
    ○自己調整市場の制度は、社会の人間的存在と自然的実在を壊滅させること無しには一瞬たりとも存在せず、「経済人」に依拠する人為的な社会は、19世紀のイギリスが生んだ突然変異であるとしている。

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    2013年02月13日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    グローバル化とともに拡大する自由。しかし、自由の拡大に見合うだけの幸福感を手に入れているか。実感としてはいつも余裕なく急き立。てられ、人と人の関係もぱさぱさな殺伐とした味気ないものになりつつある。

    カールポラニーは、共同体の牧歌的結びつきを解体していく市場経済を「悪魔のひき臼」(イギリス詩人ウィリアム・ブレイクの言葉を引用)と呼んだ。

    そしれ、われわれにとってのもうひとつの大きな重圧、猛烈に速い「変化のスピード」。市場のスピードにあわせて、組織も人間も変化することを求められる。それでいて、人は「不動の価値」を求める、愛や宗教・・・。変化を求めながら、変化しないものを求める・・というそう反す

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    2012年07月25日
  • [新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊

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    ●未読
    「週刊東洋経済2009.07.25号」ブックレビューで紹介

    市場は社会に何をしたのか?
    自己調整的市場のユートピア性と破壊性を文明史的に解き明かした政治経済学のモニュメント!
    待望の新訳完成。

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    2009年10月04日