YouTube番組「ReHacQ」の高橋弘樹による、その番組を書き出した〝二毛作“的な書籍。というと聞こえは悪いが、こうしたやり方には賛成。特に後藤達也氏は、高橋氏のテレ東退職に責任を感じ、一時は出演料はノーギャラで良いよと言っていた記憶がある(私は割と動画を見ている。最近飽きてきたが)。
それが本当なら、後藤氏に少しは還元を。まあ、そんな事情は読者には無関係だが、そういう背景はなくとも、後藤氏の経済ニュースは分かりやすさに定評があるので、一読の価値あり。
…と、そうなんだけど、やはり動画で一回見ている内容もあるし、活字にすると案外薄くてダラっと流してしまった。
この後藤氏、公平で的確で、危うい説明をしない人。聞き上手でもある。だが、クセが無さすぎて動画ではバエない。だが日経新聞から独立して色々チャレンジする位には、内に秘めたものがあるはずで、いつか踏み外した個性も見てみたい気がする。
以下は一部、こんな感じの情報本。
ー 日銀が2%の物価目標を掲げて、それを実現するよう金融緩和を進めれば日本経済は良くなるはずだ、という議論が世の中に生まれてしまった。日銀としては、「物価の安定に努めるし金融緩和もするが、2%の物価目標を掲げることで魔法のように経済が良くなるわけでもない」ということを国民にわかってもらいたかったわけです。それでも物価目標を求める論調は収まらないので、そういうせめぎ合いの中で日銀自身、物価の安定の定義を巡り試行錯誤しながら変わっていったんです。
ー また、アメリカでは年金法だけじゃなくて「ケアティカー」という認知症など病を患った場合、面倒を見る人がいます。そのケアテイカーの人たちが認知症になった老人のお金を管理するんですけど、これもERISA法と同じように、マーケット全体のリターンと同等かそれ以上を目指さなければいけないとしっかりと定められているんです。そのため、ケアテイカーの人がそのお金をすべて預金に回してしまったら違反なんです。ちゃんと株やETFを持って運用しないとルール違反になるわけです。そういったナチュラルバイヤーが数多くいるので、株価はそんなに下がらないんですよ。一方、日本の場合、認知症の人、あるいはそろそろ相続が起きそうな人がいる場合、信託銀行は「とにかく株を売って現金にしておきましょう」と促す傾向にあります。