鈴木真弥のレビュー一覧
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インドのカースト、特に不可触民である"ダリト"について被差別運動、政府の動き、食事・結婚・教育など様々な場面において解説されている。ぱっと見ではカーストが存在することは分からないが、人々(特に上の世代)の意識の根底に明らかに存在し、新しい世代がそれを変えようとする動きもある。ルワンダのフツ・ツチや日本のえた・ひにんと似た要素を感じた。
インド政府が「指定カースト」を作り、障害者など脆弱な立場にいる国民を分類し、それぞれに補助や支援を行っている。でもそれを受けると図らずもアウティングに繋がり、また自覚や自認が必要になり社会からは差別を受けるなど、LGBTQの問題にもつながる話 -
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インドのカーストのことはぼんやりとしか知らなかった。
現代ではダリトと称される「不可触民」は、日本の被差別部落の問題と似ていると思っていたが、この一冊を通してその根深さを知った。
「カーストは過去のものだ」と口では言ったとしても、自分より下のカーストの人が作ったものは食べない、という行動が本心を語ってしまう場面もあるそうだ。
海外へ移住しても同じカーストでコミュニティが形成されることには驚いた。
大学入試や採用試験等でダリトカーストの優先枠を利用して、高学歴、エリートになる若年層もいるが、自分の出身カーストを隠して生活する等、葛藤は絶えない様子。
日本にもインド人が多く住む地域があるけれど -
Posted by ブクログ
ネタバレインドの日記をまとめていたところに見かけてしまったのでついついジャケ買いしてしまった。
中公新書、たまにタイトルが強気すぎて、中身がちょい詐欺な感じになってるものもある印象だが、これはしっかりとカーストとは何かについて書いていた。
むしろ想定以上に書いてあり、読む前の「カーストって何だろう?」が、読んだあとに「カーストとは一体…」という強い疑問に進化してしまったほど。
カースト、仕組みや成り立ちとしては士農工商穢多非人に近いイメージだが、そのカーストに生まれた者は能力関係なくずっとその職業にしかつけないというのが違う。とはいえ、日本のもそうそう入れ替わったりしなかったような。日本の差別は穢多 -
Posted by ブクログ
中公新書の本は読書中に集中力を必要とし、かつ、難解な内容を理解するための知能が求められることから、はっきり言ってしまうと、非常に読みづらい(本に問題があるのではなく、読み手の問題)そんななか、本書を手に取った理由は2つ。直近で初めてインド旅行に行っており、タイトルを見た時に必然の如く、関心を持てたこと。二つ目が近年の読書が小説やビジネス書など、(集中力と知能を必要としない)非常に読みやすい読書をしていたことを省みたためである。結果的に今読み終えて感じたことは思いの外、スラスラと読めたという印象である。すなわち、「中公新書は難しそう…」というイメージが「読まずぎらい」を引き起こしていたと感じる。
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Posted by ブクログ
Chinaを抑える自由主義陣営の星、インド。
だと思ってたが、ひでえもんだ。
カースト制って、確かに学校で習ったことはあるし、あれ、歴史だったのかなんかちゃんと覚えてはおらんが、現代インドに引きずってる話なんや。
カースト、4つあったがその外に不可触民がある。
日本にも士農工商の外にアレがあったが、それがもう社会に組み込まれている。
歴史的宗教的な問題はあるが、「指定カースト」として公的に固定されて、それが社会的優遇のパスポートになっているらしくて。
文化も何もかも違ってる社会に向かって何の評価もするべきではないだろうが、簡単に「自由主義陣営」と言えない難しさを感じた。