【感想・ネタバレ】カーストとは何か インド「不可触民」の実像のレビュー

あらすじ

インドに根付く社会的な身分制=カースト。数千年の歴史のなかで形成され、結婚・食事・職業など生まれから規制し、今なお影響を与え続ける。カースト問題には、「不浄」とされ蔑視が続く最底辺の不可触民=ダリトへの差別がある。政府は2億人に及ぶダリトを支援する施策を打つが、その慣習は消えず、移民した世界各国でも問題化している。本書はインドに重くのしかかるカーストについて、歴史から現状まで、具体的な事例を通し描く。

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Posted by ブクログ

カースト制について勉強するのは中学生以来? 昔学んだ内容とは随分異なる印象。ガンディーさんの事績に対する印象もしかり。カースト制のような現代的には悪弊をいつまでも解消できないのは切ない限り。人種差別や宗教対立も同じ根っこ。人類はいつまで誰かを踏み台にしなければ、幸福を獲得できないのだろうか。

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

インドのカースト、特に不可触民である"ダリト"について被差別運動、政府の動き、食事・結婚・教育など様々な場面において解説されている。ぱっと見ではカーストが存在することは分からないが、人々(特に上の世代)の意識の根底に明らかに存在し、新しい世代がそれを変えようとする動きもある。ルワンダのフツ・ツチや日本のえた・ひにんと似た要素を感じた。
インド政府が「指定カースト」を作り、障害者など脆弱な立場にいる国民を分類し、それぞれに補助や支援を行っている。でもそれを受けると図らずもアウティングに繋がり、また自覚や自認が必要になり社会からは差別を受けるなど、LGBTQの問題にもつながる話だと感じた。

このように、「差別」を受ける対象となるカテゴリーの人は決して他人事ではない問題だと感じた。互いに参考になると同時に、「汚い」「醜い」「野蛮」「低レベル」などの悪いイメージが存在する差別は払拭が難しく根本的解決に繋がらないと改めて認識した。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

インドのカーストのことはぼんやりとしか知らなかった。
現代ではダリトと称される「不可触民」は、日本の被差別部落の問題と似ていると思っていたが、この一冊を通してその根深さを知った。

「カーストは過去のものだ」と口では言ったとしても、自分より下のカーストの人が作ったものは食べない、という行動が本心を語ってしまう場面もあるそうだ。
海外へ移住しても同じカーストでコミュニティが形成されることには驚いた。
大学入試や採用試験等でダリトカーストの優先枠を利用して、高学歴、エリートになる若年層もいるが、自分の出身カーストを隠して生活する等、葛藤は絶えない様子。

日本にもインド人が多く住む地域があるけれども、その中でもカーストが意識されているのだろうか。気になる。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

とても勉強になったし、よく練られた本だと思います。
自分の関心からは第4章「インド社会が垣間見られるとき」と第5章「世界で姿が見えるとき」が特に関心を覚えました。

•においと差別(清掃カーストについて考える上でも重要)
•カーストと暴力(特にダリトの複合的圧力)
•「被害者」ではなく、「抵抗者」としてのダリト(これは他の社会運動論にも通じる話)

以上について、特に考えさせられました。

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2025年01月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オトラジシリーズ。
今週(1/2)特集されるから楽しみ。
インドのカーストについて、改めて自分の無知さを思い知らされる。
序章に出てくるラージクマーリーさんの言葉が胸に刺さった。
ダリトの方達の置かれる状況を一部でも知ることができた。
出自で判断されてしまうこと、自分自信のカーストを隠すこと、生まれながらにして自分を偽らなければならないこと。
日々、自分や他者を欺き続けなければ生きられない環境に思いを馳せる。

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2024年12月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

インドの日記をまとめていたところに見かけてしまったのでついついジャケ買いしてしまった。
中公新書、たまにタイトルが強気すぎて、中身がちょい詐欺な感じになってるものもある印象だが、これはしっかりとカーストとは何かについて書いていた。
むしろ想定以上に書いてあり、読む前の「カーストって何だろう?」が、読んだあとに「カーストとは一体…」という強い疑問に進化してしまったほど。

カースト、仕組みや成り立ちとしては士農工商穢多非人に近いイメージだが、そのカーストに生まれた者は能力関係なくずっとその職業にしかつけないというのが違う。とはいえ、日本のもそうそう入れ替わったりしなかったような。日本の差別は穢多非人があってしまうが、さすがに現代にはおおっぴらには残っていない。それが、インドではとても普通に残っている。
実際、自分がインドに行ったときも、清掃カーストというのか掃除のおじさんおばさんが異常に多かった印象。彼ら彼女らが転職できないのかどうかは知らないし、現地の人においそれと聞けないのでわからなかったが。
カーストのランクそのものより、仕事の範囲がものすごく厳密に決まっているため、自分の担当範囲外は意地でも仕事をしない、という印象が強かった。

ただ、特に最近は差別やマイノリティなどの問題に対して世間が熱くなっていることや、ネットの力で個人の声を広めやすくなったこともあり、かなり変化に加速がついている感じがする。それでも大きな変化が出るまではあと数世代かかりそうというのが国内の人々の感覚らしい。

死に関わる仕事である葬儀や死体処理、皮剥ぎ、そして掃除などの不衛生な仕事はカーストが低く、給料も低い。そして上位カーストの人たちはその下位カーストと一緒に食事をしなかったり、触れるのも避けるみたいなルールがある。これらはそもそもトイレや下水道などの不衛生なものが、技術進歩の恩恵を受けないままでマジで不衛生だったことが原因のよう。
人間が汚れを避けるのはある意味本能ではあるし、下手にそこだけを差別しちゃだめだよ、と厳しいルールをつけたりすると、それこそ伝染病の蔓延につながったりしてしまうのでは、だからある意味差別、というのは言葉が強いが、接触を避けるのは仕方ないんじゃないかな、と思ってしまう。
まあ、そこは政府もわかっているようで、水洗トイレの整備などを進めている様子。まあ、まだだいぶ時間がかかるだろうけど…

ただ、別にカースト=不衛生な仕事とかではなく、政府が公式に決めた「指定カースト」という仕組みでは他にも仕事がある。更にカーストによっては優遇措置があるとのこと。でも、そのためには自分のカーストを公表しなきゃならないという問題もあるようで、なかなか大変そうだ… 自分のカーストを秘密にしたまま大学に行ったりしている人たちもいるみたいだし。
でも… 政府が公式にカーストの存在をしっかり決めてしまったというのがなかなかややこしいように思えた。こういうのは下手に決まりを作ってしまうと、ルール外の問題が出たりして大変な印象がある…

本を読む前に知っていたインドの偉人はガンディーだけだったが、同じくらい、いや、今ではそれ以上に信仰に近い尊敬をされているのがアンベードカルという政治家らしい。
ガンディーは不可触民解放運動をしているから、とにかく同じ権利にしろ、という意見なのかと思ったら、差別意識を取り除くのは必要だが、政治的権利を与える必要はない、という主張だった。そこを、アンベードカルはちゃんとみんな政治的権利を持たなければならない、という意見。単純に見れば確かにアンベードカルの考えが妥当に思える。

…が、p83にもあった、「マイノリティが自治および独自の政治的権利を強く要求した場合、分離主義に至る。」というのを知ると、ガンディーが慎重に行きたかったのも理解できてしまう。この仕組みでイスラム教徒によるパキスタン建国が起きたようなので、そういうのを避けたかったということか?

IT業務はカーストが関係ないからどんな生まれでも仕事につけるという、自分がインドで仕入れた知識はこの本では語られていなかった。実際どうなんだろう。この本を読むと、やっぱり出自はずっとつきまとってくるように思えるが…

今のところはカースト問題を解決するよりも、海外に行って活躍するのが楽(ただし海外に行っても結局インドコミュニティができてしまい、その中でカースト問題が再燃している模様)に見えるなぁ。と言っても、海外に行ける人なんてものすごく限られてるか… でも昔に比べればマシなのか?うーむ、やっぱり難しい。下手に口を出せないな… でも、下手に口を出せないな、とわかっただけでも大事!

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2024年04月16日

Posted by ブクログ

中公新書の本は読書中に集中力を必要とし、かつ、難解な内容を理解するための知能が求められることから、はっきり言ってしまうと、非常に読みづらい(本に問題があるのではなく、読み手の問題)そんななか、本書を手に取った理由は2つ。直近で初めてインド旅行に行っており、タイトルを見た時に必然の如く、関心を持てたこと。二つ目が近年の読書が小説やビジネス書など、(集中力と知能を必要としない)非常に読みやすい読書をしていたことを省みたためである。結果的に今読み終えて感じたことは思いの外、スラスラと読めたという印象である。すなわち、「中公新書は難しそう…」というイメージが「読まずぎらい」を引き起こしていたと感じる。今後も「読みづらい本」を積極的に手に取り、脳に負荷をかけ、「考える力」「判断力」を養いたい。

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2025年06月12日

Posted by ブクログ

差別のない世界はない。宗教・人種・民族あらゆることが差別のもとになる。「隣の芝生は青く見える」的発想は逆説的に差別を生む。

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2024年03月24日

Posted by ブクログ

Chinaを抑える自由主義陣営の星、インド。

だと思ってたが、ひでえもんだ。
カースト制って、確かに学校で習ったことはあるし、あれ、歴史だったのかなんかちゃんと覚えてはおらんが、現代インドに引きずってる話なんや。

カースト、4つあったがその外に不可触民がある。

日本にも士農工商の外にアレがあったが、それがもう社会に組み込まれている。
歴史的宗教的な問題はあるが、「指定カースト」として公的に固定されて、それが社会的優遇のパスポートになっているらしくて。

文化も何もかも違ってる社会に向かって何の評価もするべきではないだろうが、簡単に「自由主義陣営」と言えない難しさを感じた。

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2025年05月26日

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