吉川祐介のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
苗場をメインとした10万円で売りに出されているリゾート物件の現状を取材した本。
作者も書いているが、印税だけだと取材費で足が出るほど調べている内容であり、さらっと「XXの事例はこれ以外に見つからなかった」「この事例は珍しいことにXXとなっている」などと書かれた1行の裏には何十時間の手間がかかっているのだろうかと恐ろしくなる。
丁寧な取材がされているがために、バブルリゾートを始めとした負動産問題の解決は難しいことが分かる。
少しでも利益を出そうとせず、手出しでお金を出してでも引き取ってもらうのが想定正解という、おもんないけど現実的な結果が思い知らされる。 -
Posted by ブクログ
著者のYouTubeチャンネルとも被る内容も多いが、改めて書籍で読んでも面白い。
一読して印象深かったのは↓
都市の収縮は必ずしも都市の外側から進むとは限らず、虫食い状に都市が衰退、空洞化していく都市のスポンジ化現象
→当たり前だけど、都市部に住んでいるからといって、今の住環境が変化しない保証はないことを認識しました。
日本人の新築信仰は、住宅が生活スタイルやインフラ変化に追いついていないため、満足できる設備を求めると新築を求めることになる
→中古物件をうまく再利用できればよいと思うけど、例えば、浴室乾燥機とかコンセントの数の問題とか、今の生活スタイルを充足する中古物件はそう多くなさそう。リフォーム、リノベーションにお金をかけるなら新築の方がいい…という発想になるのは納得。 -
Posted by ブクログ
バブルリゾートの問題の個々の事例を取り上げて解説しているから内容が濃いし細かいのでちょっと途中から流し読みになってしまった。
でも勉強になった。リゾートといっても、リゾートマンションの買取だったりホテルの権利だったりリゾート会員権だったり、不動産投資の方法にもバリエーションがあるし、その土地の利便性によっても分かれ道があって、手離せない理由もそれぞれ。つくづく投資をすると言うのはその分野に長けていて出口侵略まで想像できるレベルじゃないと難しいなぁと素人目線で思った。
印象に残ったのは、区分所有型ホテルの「スポーリア湯沢」の事例。開業当初から経営が赤字続き、管理会社とオーナーのトラブルなど他のリゾート問題と似たような問題を抱えている。違うのは現在のオーナー会理事長のBさんが元の運営会社の社員でありこの物件の販売に関わっていたそうで、より内側からの話が語られていることと、Bさんがこの問題に対して現実的な行動しているということ。Bさんが語ったところによると元支配人が湯沢を盛り上げようと自分の資産を持ち出ししながら奮闘していたそう。現在、Bさん自身も責任を感じて区分所有権を約4分の1所有し、さらにBさんに近しい関係であるオーナーが4分の1を所有していて、全区分所有権の過半数を保有していることになると言う。これにより区分所有建物の命運を決定する合意形成が可能になる。こういうやり方もあるのかと。
スポーリア湯沢の話を通じて、このリゾート問題に関して社会問題のひとつという認識だけではなく、そこに関わってきた人たちがいてそれぞれに意志や生活があると言うことが感じられた。起こった事実を、社会問題としての功罪はもちろんだけどもっと生々しく身近にあるものだと意識していくことで、社会問題への取り組みが変わっていくのかもしれない。
・一般的に分譲マンションは、ローンの返済が滞ったり、あるいは税金の滞納などによって差し押さえが行われ、競売や公売が行われたりする。その際,管理費の未納分は新たな落札者が弁済・生産するのが通例。
・湯沢は豪雪地帯でほとんどのマンションにはバルコニーなくエアコン置けない
・売主がお金を払わなければ手放すこともできない負動産の負担感につけこんだ悪徳商法(処分手数料のほか、数年分の管理費や修繕積立金なども同時に請求され、時には100万単位の金額を要することも)
・解体費用は坪200万〜399万はゆうにかかる。一方、都心部と異なり新潟市内ではよほどの一等地でも坪200万を超えるような立地はまずない。場合によっては坪50万円を超えれば御の字(p102)
・リゾマはわずかな居住者が快適性に問題を抱えていても、大半がそこに住んでいないのでお金を払って解決しようという機運が生まれにくい。 -
Posted by ブクログ
自ら千葉県横芝光町の「限界分譲地」に住む筆者が、限界分譲地の成り立ち、現状、将来について分析、解説する。
副題に「繰り返される野放図な商法と開発秘話」とあり、表紙裏の内容紹介にも編集者による如何にも出版元らしい大上段からの大げさな文言が書かれているが、中身を読んでみれば、筆者自身が「結局僕は一体誰に向けて問題提起をしているのか、自分でもわからなくなる時がある」と書いているように、敢えて付け加えるなら「一体誰に対して「何を」問題提起しているのか」筆者の問題意識もあいまいで、書かれている内容に誤りはなく分析も妥当だと思うが、大半の読者にとっては同じような事例が全国各地に起きつつあるのだな、という以上のものではないように思う。
備忘のためにまとめると、高度経済成長期に居住する意図もないまま値上がりを見込んで開発・購入された(比較的都会に近い)分譲地が住み手のいないまま放置され、多くは所有者も不明な荒れ地となっており、(遠隔地に住む)所有者がいても、固定資産税や草刈り代などの維持費がかさむ中、0円で手放そうとしても買い手がおらず、売却サポートを騙る詐欺行為のターゲットにもなっている。
昨今、さまざまな要因から限界分譲地に建つ中古住宅(建物のない空き地=更地も多い)への需要が増しつつあるが、交通、教育、購買、水道、行政などの脆弱な生活インフラに変わりなく、今後に明るい展望は見えない。 -
Posted by ブクログ
「限界ニュータウン」のブログを発信し続けている著者。
1970年代くらいから、郊外の土地がおそらく無計画で投機目的で購入され、塩漬けになっている現状。限界、という言葉から山奥とかな気がするのだけど、実のところ筆者は千葉県の北部、距離的には「都心」から然程でもない場所を中心に考察している。
まあ、売る方も買う方も、前後の検討なく、一時の金に踊らされたって感じ。原野商法という言葉は、若い人たちはあまり聞いたこともないだろう。
投機ってことは、値上がりしたところで売って儲けるというつもりだったのだろうが、このご時世ではそれも難しい一方で、如何にもこうにもただ塩漬け状態が続くところと、それでも新しい需要に応え出しているところがある。この先どうなっていくか明朗ではないが、ただ、その先にあるのは、「荒廃」ではないかと。
惜しむらくは筆者が「素人」丸出しで、文章も読ませないし考察も十分かと言えばそうとは思えないが、実際に「郊外」を歩いてみれば筆者の言葉は納得できるだろう。
住めないのよ。
少なくとも、徒歩圏内に商業施設と、医療機関と、教育機関がなければ、生活できない。
若い時はいいだろうが、歳取ってきたらと考えると、住めない。
「集落」として、そのエリアで生活が完結もできないのであれば、公共機関がなければ、何もできない。
昔ながらの農村の一角に、おそらく、個人の土地を分割した綺麗な住宅が数軒並ぶ光景はよく見るんだが、せめて近くにコンビニの一軒でもあればと思うのだけど。
地元の商店なんか殆ど看板朽ちてる状態だし。
人口減少中の日本で、それでも大都市にはタワマンなんかがバンバン出来てる状況で、どーなるんだろうと思う。