あらすじ
・アクセス難で苗場のマンションが10万円
・40平米の1Rマンションを見ず知らずの10人で所有
・リゾートホテルの建物が1250分割、ワンフロアが200分割――権利が切り刻まれて身動きが取れない不動産
・東京都湯沢町、バブル期にマンションを建てまくったデベロッパーも多くが倒産、解散
・もはや地面の切れ端…14平米に満たない狭小地で分割され販売された別荘タウン
・権利分割して建てられていたホテルが今や有名な廃墟スポットに
・解体費用は、地方自治体…? 地元の巨大なリスクに
あまりに度を越した濫用が横行したために、今となってはその乱売された「権利」が、購入者にとってなんらの価値も生み出さないどころか、ただ義務と責任ばかり発生するお荷物と化している。電気、水道といった施設の利用に必要なインフラはすべて止められ、一切の修繕が行われない建物は老朽化するばかりだ。当の所有者本人ですら利用が不可能な状況に陥っているのに、他者の権利に阻まれ、解体もできなければ売却もかなわない。なんの解決策も取られないまま、ただ毎年固定資産税が課税され続けている。こんな理不尽な話があるだろうか。(本文より)
1970年代、都心の土地価格の高騰に伴い、ターゲットにされた新潟県湯沢町。バブル期のスキーブームもあり、多くのリゾートマンションや会員制ホテルが建設された。今なおきちんと管理され、人々の生活を潤すマンションがある一方で、大幅に価格が低下したり、法律の濫用により身動きが取れなくなった施設が存在している。千葉県北東部の「限界ニュータウン」に住み、不動産問題を調査報道する著者が、リゾート物件の現状を伝える。
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Posted by ブクログ
区分所有型ホテルという形態を初めて知った。ホテルの区分所有者として運営事業者から賃料を徴収するが、ホテル事業が廃業すれば、物件の解体も全持分者の合意が取れずに解体できなくなる上に、賃料も取れないまま固定資産税だけが発生する仕組みである。不動産に対する絶大な信頼があったバブル期に多く生み出された形態ではあるが、買い手の理解が不十分なまま社会に出回ってしまったものであると言える。越後湯沢の苗場周辺の会員制リゾート施設も、同じように解体もできず、管理費も払われないまま施設だけが老いていく状態にある。身近な事例から不動産を考える機会となった。
Posted by ブクログ
バブルの遺産でもある、リゾートマンションの現在をいろいろと紹介しています。大半は廃墟同然な例が多いですが、稀になんとか持ち直しているケースも紹介されてます。リゾートマンションという事で、生活必需品ではない、贅沢品というのもあって、あまり大きな問題にもなりにくいです。