川出正樹のレビュー一覧
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卓抜した編纂のもと選び抜かれたラインナップと、現代性を反映したブック・デザイン――日本の翻訳ミステリ叢書は、戦後国内で勃興したミステリ・ブームの一翼を担った。植草甚一の編纂と花森安治の装釘による【クライム・クラブ】や瀬戸川猛資の編纂による【シリーズ 百年の物語】など、綺羅星のごとき光芒を残す数多の叢書は、日本推理小説史にどのような光跡を描いたか。書斎の迷宮に眠る叢書という小宇宙が、著者独自の調査を経てここに全貌をあらわす。翻訳ミステリのブックガイドであり、戦後から現代に至る翻訳ミステリ叢書の研究であり、果ては戦後日本における翻訳ミステリの受容史を概観する画期的大著。
後半、特に冒険小説と瀬戸 -
Posted by ブクログ
これは翻訳ミステリ好きにとっては素晴らしいプレゼント。戦後に編纂された百近い翻訳ミステリ叢書群の中から、編者の意図が強くうかがえる、方向性が明確なもの、つまり個性豊かなシリーズについて、その魅力を掘り下げて語ろうとするものである。
もともとは雑誌「ミステリーズ!」に連載されたものなのだが、単行本化に際して各叢書の発刊順に並べ替えられたとのことなので、翻訳ミステリの刊行・受容の歴史、その時代的なものが、より明確にうかがえるようになったと思われる。
編纂者やセレクションに携わった人たちとその編集意図、シリーズ全体の性格等を明らかにしつつ、収録作品のリストを付け、個々の作品の面白さ(特に今読