沖恭一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
むずかしい!60年代のヒーローブームが終焉を迎え、アメリカからヒーローの存在が失われつつある頃、ベトナム戦争にも参加した政府公認のヒーロー「コメディアン」が殺された。しめやかに行われる葬式、露見する新事実、次々と消えるヒーローたち、その真相にひとり立ち向かう精神異常者のヒーロー「ロールシャッハ」。事件はアメリカ全土、そして冷戦世界全体を巻き込むスケールに、静かに拡大していた。舞台はヒーローコミックが存在するアメリカ。コミックの中のヒーローに憧れて、実際にマスクをかぶってヒーローを行う、ただ運動神経がいいだけの男たちが物語の主役。作品内のヒーローの引退後の暴露本「Under the Hood」、ストーリーと同時進行する「黒い船」というコミック、ヒーローの中に本当の超人「Drマンハッタン」の時空を超え、過去から未来まで横断する回想など、いくつものメタ構造がしこまれ、それらが少しずつリンクしていく。最後は怒涛、そして悲壮なラストになだれ込む。こんだけ書いといてあれだけど、私は最後のオチが結局完全にはわかんなかった。いちおう仮説はあるけど、確信を持てない。面白かったけど疲れたなー。ヒーローものは肩肘はらず読みたいのがホンネ。
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Posted by ブクログ
ヒーローものといっても一人を除けばただの人間に過ぎない。彼らは自警団のような形で世の犯罪と戦う者達だった。
しかし、超越的な力を備えたある一人ヒーローが誕生することで世界の有り様は一変する。
アメリカ軍人でもあった彼は冷戦時代の米ソの軍事バランスを一変してしまったのだ。
そしてアメリカはベトナム戦争でもそのヒーローの力により勝利を収めニクソン政権は1985年の今も健在。
だが、軍事的優位にたつアメリカはソ連に対し傲慢になりやがてそれはソ連の自棄な核増産を生み、全面核戦争の危機が叫ばれるようになった。
また、自警団として活動していたヒーローの存在はかえってギャングなどによる自警と称しての暴力を誘発させ、警察の権威も衰える結果となりあげくストライキも頻発。
そこで議会は私的な自警行為を禁ずる法律を制定させるに至る。そしてヒーローの大半は引退し姿を消していった・・・そんな世界の話。
物語はヒーローの一人が何者かに殺される場面から始まる。ヒーロー狩りか?一体何者の仕業か?法律に反しながらも未だにヒーロー活動を続けるロールシャッハは事件の真相を暴くべく調査に乗り出すのだが・・・。
現実にヒーローというものが存在したら社会は結局どうなるのだろうということをまずは示してみた作品。
特にDR.マンハッタンと呼ばれるヒーローは核実験により体が原子に還元されてしまったものの精神は生き残っており自ら体を再構築することに成功。以後原子を操れるスーパーヒーローとしてアメリカの国防、科学技術に多大なる貢献を果たすことになる。
終盤事件の真相が近づくにつれ正義とは何か、人類全体としての世界の平和を守るための正義とは何かという問いかけになってくる。
あくまで冷戦時代に核戦争の危険が迫った場合という前提条件がつくけれど、一つの解答ではあるかもしれない。