大崎遥花のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
クチキゴキブリは、卵胎生、そして両親揃っての子育てという珍しい習性をもつ。しかも、つがいになったオスとメスは交尾の前後に互いの翅を食べ尽くす。飛べなくなってしまうのに、しかもさほど栄養にもならないのに、なんでそんなことをするのか? 著者はこの疑問に挑む。フィールドワークから実験、プレゼンや論文執筆まで、その研究のプロセスがおもしろい。
動物行動の研究の成否は、次のことに尽きる。どんな動物にするか、どんな行動にするか。加えて、どんな先生に指導を仰ぐか。本書には、通販でマダガスカルゴキブリを買ってくれた中学の先生、フィールドワークの旅費にポケットマネーを出してくれた指導教員、そしてあれこれアドバイ -
Posted by ブクログ
栃木県民で、手のひらでモゾモゾ動く虫が好きだったあの大崎さんが、「Dr. 大崎」になるとは・・・家族でもでも何でもないけど感動でうれし涙です、よかったです。
この本の主人公は、著者の大崎さんです。おもに、大学4年に生態科学研究室に所属して卒業研究を始めるところから、博士課程卒業までのおはなしです。
読みはじめると文章が、「虫好き理系の宝塚男役」のひとが書いたかのようで、シャープでかっこよく、初々しいです。
タイトルには「ゴキブリ」とありますが、かれらは脇役です。タイトルにわたしが補足するならこんな感じ、( )内が補足文です。
「(クチキ)ゴキブリ(を研究している)・(大崎さんの)マイ -
Posted by ブクログ
研究職にもゴキブリにも明るくないけれど、少しイメージと見方が変わった気がする。とてもじゃないけど混んでる電車で読めるものではなかった笑 どデカいゴキブリの挿絵に隣のおじさんがギョッとしてました。ごめんねおじさん。
基本シャープでユーモアがあり、読み物としても楽しめる文体でありながら、たまに差し込まれる高い熱量にグッとくるものがあった。好奇心が燃料。どうかそのままでいて欲しいと願ってしまった。時折、筆者のドヤ顔が想像できるようでふふっと笑ってしまったり。
結局のところなぜ翅を食べ合うのだろうか。哲学的でもありどこか神秘的な問い、研究の続きが気になります。頑張れ大崎さんーー!
(星-1は、シンプ -
Posted by ブクログ
ネタバレクチキゴキブリの後尾相手の翅を食い合うという習性を研究している研究者の本。
大学の博士課程を卒業し現在はポスドクとしてアメリカで研究をしている。
大学での研究過程や博士課程の誤解について説明したり、学会や研究者同士のつながり、教員とのやりとりが丁寧に記されている本でした。同じ理系学生としてとても面白かった。
自分の専攻は数学だが、確かに数学の研究も似たようなものなのだろうなーと同時に数学にはないフィールドワークとか、他の研究室の見学だとかはとても羨ましくなった。
修士課程、博士過程に進まなかったことをほんの少し後悔している自分的にはその後悔が掘り起こされ、とても羨ましくなった本でもありました -
Posted by ブクログ
ネタバレクチキゴキブリ研究という天職ともいえる対象にめぐりあった若き研究者が、その対象への愛と、研究生活の日々をつづったお気楽なエッセイ。
オス・メスが互いに相手の翅を食べ合い、子育てを共に行い、一生添い遂げる。その行動の謎を追った研究成果ではあるが、第10章に「研究者という生き物」と題されているように、全般に、研究者というものが、どのように研究対象と出会い、研究を進め、関連学会で知己を得、論文を発表し、己の研究がいかに学術的価値があるかを世に認めてもらうために、日々、足掻き続ける様を、面白おかしく綴っている。
「ティンバーゲンの4つのなぜ」「べイトマン勾配」「性的対立」 etc. etc.