大崎遥花のレビュー一覧
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クチキゴキブリは、卵胎生、そして両親揃っての子育てという珍しい習性をもつ。しかも、つがいになったオスとメスは交尾の前後に互いの翅を食べ尽くす。飛べなくなってしまうのに、しかもさほど栄養にもならないのに、なんでそんなことをするのか? 著者はこの疑問に挑む。フィールドワークから実験、プレゼンや論文執筆まで、その研究のプロセスがおもしろい。
動物行動の研究の成否は、次のことに尽きる。どんな動物にするか、どんな行動にするか。加えて、どんな先生に指導を仰ぐか。本書には、通販でマダガスカルゴキブリを買ってくれた中学の先生、フィールドワークの旅費にポケットマネーを出してくれた指導教員、そしてあれこれアドバイスをくれる他大学の先生方が登場する。本書はそれら3つがうまくいったケース・ヒストリーとして読める。そして著者はいまアメリカにて研究に邁進中。 -
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栃木県民で、手のひらでモゾモゾ動く虫が好きだったあの大崎さんが、「Dr. 大崎」になるとは・・・家族でもでも何でもないけど感動でうれし涙です、よかったです。
この本の主人公は、著者の大崎さんです。おもに、大学4年に生態科学研究室に所属して卒業研究を始めるところから、博士課程卒業までのおはなしです。
読みはじめると文章が、「虫好き理系の宝塚男役」のひとが書いたかのようで、シャープでかっこよく、初々しいです。
タイトルには「ゴキブリ」とありますが、かれらは脇役です。タイトルにわたしが補足するならこんな感じ、( )内が補足文です。
「(クチキ)ゴキブリ(を研究している)・(大崎さんの)マイウエイ(物語)」でしょうか。
大崎さんご自身の行動生態学的エッセイなのでした。
大崎さんが扱う研究材料が「クチキゴキブリ」です。
かれらは沖縄などの南の島の森にいて「朽木」を食べます。森の生態系維持に欠かせない「森のひっそり系ゴキ」なのです。
「ゴキ」というだけで嫌われますが、割った朽木からお尻をだしている写真がかわいい。
大崎さんが論文を発表すると、クチキゴキブリの驚きの生態に、ニューヨーク・タイムスからすぐに取材のオファーが来たそうです。
本文中のイラストは、大崎さんご自身の手による、ペンで描かれた点描画です。とってもお上手です。
わたしが特に好きなのは、シロアリとゴキブリの先祖の想像図です。シロアリはゴキブリ目に完全内包!だそうです。そのほか、クチキゴキブリのぽっちゃり体形とガリガリ体形比較イラストもおもしろい!
この本で大崎さんは、大学院で研究するとは、博士になるとは、について紹介されています。中高生におススメしたい!大崎さんの実験・学会・論文執筆投稿など「博士」とはどんな人たちか知ってもらい気持ちが伝わってきます。
現在、大崎さんはアメリカで研究中とのことです。今後は、「海外に拠点を持ち、自身と研究によりよい環境を自由に選べるようになりたい。」(P248)だそうです。
大崎さんの研究によって、いつか教科書が変わる時が来るといいですね。 -
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研究職にもゴキブリにも明るくないけれど、少しイメージと見方が変わった気がする。とてもじゃないけど混んでる電車で読めるものではなかった笑 どデカいゴキブリの挿絵に隣のおじさんがギョッとしてました。ごめんねおじさん。
基本シャープでユーモアがあり、読み物としても楽しめる文体でありながら、たまに差し込まれる高い熱量にグッとくるものがあった。好奇心が燃料。どうかそのままでいて欲しいと願ってしまった。時折、筆者のドヤ顔が想像できるようでふふっと笑ってしまったり。
結局のところなぜ翅を食べ合うのだろうか。哲学的でもありどこか神秘的な問い、研究の続きが気になります。頑張れ大崎さんーー!
(星-1は、シンプルにヤツを生物として好きにはなれないなという気持ちで) -
Posted by ブクログ
ネタバレクチキゴキブリの後尾相手の翅を食い合うという習性を研究している研究者の本。
大学の博士課程を卒業し現在はポスドクとしてアメリカで研究をしている。
大学での研究過程や博士課程の誤解について説明したり、学会や研究者同士のつながり、教員とのやりとりが丁寧に記されている本でした。同じ理系学生としてとても面白かった。
自分の専攻は数学だが、確かに数学の研究も似たようなものなのだろうなーと同時に数学にはないフィールドワークとか、他の研究室の見学だとかはとても羨ましくなった。
修士課程、博士過程に進まなかったことをほんの少し後悔している自分的にはその後悔が掘り起こされ、とても羨ましくなった本でもありました。面白かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレクチキゴキブリ研究という天職ともいえる対象にめぐりあった若き研究者が、その対象への愛と、研究生活の日々をつづったお気楽なエッセイ。
オス・メスが互いに相手の翅を食べ合い、子育てを共に行い、一生添い遂げる。その行動の謎を追った研究成果ではあるが、第10章に「研究者という生き物」と題されているように、全般に、研究者というものが、どのように研究対象と出会い、研究を進め、関連学会で知己を得、論文を発表し、己の研究がいかに学術的価値があるかを世に認めてもらうために、日々、足掻き続ける様を、面白おかしく綴っている。
「ティンバーゲンの4つのなぜ」「べイトマン勾配」「性的対立」 etc. etc., 研究を進めていく上で、いくばくかの専門用語、学術的解説もあるが、それらは、ちょっとした薬味程度の刺激。本書は、だいたいが以下のようなトーンで綴られる。
「クチキゴキブリは、朽木というセルロースだらけの非常に消化の悪いお菓子の家に棲んでいる。さらに、このお菓子の家は非常にじめじめしていて、放っておけばカビがルンルンしてしまう。」
著者自身が楽しんでいるような文章は、基本、笑えないのだが、まぁ、その緩さも許容範囲。もう少し洗練されても良いとは思うが。
これから、研究者の道を歩もうとする学生などは、本書を読んで、その生態の理解が進むことだろう。愛すべき対象に出会えたら、研究職も意外と楽しそうだ。
著者が属する生態学会では、「アウトドアブランドのモンベル(mont-bell)製品を着た、これから登山ですか?という服装の人で溢れかえっている」らしい。
“「生態学会はモンベルが正装」とまことしやかに言われているくらいだ。”
そうだ。
モンベルさんも、そんな購買層があることは知らなかっのではなかろうか? 新たな商品開発をフィールドワーカーと進めるべきだろう。
でないと、けっして裕福ではない若き研究者たち、ワークマンに流れてきかねない。 余計な心配もした。