芦原伸のレビュー一覧
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廃線紀行と言ってもレールが敷かれていた場所
をトレースする訳ではありません。
かつて列車で旅したルートを車などで巡る旅な
のです。
なので駅跡を中心に、かつては栄えたであろう
小さな町を訪れる紀行文になっています。
これがいいのです。
旅を楽しむ前提として、知識と教養が大切であ
ることを教えてくれます。
どんな小さな町に寄っても、その町のゆかりの
人に思いを馳せて街の風景を描写しています。
後付けで調べたのかもしれないが、それにした
ってここまで色々な歴史を知っているのであれ
ば、どこに行っても楽しめるだろう。
知識と面白がる心を持つことこそが、旅を彩る
手段であると思い知らされ -
Posted by ブクログ
雑誌「旅と鉄道」などで紀行文を掲載している
芦原氏の、すでに廃止、廃線となった列車や、
路線の搭乗紀行作品集です。
ピーク時には全長4000キロあった北海道の鉄道
は、令和3年には半分近い2400キロ程度しか残
っていないです。
しかもそれらの大半も維持できないと、JR北海
道は表明しています。
著者は北海道の鉄道は「国鉄」に戻してでも保
護するべきと主張します。
確かに失われてしまえば元に戻らないでしょう。
「風景と対話できる移動手段」であるのが鉄道
旅の魅力であると著者の主張には共感できます。
観光立国を目指すのであれば尚更です。
日本の行く末を考えるには最適の一冊です。 -
Posted by ブクログ
2011年3月11日に起こった、東日本大震災。地震の揺れと津波などで、未曾有の災害となった。
震災が起こったとき、東北地方沿岸4県をを走る列車は31本あった。しかし乗客、乗務員ともに冷静に判断し、死傷者は一人もでなかったという。
その時、列車に乗り合わせた人々はどう判断したのか、一歩間違えば大惨事になっていたであろうときに、死傷者もなく避難できたのは、どうしてなのか。
列車かに乗っていた方へのインタビューをもとに震災のとき何があったのかをかかれたルポです。
常磐線、仙石線と石巻線、気仙沼線大船渡線、釜石線、山田線、三陸鉄道と、現地に行かれて丁寧に取材をされて書かれています。
それ -
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明治11年。東京や横浜はいざ知らず、少し地方にいけば、まだ十分江戸時代が残っていた頃、イギリス人女性がたった一人で日本の奥地(東北・北海道)を旅する。それも47歳という年齢で!
イザベラ・バードは引き馬に乗って、または人力車で、どうしようもないところは徒歩で旅をつづけたけれど、この本ではそれらの道を基本的には鈍行列車で旅をする。
鈍行列車の車窓から見える景色は、まだ、バードが歩いたころの風景が残っている場合が車よりも多いから。
そういう旅もあるんだなあと思った。
平取で彼女が歩いた道を少し歩いたことがある。
自然以外に何もないその道は、けれども全くの手つかずの自然というわけではなく、きれい -
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世界70ヵ国以上を旅した紀行作家による、世界の食のエッセイ。
第1章 ヨーロッパ、ロシア 第2章 アメリカ、オセアニア
第3章 中国、アジア 第4章 中東、アフリカ
世界70ヵ国以上を旅して味わった料理から見える、
文化や歴史を紹介する、食のエッセイ。
旅の描写や地域性、歴史の話、エピソードは紀行文として秀逸。
だが、食味紀行と謳う割には、食以外の記述が多い感じで、
アラスカのストリップ劇場の話なぞよりも、他の食の話を
して欲しいぞと、心の中でツッコミを入れてしまう。
また、世界といってもインドには行っていないし
東南アジアや中南米が無いのも寂しい。
食の話は、著者が興味惹かれたも -
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ネタバレ神を押し付け、信じないものは排斥すると言う一神教の教えは強引であり、果ては戦いを生むばかりだ
その時、車窓に突然同様のアルカディアのような風景が現れた。赤湯をすぎて中川に着く手前、車窓右手である
バードはキリストの教えが未開地に文明をもたらすと信じていたが、ハーンは逆にキリスト教を忌み嫌い、日本古来の神仏集合、多神教に思いを投じた
幌別、紋別など別のついた地名が多いが、これはアイヌ語で川を意味する、とも書いており、北海道に入ってさほど日数が経っていないバードが、もはやしっかりとアイヌ語を取得していることに驚かされる
バードの紀行の中には、明治の日本人の姿が散見する。そこには貧しいけれど、潔癖で