田中康二のレビュー一覧
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内容(「BOOK」データベースより)
漢意を排斥して大和魂を追究し、「物のあはれを知る」説を唱えたことで知られる、江戸中期の国学者・本居宣長。伊勢松坂に生まれ、京都で医学を修めた後、賀茂真淵と運命的な出会いを果たす。以来、学問研究に身を捧げ、三十有余年の歳月を費やし『古事記伝』を著した。この国学の大成者とは何者だったのか。七十年におよぶ生涯を丹念にたどりつつ、文学と思想の両分野に屹立する宣長学の全体像を描き出す。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田中康二
1965年大阪市生まれ。94年神戸大学大学院文化学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)(神戸大学)。富士フェニックス短 -
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まず黒船の来航のこれ程前に日本のアイデンティティーを基礎づける言説を展開できたことに驚く。
一方で本居宣長の思想や事績が現代にうまく位置づけられていないような不安を感じる。平安以前のテキストの読解と読み替えを徹底的に行った本居宣長と、ファナティックに日本の独自性を主張し外来思想を排する本居宣長。前者は我々が教科書的に学習する「もののあわれ」説を確立しており、平安以前の感性に幻想的なイメージやロマンティシズムを与える。契沖のようにテキストに忠実なアプローチをする先達がいたとはいえ、おそらく当時の儒教思想や仏教思想の手垢にまみれた源氏物語や古事記や万葉集に新たな息吹を吹き込むのは容易ではなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ国学の大家である本居宣長の生涯と思想を概説した書。宣長の生涯を追いながら、彼の説いた主張や学説がどのようなものであったのかを解説する。
本書の特徴は、本居宣長の生涯を10年スパンで区切り、それぞれにテーマを設定して記述している点である。例えば第2章「学問の出発」では20代の国学・歌学との出会いを、第3章「人生の転機」では30代のターニングポイント(師である賀茂真淵との出会い、「もののあはれを知る」説の提唱)を取り上げている。その為、宣長の学問の流れがよく把握できるようになっている。また本書は宣長学を「思想」(古道学)と「文学」(国語学・歌学)の両面から捉えており、その多角的な広がりを知ることが