ウルリッヒ・ベックのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
リスク管理できない<危険>のグローバル化が引き起こすことについて。
危険(テロ、環境問題など)はいつどこにいても振りかかるものだから、国民国家という枠組みにこだわっていては防いだり対向したりできないし、そもそもそういった概念では捉えられないものになっているので、危険について考えるなら、ともかく国民国家という概念や戦争モデルを捨てて、グローバル化した世界(というか地球)を前提に新しい概念とモデルを考えないといけませんね、という話。
内容の検討は専門家に譲るが、理解はしやすかった。現実的な状況の変化と、概念を刷新する必要との関連がよくわかる。
※癖のある文章構造をしていて、最初手間取った。 -
Posted by ブクログ
講演にもとづくふたつの平易な文章が収められている。
前半の一編が新しいもので、9.11米国のテロ事件に触れている。
著者によると、チェルノブイリも米国同時多発テロも、無差別に多くの民間人を死に追いやった点で共通しており、特に後者に関しては、敵が「国」ではなく、グローバルな何者かという点が強調される。
「敵」も「リスク」もグローバル化した事態だというのが著者の観点だ。
いっぽうで、国家という枠を超えた、新しいグローバルな政治的パワーとして(「サブ政治」と名付けられている)、この本では「グリーンピース」がどうやら評価されている。日本人にとってはグリーンピースは悪いイメージの方が強いのだが、思うに、