H.L.A.ハートのレビュー一覧

  • 法の概念〔第3版〕

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    オースティンへの批判を起点に,法という概念を分析哲学の手法で再構築した本。後記では,主にドゥオーキンからの批判に対する応答がまとめられている。

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    2025年11月02日
  • 法の概念〔第3版〕

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    通常人の道徳的感覚に著しく反する法(例えばナチスの法)は、「法」の資格をもつか?

    この問いにYesと応えるのが法実証主義であり、Noと応えるのが自然法思想だ。ハートは法実証主義を擁護する。

    ハートは本書で、法とは「責務に関するルール(一次ルール)」と「法の認定・変更・裁判に関するルール(二次ルール)」の組合せであるとする理論を説く。それは演繹的な定義ではなく、事実の観察に基づく「記述」である。だからこそ、その議論には説得力がある。

    ハートの理論の大要は次のようなものだ:あるルールは、圧倒的多数の国民がそれに従う責務を感じ、裁判官や公務員がそれを法として受容し、社会生活で実際にそのルールが

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    2016年02月12日
  • 法の概念〔第3版〕

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     「法とは何か」という当時執拗に繰り返されていたらしい質問を、分析哲学を持ち込んで解答しようとした書である。初版1976年。しかし、著者ハートは分析哲学のエキスパートではなかったのか、明らかに「法とは何か」について述べていない。解説のレスリー・グリーンは「法とは力の威嚇によって支えられた主権者による一般的命令である。」と定義している。「命令」が何なのかについて他に解する必要があるので、さらに検討が必要に思われる。
     代案を出すと、我々にとっては、「法とは、その命題が真となったと政府が十分に確からしく確信を持った時に、その専有する暴力装置を作動させる、あらかじめ記載された命題集(命題の集合)であ

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    2025年11月07日
  • 法の概念〔第3版〕

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    私は「法」についてこれまであまり突き詰めて考えたことが無かった。せいぜい、それは制度のなかに生じるものだから、権力作用の一形式くらいにしか考えていなかった。
    けれども、著者ハートは「法とは権威に支えられた強制力をもつ命令である」という従来の定説を徹底的に批判する。
    本書はそこから始まって極めて真摯に諸問題を検討し、「法」を「哲学」してみせる。
    法学自体が私の普段の興味の対象外でもあるし、これを読んでもすっきりしないところも残る。立法府よりも司法つまり裁判所の力のほうがこの法哲学にとっては重要であるというように話は展開されるが、その辺もすっきりと同意しきれない。しかし理解しきれなかった部分は、私

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    2015年01月13日