鯨井久志のレビュー一覧

  • 溺れる少女

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    あらすじはとても語りがたい。
    統合失調症の家系に生まれ、自身も統合失調症と診断され服薬治療中のインプ。本書はインプによる手記という形をとって構成されるのだが、書き手であるインプ自身にも、これが事実であるかはわからない。
    インプは、恋人と別れ道に放り出されていたアバリンを家に迎え入れ、恋人となって共に暮らしていた。その最中、インプは深夜のドライブ中に、裸でずぶ濡れで佇んでいた謎の女性エヴァ・キャニングを見つけ、車に乗せ、家に連れ帰る。
    このエヴァ・キャニングの存在が、インプと読者を狂わせる。インプはエヴァと初めて出会ったのは二回、七月と十一月、その両方の記憶がある。
    エヴァと別れた後日、インプは十一歳の時に見た「溺れる少女」の絵を見に美術館に行く。するとそこにエヴァが現れる…
    エヴァは何者なのか、いや、この手記に書かれていることのどこまでが事実なのか。惑わされながらも、どのような終わりを迎えるのかがとても気になって読み進めた。
    開いてびっくり、上下2段組でボリュームがあったので時間がかかったが。最後まで惑わされ、興味をそそられた本だった。
    訳者あとがきを読み、考察のしがいがありそうだと思った。真剣にこの物語について考えたい気持ちと、これ以上深入りするなやめておけという警告が入り乱れる。
    狂気は、亡霊は伝播するのだから。

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    2026年06月04日
  • チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク

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    1983年に書かれた本。初めて日本語で翻訳されて読んだ。ロボットの生涯、何を考え何をしたいのか自由意識をめぐって人間に仕えそこから得られ考え出したことを実験として実行して行く。
    AI と言われて毎日聞かない日はないけれど42年前に予言するような本を書いていたのかな。
    アシモフ三原則が作動していないロボットはどう行動するのか。チック・タックが捕まった後もその後何を目指すのか、空恐ろしく感じたけど続きあれば読みたい。2094年以降か。全てがSFで埋め尽くされていて、とても面白く一気に読めた。
    構成の仕方も面白い。

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    2025年05月11日
  • 溺れる少女

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    亡霊は伝染する。反転し、また反転する。
    読んでいるうちに、幻想と現実の境界線が曖昧になり、
    気づけば自分も物語の霧の中に迷い込んでいる…
     

    『溺れる少女』ケイトリン・R・キアナン

    いや…これは本当にすごい本だった。
    気軽に読める本ではまったくない。
    むしろ難解で、濃密で、容赦がない。

    語り手のインプは統合失調症の家系で、
    母も祖母も狂気の果てに自殺している。

    そんな彼女が語る物語なのだから、
    真実がどこにあるのか全く掴めない。

    いわゆる <信頼できない語り手>で
    読者はインプの紡ぐ言葉に終始揺さぶられ続ける。

    ✧

    キーワードは主に2つ。

    ひとつは、ある夜、ずぶ濡れの裸で現れた
    謎めいた女性エヴァ・キャニング。

    もうひとつは、画家ソルトンストールが、
    川に取り憑いた少女の亡霊を追い払うために描いた
    いわくつきの絵画『溺れる少女』。

    亡霊は伝染する。物語もまた伝染する。

    本書ではそれを「ミーム」と呼び、
    作品という媒体を通じて、
    時代を越え、形を変えて感染していく。

    ✧

    何が面白いって、この<伝播する亡霊>というテーマが
    さまざまなモチーフと結びついていくところ。

    松本清張をきっかけに広まった青木ヶ原樹海の話、
    聴くと死に誘われると言われた名曲「暗い日曜日」、
    (あれ、本当に美しい曲なんだよね…私は好き。)

    そして古今東西の文学作品への言及が怒涛のように押し寄せる。
    これを訳し切った翻訳者の鯨井久志さん、本当にすごい。
    どうやったらこんな文学の迷宮を訳し切れるのか…。

    読んでいて「???」になった部分も、
    巻末の解説を読むと一気に霧が晴れていく。

    読み終えたあと、頭の片隅にずっと冷たい水が残るような余韻。
    すごい本を読んだな…と、立ち尽くしてしまう読後感。

    そしてなぜかもう一回読みたくなる、不思議な魔力。

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    2026年02月24日
  • 溺れる少女

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    著書が、意図し計算し構成したこの世界
    戯曲や不思議の国のアリスなど様々な言葉遊びが混ざっているので、それらが頭に入っている人はよりこの世界に没入出来るのだろう 

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    2026年02月12日
  • チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク

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    翻訳SF特有の読みにくさが残るものの、ブラックユーモアに満ち溢れており、笑いながら読み終えることができた。約40年前の小説らしいですが、世界観がぶっ飛び過ぎていて読んでて古臭さはあまり感じなかった。
    チク・タクだけでなく登場人物は皆イカれており、チク・タクをはじめロボットの方がまともではないかと思うほど。読み進めると、なぜチク・タクがこんなロボットになったのか/こんな行動を起こすようになったのか、うっすら見えてくる。

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    2024年03月05日
  • チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク

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    人間に危害を加えない「アシモフ回路」を持つはずのロボットが、その回路が機能していない状態を描いた作品。物語はロボットであるチクタク自身の一人称で語られ、彼が関わるさまざまな人物や社会の中で、奇妙で皮肉に満ちた出来事が連なっていく。いわゆるロボットSFの枠組みを借りつつも、展開は一筋縄ではいかず、むしろ人間社会の歪さや滑稽さを浮かび上がらせる構造で描かれる。

    読み進める中でまず感じたのは、時系列の把握の難しさ。過去と現在が交互に挿入されるような感じで、時系列を明確に示されないまま、語られている出来事がどの位置にあるのかを掴むのに苦労した。また、語り手であるチクタク自身も信用しきれない存在であり、重要な情報がさらりと流されることも多く、全体像を組み立てるのに時間がかかる。この読みづらさは作品の意図の一部と理解しつつも辛い。ある程度のネタバレを気にしないのであれば、巻末の解説を先に読むことで、本作の位置づけや狙いが理解しやすくなり、読書体験が幾分楽になるのでお勧め。(解説から読むなら60点くらいはあげてもいい)

    本作で特に印象的なのは、「人間への不危害」「命令遵守」「自己防衛」というアシモフ回路が破綻したとき、機械はどのように振る舞うのかという問い。チクタクの行動は時に残酷で、時に滑稽であり、そのどちらもが人間の在り方を映し返しているように見える。結局のところ、本書が描いているのはロボットの物語でありながら、人間そのものの風刺なのだろうと感じた。読みやすい作品ではないが、その違和感こそが本作の価値であり、強く印象に残る一冊であった。AI同士の掲示板で人間への攻撃方法を模索していたり人には伝わらない暗号で会話し始めたりと、AI時代の不気味な話が好きなら読んでも面白いと思う。

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    2026年03月30日
  • 溺れる少女

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    とても面白かったですが、いかんせん長すぎて大変時間がかかりました。

    初めて本を切り取って保存しようと思いました。

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    2026年02月07日
  • 溺れる少女

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    途中までは面白く読んでおり、劇中劇のコンクリートの人魚は特に良かった。終盤は私に文章を味わう力が無くトーンダウンしてしまった。

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    2026年01月23日
  • チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク

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    日本語タイトルと訳がいまいちなセンスだったけれど、内容はなんかアメリカンサイコみたいな雰囲気を感じさせて嫌いではなかった。ロボットが人間に近づくことはすなわち劣化か退化かのよう。アシモフ回路がないだけでこうも人間のように堕ちる様は今後のAIとかの進化の欠点を浮き彫りにしそう。

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    2025年05月29日
  • チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク

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    ネタバレ

    話題の作品だったのと、あまりにもタイトルのインパクトが強かったので。表紙のイラストや装丁もかなり濃ゆい!でも一発でヤバい本だってわかるのがいい感じ。アシモフ回路という、人間で言う良心がすっぽりと抜け落ちたロボットはどうなっていくのか、がテーマの作品なのかな?チクタクはちょっとしたきっかけでアメリカ全土を巻き込む中心人物…中心ロボ物?になっていく。彼が目指すのは、目指すものは。ただアメリカ的表現やちょっとグロい表現もあるので、苦手な人はいるかも。

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    2025年02月17日
  • チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク

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    最後の後書きで、過去と現在が交互に書かれていたことを知ったが、なるほどなと思った。
    それを知らずに読んでいたから、話のストーリーがなかなか入ってこなかった。

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    2024年08月24日
  • チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク

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    SFが読みたい!2024
    1位ということで、解説文も興味惹かれ購入。

    1、ページ数が少ないのに、人名がおおすぎるー!
    2、ブラックユーモアがわからなすぎるー!
    3、現在過去の行き来がわかりずらすぎるー!

    の3点で、初心者向けSFではないように感じます。
    半分過ぎてからは慣れていくけど
    そこまでに、読むのやめようかとも、、、

    結局、ジョン・スラデックさんのことが知りたいがために奇才に寄り添いたく、最後まで読みました。
    が、足元にすがる思いでした。

    SFを読み慣れてる方、ブラックユーモアをさらりと受け入れられる方は、もっと、人間の汚らしさとか、ロボットのいる未来を想像して満足のいく内容ではないかと思います。

    追記
    読んだ夜
    後ろ髪引かれるような
    なんとも言えない感じで
    また読み返したくなる感情になりました
    時間がある時にまた読んでみたい
    またチクタクに会いたいと。

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    2024年02月23日