村雲菜月のレビュー一覧
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ネタバレとある都市のマンション。四〇八号室に住む住人はどういう訳か姿を消してしまう。淡々と代々住民の様子が語られていくけれど、どこかにいる誰かの日常のようで妙にリアル。その当たり前のような日常が些細なことで侵食され、そしてあっけなく崩れていく恐怖を物語っていきます。
幽霊が出るわけではないけどなんか嫌。怖い。
これは立派な事故物件です。
郵便受けに前の住人の郵便物がぱんぱんに詰まっていたり、窓を開けると前が廃墟で殺伐してるので開けたくない。管理事務所となかなか連絡が取れないような部屋には住まないほうがいいかもしれませんね。
┈┈少しネタバレ┈┈
『初音』に出てきたお隣の四〇九号室の人はス〇イダーウ -
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とある街にある ( 恐らくはワンルームタイプの ) マンション。交通や買い物等の利便性が悪いというわけでもないのに、不思議なことに住人が居つかない 408号室。その入居者の変遷と各暮らしぶりを描いた短編集。
物語は、各話ごとに問題の部屋に入居する住人の視点で描かれる。
第66回 群像新人文学賞受賞作。
◇
初音羽奈子が引き籠もりに近い生活をするようになってから、3ヶ月が経とうとしていた。正月明けから会社に出勤できなくなり、体調不良を理由に1ヶ月ごとの休職を延長して今に至っている。
その初音の趣味はハエトリグモを飼い殺しにすることだ。
部屋に侵入してきたハエ -
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ネタバレ群像受賞作と知り手に取った。
オムニバス形式、住人がいなくなる部屋というテーマも面白そうに感じた。
早速ネタバレで申し訳ないのだが、先の3話は最後の部屋君の考察ということで理解は合っているだろうか。
それを前提に。
膝を打つほど明確なオチ記載ではないが(自分の理解力の問題かも)、タイトル、また語りの人称の違いなど、伏線回収がきれいと感じた。
一話一話が不気味で、空気がゆらゆら揺れているような、そんな不安定さを感じる。個人的にホラーは得意ではないが、まだ楽しめるレベルのホラー加減で良かった。
各話で比較すると、一話目と四話目を特に面白く読んだ。文章も、アイデアも。
新人賞だからデビュー作な -
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“なにゅなにゅを身につけ、部屋がなにゅなにゅで埋め尽くされていくたびに、ほんの少しずつなにゅなにゅみたいに丸く、柔らかくなっていくような気がする。”
なにゅなにゅを集めることで得られる癒しを求めてなにゅなにゅを集め出す主人公。主人公はゴールのないコレクションに執着しているとどんどん視野が狭くなって周りも顧みなくなってしまうことも分かっていてそうなりたくないと思っているし、なにゅなにゅを集めたことで得られる心の変化にも自覚的だ。なのに、主人公の心が削られていく展開に追い込まれていってしまうのは何故なのか……。主人公の関心はひたすらなにゅなにゅと自分の関係に向いていて、自分が本当は何に一番傷ついて -
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あぁ〜、この話よく分かるかも!
私も好きなものを集めたくなる収集癖があったから、、、
今でも若干その気はありますがw
他人から見たらこんなもの集めてどーするのよ?と思われるかもしれませんが、好きなものは集めたくなるんですよね〜
例えば、スター・ウォーズが大好きな私は当時、スター・ウォーズとキリンがコラボしたコーヒーの缶を集めてました
缶欲しさに普段飲まない微糖のコーヒーまでイヤイヤ頑張って飲んでましたw
(無糖だけでいいのにって何度思ったことか)
そこまでして全種類の缶を集めた私に奥様が放った一言は、、、
「このゴミいつ捨てるの!」
_| ̄|○ il||liガーン
他人にとっ -
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とても読みやすかった。
が、わたし自身がコレクションにあまり興味がないタイプなので、ものすごく第三者的に読んでしまった。
主人公はトイメーカーの社員で、なにゅなにゅキャラクターを集めている。
なにゅなにゅは、ぽや~んと癒し系のゆるキャラらしく、主人公は苛立つことがあると、「なにゅなにゅはこんなことで怒ったりしない」と自分の気持ちを落ち着かせている。
そういう心の杖みたいなのは誰にもあったほうがいいけれど、この主人公はどうも危なっかしいというか、なにゅなにゅを信奉するのと同じ勢いで、自分の周囲の人たちを、固まったある1方向からしか見ていない。
で、結局、自分が信用していたり尊敬していた人