村雲菜月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
オタク、コレクター、推し活--
社会において、今はこれらの人は“普通”とされている。
こうした普通のはずの人達の行動が、執着により、“普通”の人の枠から“異常”の人の枠へと、一瞬ガタンとはみ出してしまう。
その瞬間、“異常”と人々に認識されても、本人は“普通”にいるつもり。読んでいて、この相反する認識がすっと納得感を抱いて入ってきて、恐怖へと変わっていく。
ここに納得感を抱かせられるかどうかで、恐怖は喜劇になってしまうだろう。
作者は素晴らしいバランス感覚と客観性を持っていると感じる。凄い。
その素晴らしいバランス感覚が、残念ながらラストに少しレールがずれて、喜劇に寄ってしまったように感じ -
Posted by ブクログ
読書備忘録885号。
★★★★。
わずか100pちょいの作品。
全然オッケー。逆に好きな世界。
作品タイトルの通り、コレクター(蒐集家)が陥った狂気の世界。
主人公は三川さんという玩具メーカーに勤める三十前の女子。
なにゅなにゅとかいうキャラ(表紙絵キャラがイメージ)の熱烈なコレクター。
ガチャガチャから、クレーンゲームから新作がリリースされると仕事を休んででも出かけてゲットする。
そんな三川はなにゅなにゅをゲットするために他人との間に危うい関係性を作っていた。その関係性(いわゆるギブ&テイク)たるや、ちょっと一般人には考えられないレベル。
その危うい関係性が崩れた時、一気に世 -
Posted by ブクログ
前著「もぬけの考察」が好きだったので読んでみたけど、前作のようなキレは感じなかった。全体的に借り物の狂気という感じで、キャラクター達の深淵に迫り切れていないなぁと感じた。もぬけ〜との共通点は空虚感と不気味さ、主人公の気力の低さ。
なにゅなにゅは現実世界でのちいかわみたいなものかと思いながら読んでいた。確かに、遡るとリラックマとか、サンリオとか、ディズニーとか、鬼滅もかな。グッズをあまりに沢山集めて身の回り全てそれで染める人はちょっと狂気じみててこわいなと感じる。金を持て余した富豪でもなくて、意外とお財布事情カツカツでも次々に購入して置く場所がない、みたいな人も見かける。そこにどんな衝動がある -
Posted by ブクログ
『なにゅなにゅ』というゆるキャラに癒しを感じて以来、グッズを収集するのが趣味になった主人公は、カプセルトイを作る会社に勤務している。自分の好きな分野の仕事に就けたはずなのに、自分の嗜好と利益優先の会社とではズレがあって、こんなはずでは…というジレンマを抱えて生きていた。そんな彼女はなにゅなにゅコレクションにのめり込み、抜けでられない沼にハマっていく。
叢雲菜月さんの少し前に読んだ『もぬけの考察』が面白かったので読んでみました。この作品も面白かったです!
ここに出てくる人達は何かのオタクです。真っ黒ストレートの髪の毛好きだったり、ゲーセンのクレーンゲームだったり。世の中にどこにでも居そうな本来微 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。特に1話目。最後の最後に隣人が蜘蛛女?だった事のホラー感と衝撃。文面を5度見した。これは、主人公が自ら外の世界との関わりを断ちだんだんカビが生えてしまったという隠喩にも感じるが、そもそもハエトリグモを故意に飢え死にさせていた事への罰が蜘蛛女の襲来なのかもしれない。でももっと遡るとこんな風になったのは、コロナ禍で出勤が減ってこの陰鬱な部屋に引っ越して来たから。人と会う事が減って身なりを気にしなくなって、どんどん社会性が失われていったから。そんな生活で何かしら溜まったストレスの捌け口が恐らく虫への加害のきっかけになったから。人に会わなすぎて判断力が鈍っていなければ管理会社はダメでも11