デイジー・ジョンソンのレビュー一覧

  • 九月と七月の姉妹

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    ネタバレ

    九月生まれのセプテンバーと七月生まれのジュライ。十ヶ月違いの姉妹である二人は、母親すら入り込めないほど互いに強く結ばれていた。学校で起こしたある事件がきっかけで母娘は海辺に立つ〈セトルハウス〉に引っ越してきたが、塞ぎ込んで部屋に籠る母をよそに姉妹は遊ぶ。だが、なにもかも二人一緒の季節は終わりを迎えようとしていた。姉妹の絆と共依存、母と娘たちの物語。


    ブッ刺さった。読みながら言葉が全身に突き刺さってきて、その痛みで読むのを何度か中断したくらい。いきなり結末の話をしてしまうが、この小説はジュライにセプテンバーの喪失を克服させない。「これは現実じゃない」とくり返すパートが挟まれるので、現実には大

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    2024年03月15日
  • 九月と七月の姉妹

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    ネタバレ

    読み始めた段階で、姉妹の結びつきが限りなく強固なものであることは察せられるのだけれど、ここまでとは。恐れと憎しみ、身を捧げるほどの愛。
    10ヶ月違いで生まれた姉に支配され、眠りに飲み込まれて心を病んでいるのかと思っていたら、あの日のショックを受け止めきれないまま日々を過ごしていたのだと分かって、一気に切なくなった。
    最初の詩の意味が理解できてくるのが面白かった。ジュライにとって姉はすべてのことに関係してくるから、どこにいても何をしていても姉の姿がチラつくのだ。もはや自分そのものである。
    セプテンバーが甲斐甲斐しくジュライのお世話をするから勘違いしそうになるけれど、横からなんでも取り上げていくの

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    2023年10月31日
  • 九月と七月の姉妹

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    映画を観に行きたかったのだけれど、機会を逃したため原作から読むことにした。難解だった。訳によってそうなっているのか、原文が難解なのか、非常に掴みづらいリズムと雰囲気が全編を通してあり、掴みきれないままに読み終わってしまった。個人的には、ストーリーというよりも目を背けたくなるような生々しさと奇妙な美しさの併存する作風を楽しむ作品なのかな、と受け取った。

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    2025年12月15日
  • 九月と七月の姉妹

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    我儘で強気な姉のセプテンバーと、内気で彼女に言われるがままに従う妹のジュライ。まるで主従のような姉妹の関係だけれど、彼女たちはあいだに親さえをも挟ませない強固な絆で結ばれていた。セプテンバーが言えば、望めば、命令すれば、ジュライは従う。それで世界は完璧だった。

    けれど学校の事件をきっかけに状況が変わってしまう。セプテンバーはジュライに言う、望む、命令する。ジュライは従う、受け入れる、呑み込む。その日々は変わらないはずなのに、学校を離れ引っ越した「セトルハウス」では、徐々に軋みを見せ始める。それは世界の崩壊をもたらし、彼女たちの自我の崩壊をあらわにする。

    起こったことをそのまま受け入れる「常

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    2025年08月13日
  • 九月と七月の姉妹

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    ネタバレ

    詩のような文章が美しく、味わうことができてよかったと思う。
    自我がなく、境界や記憶が曖昧で混乱しているジュライ視点の文章は、時系列もあっちこっち行き来して理解も難しく読みづらかったが、それはそのままジュライの思考や内面を表していて、最後まで読むとそういうことだったのかと納得(最後まで一人称なので、全てを理解できるわけではないけれど)。
    それにしても読んでいくうちに読み手もセプテンバーに支配されていくような気味悪さがあり、ジュライが自身を傷つけることで自分の存在を感じる様はとてもリアルだった。

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    2024年02月23日
  • 九月と七月の姉妹

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    ネタバレ

    全てが誌のような小説だなと思った。
    少女たちの目に入る情景も、少女たちが感じる思いも
    綺麗だけど残酷だったな。
    ジュライは姉の愛に、呪縛にずっと包まれていたいのかそうでないのか。
    愛なのか呪いなのか分からないけれど、ジュライにとっては愛で、そして必要なものなんだろうな。

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    2024年08月18日
  • 九月と七月の姉妹

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    十ヶ月違いの姉妹は、姉のセプテンバーと妹のジュライ。まるで双子のようで魅力的な装画である。
    だが辛辣でナイフで刺されるような感覚になる。

    姉の言いなりで支配下にあるジュライが、学校で起きた事件をきっかけに母と共に亡き父の生家へ引っ越して…。
    後半は、ジュライがまるで壊れたかのようで不気味さを感じた。


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    2023年12月24日
  • 九月と七月の姉妹

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    読み始めてページに文字がぎっしり詰まっているので、「読めるかな?」と思った。しかし、文章は詩的で読み進むのに苦はなかった。

    異様な姉妹の関係、ある事件を契機に引っ越した「セトルハウス」の不穏な雰囲気。ある事件とは何なのか?後半に読者が感じる違和感は何なのか?で終盤まで引っ張る小説。ホラーとミステリーに詩情を加えて混ぜ合わせた作品。

    それなりに楽しめたものの、しばらくすれば忘れてしまうであろう(「どんな内容だったかな〜」)作品かと。

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    2023年12月08日
  • 九月と七月の姉妹

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    『九月と七月の姉妹』終始不穏で仄暗い狂気が美しい文章で書かれていてざわざわする。愛憎半ばで支配的な姉と共依存な関係の妹の、妹側からの目線で語られるストーリーの違和感とホラー的雰囲気と緊張感で一気読みしてしまった

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    2023年08月24日