聞き慣れない言葉が多かったので、自分の視野を広げてくれそうとの期待で読んでみたけど、共感できることがいくつかあったので、読んだ甲斐があった。
自分が現役時代に攻撃ポジションを担う機会や学ぶ機会が少なかった為、以下の3つは、現役時代に学んでおけなかったのが悔しいとすら思う。
・ボールを持ったらへそを相手に向ける(正対)
・ファジーゾーンに意識的に立つ
・ウェイティングポイントからの顔出し
逆に、同サイド圧縮やアシンメトリーは、現役時代にそんな言葉づかいはしてなかったけど、既に意図的にやっていたことではあった(高校全国レベル)。
2019年の好調リバプールの属性の組み合わせの視点は面白かったし、その本質は「自らスペースを生んで、活かす」ということなのかなと読み取れ、これはどんなチームも転用可能な切り口だなぁと。
以下、個人的なメモ↓
・ファーストトラップで相手に正対し、スペースに運ぶのではなく、相手に向かっていく(2択を迫る)
・敵ゴールに顔を向けるのではなく、相手に対して正対してボールを持つ
◎バルサの下部組織では「ボールを持ったらへそを相手に向ける」と教わる
◎攻撃で、常に誰かが立っておくべきなのが、ファジーゾーン。相手サイドバックと相手サイドハーフの中間のスペースのことで、対応を迷わせる。サイドバックが低い位置で張ると、相手のプレスにハマる。
・アーセナル(21-22)はビルドアップ時にサイドバックがペナルティーエリアの幅に立ち、2-3-5のような陣形になる。
・バルサもサイドバックがハーフフロントに立つのは同じで、アーセナルと異なるのは、サイドバックがペナルティー幅よりも少し外側に立ち、4-1-3-2のような陣形となる。
・相手DFの迎撃と相手MFのプレスバックを受けづらい絶妙な位置を狙えるウェイティングポイント。
◎ウェイティングポイントの目安は、相手MFの3歩後ろ。ボール保持者がパスを出せるタイミングで、センターバイタル、ハーフバイタルに現れてボールを受ける(アピアリング)。相手が反応しづらい。
・ウェイティングポイントからのハーフゲート抜けは有効。センターバックの死角へスピードに乗った状態で抜ける。
・3-3-4はビルドアップのパスコースを作りやすい
・最終局面は中盤の選手が上がりプラス1以上を作る
・対5バックにはインサイドバックのピン留め(トゥヘルシステム)が有効
◎2019年のリバプールは属性組み合わせのお手本。その本質は「自らスペースを生んで、活かす」。①ウイングとサイドバックの関係性。②ストライカーとインサイドハーフの関係性。③中央に引き込んでボールを奪う。
・名将は属性の組み合わせが上手く、属性を追加できる。
・へそ下にボールを置くことで、全方位に大きく動かせる
・プレパレーションパス(近くに預けてもらい直す)を入れて、相手の矢印を整理させない。
・攻撃に必要な8つのスキルで整理する。
キックコントロール、ボールコントロール、ポジショニング、タイミング(ウェイティング)、ベクトル(正対、同一視野)、インテリジェンス(優先順位判断)、ドリブル、ランニング(最適スピード)。
・4バックから3バックに可変してビルドアップ(ダウン3)。センターバック間にアンカー落ちするか、中盤がの選手がサイドバックとセンターバックの間に降りる。(クロースロール。トニ・クロースの中継が由来)。片方のサイドバックが上がり、逆のサイドバックが残り、アシンメトリーなのも有効。そもそも、センターバック2枚にプレッシャーがかからなければ、無理に降りる必要はない。
・センターバックは可能な限り、高いポジションでパスを待つべき
・ビルドアップは幅を使うのが正解で、フィニッシュワークは最小限の幅をとる。
・中央封鎖からの同サイド圧縮。逆サイドのマークを捨てる。「絶対にサイドチェンジさせない」「ボールを失ったら、すぐに相手を狭いサイドに追い込む」と決める
・競り合いや球際の場面で相手に体をぶつけ、相手の体勢を崩す。ファウルを考慮しながら。ずる賢さを技術として捉える。
・ペップが採用していたボールロスト後のプレス「5秒ルール」は戦術的な意思統一だけでなく、フィジカル面のメリットもあり。(人体の構造上、5秒はクレアチンリン酸がエネルギー源として使われ、それ以上で回路が切り替わり、乳酸が出て疲労を感じる)