我々の世界が「空いている世界」から「いっぱいの世界」にシフトした今、経済拡大に頼った問題解決は不可能。
「効率を上げて総量を減らす」ではなく、「総量を減らし、効率改善する」というのがエネルギーや温暖化に関する政策の設計原則。
限界費用と限界便益が等しくなる時点でGDPの成長を止めるべき。
幸福
...続きを読む度の自己評価は、一人あたりのGDPが年二万ドルまでは一人あたりGDPと共に上昇し、そこで止まる。幸福度にとって、実質所得の絶対額は充足ラインまでは重要だが、それを超えると自分自身のアイデンティティを構成する人間関係の質の影響が大きくなる。
量的な増加ではなく、質的な向上へ。成長(Growth)から発展(development)。
今の我々のエコロジカルフットプリントは 1.5。つまり地球が1.5個必要。これを1以下に下げる事。
持続可能性の3条件
1. 「再生可能な資源」の持続可能な利用速度は、その資源の再生速度を超えてはならない。
2. 「再生不可能な資源」の持続可能な利用速度は、再生可能な資源を持続可能なペースで利用する事で代用できる速度を超えてはならない。
3. 「汚染物質」の持続可能な排出速度は、環境がその汚染物質を循環し、吸収し、無害化できる速度を上回ってはならない。
未来世代にとっての「必要なもの」は、現世代の「ぜいたくなもの」よりも上位に来るべき。
「社会が手段(経済成長と個々の利益の追求)ではなく、目的(幸福)に注力できる日はそれほど遠くない。」John Maynard Keynes
効率改善の限界に達した後も経済を成長させようとするならば、エネルギーを含む自然資本の使用量を増やすしかない。そして、自然資本には限りがある。
働く人が自ら出資し、運営し、働くワーカーズコレクティブが増えている。
これからは、人手をかけても資源の消費量を減らす事、つまり、労働生産性よりも資源生産性を重視する時代になる。
経済は、「独立して交換可能な業界がゆるやかに集合しているもの」としてではなく、「統合された全体」として成長する。
経済成長が失敗する2つの理由。
1.「いっぱいの世界」でプラスの成長が不経済になる。
2. 物理的な限界を超えて膨らんだ金融バブルの崩壊によるマイナス成長がじきに自己破壊的になる。
定常経済にシフトする為の10政策
基本的な資源に対して「キャップアンドトレード」の仕組みを設ける。
環境税の課税基盤を「労働と資本」から「廃棄物」へとシフトする。
最低所得と最高所得の格差を制限する。(米国の行政、軍、大学での格差は、20:1。企業では500:1。日本は15:1。他先進国は25:1。豊かな人々と貧しい人々は殆ど別の生物種であるかのように、共通の経験や関心がなくなる。)
就業日、週、年の長さを縛らず、パートや個人の仕事の選択肢を増やす。
国際貿易を規制し、自由貿易、自由な資本の移動性、グローバル化を制限する。
WTO、世銀、IMFを降格させる
民間銀行が中央銀行に預け入れる準備預金の準備率を100%に引き上げる。
希少なものを希少でないかのように、希少ではないものを希少であるかのように扱うのをやめる。
人口を安定させ、「出生数+移入者数」=「死亡者数+移出者数」にする。
GDPを「費用勘定」と「便益勘定」に分ける。
我々一人一人が「成長しない地球に暮らしている」事を再認識し、未来世代も含めて、持続可能で本当に幸せな暮らしとは?経済とは?社会とは?をじっくり考える事。