池田遼太のレビュー一覧

  • 戦艦「大和」最期の新証言

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    読んでいて、何度も目頭が熱くなりました。
    伊藤長官をはじめ、特攻艦隊とされた第二艦隊のすべての将兵のことを思うと、何とも言いようのない気持ちになります。

    特に印象に残ったのが、海軍という巨大な組織が論理や合理性を失い、精神論によって暴走していくことへの、伊藤長官の無念と諦めでした。

    これまで大和の沖縄特攻については、ある程度知っているつもりでした。しかし新たな証言によって、従来考えられていた以上に作戦決定の過程が杜撰だったことが浮かび上がります。

    歴史を学ぶということは、過去に得た知識をただ積み重ねていくことではなく、新たな史料や証言に触れたときには、それまでの自分の認識そのものを改めていくことなのだと、改めて感じました。

    もう当時を直接知る方々の多くは亡くなられ、これから新たな証言を聞く機会はますます少なくなります。だからこそ、残された記録や証言を掘り起こし、当事者の声を後世に伝えていくことには大きな意味があると思います。

    大和の最期を知ることは、単に一隻の巨大戦艦の最期を知ることではありません。
    そこには、合理性を失った組織の中で、命を懸けることを強いられた一人ひとりの人間がいました。

    この本によって明らかになった新たな事実は、とても重いものでした。
    これまでの「知識」を一度見直し、歴史を学び直すきっかけとなる一冊でした。

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    2026年09月11日
  • 戦艦「大和」最期の新証言

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    戦艦大和は大日本帝国海軍の象徴であり、当時の世界最大の戦艦だ(超弩級戦艦)。史上最大の46センチ砲を三連装三基九門搭載し、その主砲から繰り出される弾は重さは1.5トン(乗用車程度の重さ)、飛距離は42キロ先まで届く設計である(実際は30キロ程度)。これは東京駅から戸塚までの距離に相当し、発射から着弾までに90秒かかると言われる。大きさについては、全長263メートル、最大幅40メートル、艦橋の高さは艦底から50メートル近くあったそうである(設計図が失われたため正確な数字はわからない)。その大和が太平洋戦争終盤に沖縄に向けた海上特攻にて沈没した事についてはよく知られている。多くの本では、大和の所属する第二艦隊司令長官である伊藤 整一中将に対して、中央からの作戦伝達を担った草鹿龍之介中将が語った言葉「一億総特攻の魁となって欲しい」、そしてそれに対する伊藤中将の返信「それなら分かった」というやりとり。あまりに有名なこのシーンであるが、そのやり取りが実際にどうであったか。いまその真実を知る関係者はもう居ない。だが戦史研究の第一人者である原勝洋氏が戦後に当時の関係者に行ったインタビューと、その実録テープが残っていたことから、本書に話が繋がっていく。原勝洋氏の後継者である筆者池田 遼太氏は以前にも「山本五十六、最期の15日間」を書いているが、本書は師である原氏から託された大量のインタビューテープと、原氏との約束の中から生まれた一冊である。原氏が生前墓の中まで持っていくとしていた戦艦大和海上特攻の真実について、原が亡くなった今、筆者が原の想いを担い代弁していくものとなっている。
    話はよく知られる大和戦績に触れ、終盤は神重徳が立案して、強行したと言われる海上特攻の話が中心となっている。神の作戦は無謀かつ片道燃料しか搭載を許可しなかった事から、生還を期さないまさしく特攻であったのだが、そこに話が至る経緯については、関連書籍などから知る事の出来る話は前述した様なものだ。伊藤整一中将が一億総特攻の先駆けとなったという件である。ここでは通常、神重徳の強行や伊藤整一の美談だけが語り継がれている。確かにその側面はある意味正しかったと言える。当時の日本に残された国力や大半の艦船を失いなす術の無くなった海軍の力を冷静に見た時、大和をむざむざ残したまま「負ける」事は許されない。既に特攻以外に取れる選択肢はなく、誰も代案を考えることが出来ない。一方的に神重徳だけを悪役にして全ての責任をなすりつける事は出来ない。その辺りの本当の経緯を知るためには、当時の状況を多角的に分析する必要があるし、生き残った関係者様々な意見を総合して考えるべきである。
    本書は原が残したインタビューテープをくまなく調べ、原から後継者として想いを託された筆者が、戦後の美談になった大和の最後について、その真実に近寄ろうとするものである。戦史業書や大和に関する多くの書籍では見られない真実に迫ろうとする筆者の気迫や強い気持ちが伝わってくる内容となっており、まもなく終戦記念日を迎えるこの時期に読んでおきたい一冊だ。

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    2026年07月18日
  • 山本五十六、最期の15日間~歴史に埋もれた「幻の3番機」~

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    連合艦隊司令長官山本五十六戦死。戦史としてはかなり有名だが実は未だ知られざる歴史があった。撃墜された2機に続きブインに向かった3番機を、貴重な証言から明かした秘史。

    良くぞZ世代の筆者と生き残り搭乗員の出会う場を神は与えてくれたものだと思う。山本五十六の乗った1番機、宇垣纏の乗った2番機。撃墜された2機とは別行動のもう1機の存在。

    貴重な生き残りの搭乗員への取材から山本五十六の最期の2週間をリアルに再現した一冊。

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    2023年06月01日
  • 戦艦「大和」最期の新証言

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    最近戦争関連のドキュメントをよく見るのでその流れで読んでみた。崩壊している組織が幻想を形にしようと誰もがそれは幻想だとわかっている中で止まることができず仲間を犠牲にしていくはなし。
    映画化とかしそう。

    みんな間違っているとわかっているのに止まれない組織って今にも通じる。

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    2026年09月08日
  • 山本五十六、最期の15日間~歴史に埋もれた「幻の3番機」~

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    数多ある山本五十六に関する本の中でも、おそらく当時同じ地にいた方による回想は貴重であろう。当事者の多くが戦死、あるいは戦後に物故している現代において、現在も生存し、自身の飛行記録をもとにした話を軸にまとめた良書といえる。ただ、長官機にずっと随行していたわけではなく、偶然長官慰問品の輸送任務についただけであり、さらに機体性能によりかなり後ろに取り残されていたため、長官遭難については直接見ていたわけではない。とはいえ、当時の長官ラバウル進出時の現地、長官戦死後の下士官兵たちの雰囲気が分かるのは重要である。

    本書はヒアリングをした方に触発された著者による、山本五十六長官の最後の約2週間を追ったノンフィクション作品である。既存の資料を丁寧に読み、簡潔にまとめて引用している。目新しい内容はほとんどないとはいえ、一事件を綺麗に纏めているので、最後まで一気に読む事が出来た。個人的には良書だったと思う。

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    2023年08月08日
  • 山本五十六、最期の15日間~歴史に埋もれた「幻の3番機」~

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    副題「幻の3番機」にも驚いたが、一番衝撃を受けたのは筆者の年齢だった。1998年と言えば私に言わせればつい最近、失礼な言い方かも知れないが二十代そこそこの若者が書いたという事に驚いた。良くも悪くも戦後教育は太平洋戦争後に駐留したGHQ・アメリカが作った平和主義一辺倒の日本重罪論に徹底したものだ。何処かその後の日本人の記憶から太平洋戦争を消しにかかるが如く、日本史でもほとんど触れられてこない。よって私が原爆や沖縄戦以外の同戦争を知ったのも高校時代に偶々手にした本のおかげで、それまでは日本も昔は大変だったぐらいにしか考えなかった。筆者は大学生の時点で山本五十六の死について調査を始め、ご存命の搭乗員から話を聞いてるではないか。もしかしたら私の時代の教育とは既に変わっているのか、筆者が凄いのか。はたまた変人か。
    とにかく嬉しさも多いに込み上げ、歴史はしっかり繋がれていくという安心感を抱く事もできた。
    様々な科学技術の進歩や新たな証跡の発見など、これから見つかる新事実もあるだろうと思うが、確実に当時を生き抜いた人々は残念ながら少なくなっていく。新たなオーラルヒストリーを生み出す可能性も低くならざるを得ない。何もしていない自分にもどかしさを感じるが、筆者のような存在は心強い。
    本書は連合艦隊司令長官 山本五十六の乗機がアメリカに暗号解読された上で撃墜される海軍甲事件を題材とする。私もこれまで何度か同テーマの本を読んできたが、山本の搭乗する一番機、宇垣参謀の2番機の2機に加え、護衛の零戦6機という認識でいた。陸攻の輸送機(視察先への山本の心遣いの品を運んだ)がいた事は知らなかった。因みに護衛機のその後を描いた「六機の護衛戦闘機(高城肇)」もかなり昔に読んだものの良い内容だったと記憶してる。陸攻 3番機は旧型で遅れをとったせいで前を行く二機の戦闘には巻き込まれなかった。その機の操縦士がご存命であり、筆者が話を聞くところから始まる。
    内容は物語風に描かれているが、タイトルの通り山本長官の最後の15日間における、優しさや人間味溢れる描写が中心となる。また戦時の最上級の人間が危険を冒してまで最前線に出向く事で起こる周囲の混乱状況なども見えてくる。ストーリーの本題からはやや逸れるが、陸軍の方面軍今村均中将と第十七軍の百武晴吉中将のやりとりには涙が溢れた。また山本を囲む連合艦隊参謀長宇垣と先任参謀黒島亀人大佐の参謀の地位を巡る関係性の変化など面白い点をしっかり押さえている。本書の筋からするとさほど重要ではないかもしれないが、太平洋戦争全体の流れの中で何故山本が危険を冒してまで前線を視察し兵を直接鼓舞するに至ったのかという面では、宇垣の提案という表面的な記載しか無いので、対峙するアメリカとの状況描写という点がさらにあっても良かったと思う。前述の通り現地での山本中心の視点、周りの現場視点がメインのため、頁の都合も有ろうかとは思うが。
    それにしても、最後の15日間をあたかも自分が一緒に過ごしたかのように、シーンが目の前に鮮やかに広がり、結論が解っていながらも幻の3番機若しくは護衛機上から、P-38の猛攻から何とか逃げ切って欲しいという感覚に陥っている自分がいる。解っていながら早く長官をジャングルから助け出して欲しい!そんな気持ちになってしまう。その様な側にいるかの感覚は、筆者が上手いのか自分の感受性が高すぎるのかはさておき、是非若い人に沢山読んでもらいたい。さらに今村均や百武晴吉、宇垣纏、小沢治三郎、草鹿任一とそれぞれ各人を中心とした何冊もの書籍があり、そこまで興味を広げられると、また違った世界観が身につくのではないだろうか。

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    2023年04月30日
  • 山本五十六、最期の15日間~歴史に埋もれた「幻の3番機」~

    Posted by ブクログ

    丁寧な取材を基に臨場感ある内容に仕上げられている。
    熱病に苦しむ登場人物たち、衛生兵の奮闘、飯炊き係の心情なども細かく描かれている。
    戦闘を指揮するにふさわしい人が暗殺対象となり失ったときの周囲の暗澹たる想いはどれ程のものか。戦争とは自らの命を国家に捧げる以上は一人一人の死について、もはや生きている人の記憶のなかにしかない部分も多く、その世代が失われつつある昨今、このような書籍をいかに残すか、私たちは課題に見舞われている。

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    2024年01月03日