J.S.ミルのレビュー一覧

  • 大学教育について
    ミルがイギリスのセント・アンドルーズ大学の名誉学長就任する際の講演録である。なんと草稿に1年の準備期間を取ったという。彼は大学を出ているわけではないが、哲学者・経済学者という立場で、新聞や雑誌で公共知識人として意見を述べていて、多くの知識人に影響を与えた。

    講演から150年が経過した今でも大学にお...続きを読む
  • 自由論
    「最近、ミルの『自由論』の翻訳でよいものが出た」と聞いたので、読んでみました。
    1850年代に書かれた本ではありますが、現代でも十分に通用する内容だと思いますし、リベラリズムやネオ・リベラリズム、リバタリアニズムを考える上でも参考になると思います。

    個人的には、ミルの『自由論』は、進化論との相性が...続きを読む
  • 自由論
    ミルの自由論を読んだのは学生時代以来。現代語訳になったためか、歳をとったためか、それほど突っかかることなく読み終えた。

    他者に危害を加えない限りは自由である、というミルの根本原則など現代にも通用する点は多い。やや個人の判断力に信頼を置きすぎな印象はあるが、全体として納得感のある内容だった。宗教との...続きを読む
  • 自由論
    2020年の訳なのでかなりよみやすい。津村のよみなおし世界文学のおすすめ本の1冊で、文学書ではないが読みやすい。実例はキリスト教に関する者も多いがそれ以外のものもある。実例があるところはわかりやすい。常識の範囲で論を追っていけるので理解しやすいと思われる。
  • 大学教育について
    個人的なハイライトは知的教育の意義を提示した部分。ミルによれば、大部分の真理の認知においては直覚に頼ることができない。この弱点を矯正、緩和するのが知的教育である、という。
    たしかに大学教育を経た者は、全員ではないが、観察可能な部分から原理原則を推論することに長けている。この点については大学教育がある...続きを読む
  • 自由論
    本書の主題は社会の中での「自由」について。つまりは、社会が個人の行動を規制することができる状況において、何が個人の自由の領域であるか。言い換えると、社会は、個人の不可侵の領域として、どんなことをしてはいけないか。また、そのためにどんなことを推奨すべきかということを論じた本。
    1859年初版。

    その...続きを読む
  • 功利主義
    ミルが晩年に、功利主義の考え方についてまとめた本です。功利主義は、現代においても誤解や先入観によって批判的に捉えられることが多いですが、当時(1860年代)のイギリスにおいても、同様でした。本書は、想定される批判を潰していくという形式を取っており、当時の風当たりの厳しさを肌で感じ取れます。

    ミルは...続きを読む
  • 功利主義
    「功利主義」という名称から自己中心的な意図を感じ取っていたが、それは全くの誤解であった。解説でも触れられていたが、功利ではなく効用、全体の幸福の最大化が「功利主義」で正としているものだと理解した。
    けれども全体の幸福とはなんだろう。周囲の幸福のために個人が進んで損害を被ることは功利に向かうのだろうが...続きを読む
  • 功利主義
    自然権といった経験を越えた普遍的な原理により何が正しいかを判断すべきでない。個々人の幸福はさまざまで、幸福の優劣を判定する客観的な基準はない。行為の正しさはそれが何をもたらすか(帰結)、幸福をもたらすかどうかで判断すべき。幸福は善であり、苦痛は悪。幸福をできるだけ増やし、苦痛はできるだけ減らす。自由...続きを読む
  • 自由論
    この作品の影響は日本国憲法にも垣間見える。
    自由論が示す「他人の利益を損害しない限り許される自由」を決して忘れてはならないと思う。
  • 大学教育について
    まず僕含め、ミルが語っているような学生生活を送る学生がほぼいない、この日本の「大学」という機関に絶望した。(勿論僕の環境に限った話ではあるが)

    それは文理選択を高校の時に迫る制度が一つの原因だろう。文系が化学や数学をやらなかったり、逆に理系が歴史を勉強しないことが当然と言っても過言ではない制度だ。...続きを読む
  • 大学教育について
    ヤスパースとかと比べるとはるかに具体的で、ミルらしいのかもしれない。大学論の古典としての位置づけみたいなのは定まってるのかな?
  • 大学教育について
    平成バブルが崩壊した頃から、大学生が大学教育にもとめるものが変質した。文部科学省の考え方も変わっている。
    それは、一言でいえば、大学教育の目的について、ミルのしているようなきちんとした検討をしなくなったこと。大学教育が就職の手段、企業の利益の手段と化し、手段が目的化している。近年の実学重視、理系優位...続きを読む
  • 大学教育について
    大学は職業教育の場ではない。では何を学ぶ場なのか。日本が明治維新を向かえるまさにそとのき、スコットランドでかのジョン・スチュアート・ミルが、学生選出の名誉学長就任講演として、大学教育の原点と理念を既に話し尽くしている。これは大学に入学した学生、そしてあまりにも経営・商業主義的な部分に偏りすぎている現...続きを読む
  • 大学教育について
    『学問ノススメ』と合わせて読むことで、明治期に開国間もない日本も含めたグローバルな大学教育関係者が「学問」になにを目指していたのかがよくわかる。
  • 大学教育について
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    人間が獲得しうる最高の知性は、単に一つの事柄のみを知るということではなくて、一つの事柄あるいは数種の事柄についての詳細な知識を多種の事柄についての一般的知識と結合させるところまで至ります。(中略)広範囲にわたるさまざまな主題についてその程度まで知ることと、何か一つの主題をそのことを主と...続きを読む
  • 大学教育について
    「真に教養ある人間は、すべて(everything)について何事か(something)を知り、何事かについてはすべてを知る人間だ」と述べ、その体現者であったと言われるJ.S.ミルのセント・アンドルーズ大学名誉学長就任講演。
    歯切れよく語られる150年前の教養養育論と大学論は現代でも少しも色あせない...続きを読む
  • 大学教育について
    1867年に行われたミルの名誉学長就任演説.
    大学教育の目的と役割が古典教育と科学教育を両立させた教養教育にあると説き,個々の学問の意義を簡潔に説く.考え抜かれた言葉が読むものの心にまっすぐ届く.
    教養と大学が結びつかなくなり,教養が良き社会人の必須科目でなくなった現代であるにもかかわらず,ミルの言...続きを読む
  • 自由論
     大学の授業にて、offendとharmの違いを知ったことを思い出しました。

    offend:相手の気分を害する
    harm:相手を身体的に傷つける

    harmは、いくら自由とはいえ許されない、とのことでした。同感です。
  • 自由論
    ・功利主義を前提とした著書。

    ・社会的自由:個人がそれぞれの個性を発揮する。そしてその個性の結果の言動によって他者を害することなく、様々な幸福を追求していくこと。だから、他者を害していない(一般的功利を損なっていない)行為の抑制は不当であり、そのラインまでが社会が個人に対して行使できる権力の限界。...続きを読む