尾山宏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
安倍晋三元首相の言葉や話し方の巧みさに改めて感銘を受けた。オバマ氏やトランプ氏といった各国首脳に対して、必要な主張ははっきりと伝えつつも、相手を逆撫でしない絶妙なバランスでコミュニケーションを取る姿勢には、まさに「外交の安倍」と呼ばれる所以を感じた。
また、各国の首脳の個性や特徴が具体的に描かれており、外交の舞台裏を垣間見るような興味深さがあった。さらに、あの安倍元首相ですら大切なスピーチの前には何度も練習を重ねていたというエピソードを知り、強い親近感を覚えた。
もともと政治に深い関心があったわけではないが、この本を通して政治や外交への興味が大いに高まった。特に日本の外交体制については、今後もニュースを注意深く追っていこうと思う。
ちょうど先日、トランプ大統領が天皇陛下と会談を行った際、スーツのボタンをしっかり留めていた姿が印象的だった。これは、かつて安倍元首相が「陛下の前ではボタンを閉めるように」と説明していたからだと知り、トランプ氏が安倍元首相を深く敬意をもっていたことを改めて感じた。 -
Posted by ブクログ
『安倍晋三回顧録』は“是々非々で評価するための素材”を与えてくれる一冊です。支持・不支持の感情をいったん脇に置き、政策ごとの狙いと帰結、そしてその際に生じたコストをていねいに見ていく――その視点で整理すると、次のように読めました。
まず、第一次政権期に動いた教育基本法改正、防衛庁の省昇格、国民投票法、集団的自衛権の法整備は、保守色の強いアジェンダであり、批判を招きやすい領域です。一方で、日米同盟の再定義や安全保障の現実対応として一定の妥当性を主張できる領域でもあり、賛否は“価値観”に大きく依存します。回顧録はこの価値判断の根拠(歴史観・危機認識)を提示しており、賛成であれ反対であれ、論点を可視化した点は評価できます。
第二次政権期の中心は経済政策、いわゆるアベノミクスです。金融緩和と円安が輸出企業へ有利に働いたのは事実として、同時に観光・インバウンドや地方のサービス業に波及効果があったという自己評価も示されます。ここは中道として、功罪を切り分けたい。資産価格や企業収益は押し上げられた半面、実質賃金の伸び悩みや物価・為替の副作用が家計に与えた影響、財政の持続性という宿題も残った。回顧録の自己弁護的なトーンは織り込みつつ、政策が“誰をどれだけ助け、誰にどれだけ負担を強いたか”という配分の視点を読者側で補う必要があります。
財務省との緊張関係や消費増税の先送りについても、短期の景気下支えという合理性と、中長期の信認・財政規律のバランスという課題が対になっていました。森友学園問題に関する叙述は、政権側の見取り図を知る材料にはなりますが、出来事の全体像を理解するには他資料との照合が不可欠です。ここを“官僚組織の陰謀”と単純化すると、かえって説得力を損ないます。中道としては、行政手続きの透明性、説明責任、メディア報道の検証可能性という制度面の教訓に引き寄せて評価したいところです。
総じて、左派が安倍政治を嫌った理由は安全保障観の違い、統治スタイル(トップダウンと官邸主導)、メディアとの距離、説明責任の姿勢――複数の要因が積み重なって不信が形成された、と見るのが妥当でしょう。同時に、支持側が評価したのは、意思決定の速さ、外交・安保の一貫性、景気対策の“方向性”でした。つまり、評価は“方向性と手続き”の二軸で正反対になりうる、ということです。
回顧録は当然ながら自己史観に寄ります。しかし、筆者の動機や判断の内部論理を直接たどれる一次資料でもある。中道の読み方は、①政策の目的・手段・結果を分けて検討する、②便益と負担の配分に目を向ける、③説明責任と統治手続きの適否を独立変数として評価する、の三点に尽きます。賛否の“感情”ではなく、“基準”で読む――そのとき本書は、現代日本の統治を考えるための実務的な素材として、十分に価値を持つと感じました。 -
Posted by ブクログ
今書いているのは8日の午前四時前だ。去年の今日は大変驚いた。出版当初からとても注目された本だったが、その時点での俺の関心は薄かった。いくら回顧録と言えど、機微に触る発言や質問はさすがにないだろうと思っていたからだ。しかし読んだ人のレビューなんかを見ると、思いのほかしっかりとした本らしい。それで一度は読んでみようと思い、メルカリでなるべく安く購入した。たしか1500円くらいだったと思う。読んでみたら安倍政権のことがよく分かった。特にコロナ対応とか、選挙の話は興味深かった。ダイヤモンドプリンセス号が帰港し、乗客が日本に渡ったとき、コロナが流行するおそれを大いに感じたが、政府としてもとても危惧していたらしい。しかし人権問題などもあって十分な隔離措置を講じることもできず、あのような事態になってしまったそうだ。当初はコロナも新型インフルエンザと同等の感染症だろうと過小評価していたそうだが、感染が広まるにつれて危機感は増し、緊急事態宣言のころには満場一致になっていたそうだ。あの事態に政府の対応は大変骨が折れただろうと想像できるが、本当にそうだったらしい。省庁の連携も十分にはできず、本当に手間取っていたそうだ。このころから大規模感染を予言していたばあちゃんは本当にすごい。あとは選挙の公明党の役割なんかもおもしろかった。保守的な自民党と組織力の高い公明党の連携は、本当に強力らしい。そりゃ創価学会の党であるのだから、組織力は高いだろう。結局統一教会とかの記述は見られなかったが、選挙のためというのが実情だろう。しかし宗教と政治は分離していてほしいものだ。とてもいい本だった。いろいろな資料も付いていて、思わず熟読してしまった。
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政治は難かしい
虚実で飾っている部分や、長として言へない内容もあるだらうが、裏話や正直なところもあり、おもしろい。
公明党が応援すると票が2割増えて、創価学会に低頭平身だと語ってゐる(笑)。黒川検事長よりも林検事長のほうが親しいと言ってゐて、英語の授業で政治の話ばかりしてゐた講師の話を思ひ出した(ひどいね)。コロナウイルス薬のアビガンを北朝鮮高官が欲したなんて話も、惜し気もなくバラす。
雇用政策のところを読むと、リベラルな考へも取り入れてゐて、ぜひこの調子で岩盤規制の撤廃や、同一労働同一賃金に取り組んで、メンバーシップを破壊してほしかったと感想してしまった。
政治は難かしい。他国、他議員、他勢力との均衡をはからねばならない。イデオロギーだけの政治はむりである。 -
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国の総理が漫画や小説ではなくノンフィクションとして政争や外交を語った本として、読む価値があると思う。2006年の第一次安倍内閣、2012年末から2022年までの第二次安倍内閣の総理大臣としての言い訳、手前味噌の自画自賛も入った回顧録。一生懸命に考えて、総理大臣という職を続けたことは判るが、考えの方向性が私と全く合わないことが良く判った。
・コロナ対応:厚労省の薬務課長が薬事承認の実質的な権限を持っているが、課長クラスの人事権は内閣にないので言うことを聞いてくれません とのこと
薬害エイズで課長クラスが有罪になったので、アビガンにハンコ押すと後から何言われるか判らないから・・・ 緊急時なのだから首相責任で承認すればいいじゃん!あべのマスクはつくれたのに!
・北朝鮮拉致対応:最も尽力してきたこと ・・・拉致被害者は気の毒だが、そこまで国をあげてやることか?ミサイル開発阻止の方が大事なのに、大局をみていないのでは?
・後継者に菅氏支持:岸田支持だったが 妻の昭惠に言われて・・恩が大きかったのでってヤクザの盃か?
・アベノミクス:金融緩和、消費税先送り、→ 国家財政は火の車。つけは後世に
・憲法と自衛隊:集団的自衛権を認める憲法解釈見解を決定。9条に自衛隊を明記したい。→ 専守防衛の方法は他にもあるのでは? 防衛費をSFでよく出てくるバリアの開発につかうとか。憲法改正より実務でしょう!
・トランプとゴルフ:一時間半電話で雑談→愚痴か自慢かわからないが、こんなことで国の命運が変わるのは あきれるばかり。
・森友問題:財務省が勝手にやった。忖度される方はどうしようもない。財務省の策略?→ 脇が甘い。官僚やマスコミ対応がお粗末。弁解の余地はない
・特定秘密保護法:政権が揺らぐのは自民党内で信頼を失うとき。世論の反対が多い時は党をひきしめて法案を成立させる→ 世論が正しいとは限らないが、政治家のおごりが垣間見える。
単なる人気取りではなく、日本という国の将来を考えた内政・経済・外交の舵取りをしたとの自負はわかるが、少子高齢化や国の借金に対する危機感の低さは将来の日本に大きな重荷を背負わせた内閣だったと言えるのではないだろうか? -
Posted by ブクログ
・大統領制は敵が野党だが、議院内閣制は敵が身内だという英テリーザ・メイ首相との会話
・欧州に対して中国の脅威を説き続けた
・多様性と人種にばかり関心のあるオバマとのビジネスライクな付き合い。広島訪問とパールハーバー訪問のバーター取引
・2014年クリミア侵攻に対してロシアへの非難声明をあげる際、英ジョンソン首相が「侵略」という言葉を入れないよう進言した。歴史学者のジョンソンによるとイギリスは世界の四分の一を侵略した国家になるため
・プーチンの人間的な一面とトランプとの蜜月。面子にこだわるこの二人はよく似ていていると思った。
海外首脳陣のやり取りが生き生きと記されているのに対して、官僚や政敵とのやりとりは苦々しい感じで描かれている。
「アベノミクス」について言及されていないのは、消費税増税によってデフレに陥らせたように、経済についてあまり理解していなかったのではないだろうか。
二度目の退陣は、「桜を見る会」をめぐる政治資金規正法違反が原因だと思う。知らなかった、秘書のやったことという政治家らしい逃げ口上が残念。
巻末の菅元首相の献辞が感動的で、人情に篤く演説の上手い政治家だと思う。
金権政治と経済政策は残念だった。