小宮山功一朗のレビュー一覧
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面白くて1日で読んでしまった。
途中まではデータセンターって、ケーブルって、といった話や歴史的な所から、最終的には現代の戦争の話になっていく。
データのあるところにデータは集まる。DCのある所にDCは集まる。距離遅延が減るから、税制や電力供給なども良くなるから。
法制も関係があり、ロシアなどは自国のデータ監視が厳しい。EUは自分のデータは自分達の自由、など考え方が異なり、法律にも関係してくる。比較的緩い国、税制的に有利な国などに拠点が出来やすい。
生成AI関連などで、EUの法律には未対応、といった時があるが、こうした背景があるのか…と納豆。
各国は物理的なケーブルで繋がっているが、海底4000キロ(富士山の高さぐらい)の海底にある6cmぐらいのケーブルを釣り針で引き上げて修理…と気の遠くなる感じ。しかも年100回は断線しているとか… -
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職場同僚の紹介。
Audibleにて。
サイバースペースは仮想世界のはなしとして、どこかふわふわと世界で唯一のフラットで境界のないものを想像してしまいがちだ。
この本ではサイバースペースを実現するための最重要物理層である、データセンターおよび海底ケーブルに着目し、実際に現地で取材した内容をもとに、そのようなイメージを払拭し、サイバースペースにおける地政学を講じている。
日頃デジタル技術を利用するときには意識しないが、堅実にその便利さを支えてくれているインフラに気づかせてくれるとともに、その危なっかしさを学ぶこともできる学びの多い本だった。 -
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サイバースペースの地政学
著:小宮山 功一朗
著:小泉 悠
ハヤカワ新書 026
いきなりデータセンターである
ネットワークの7層のうちの下1層、物理層がデータセンターのきもである
千葉ニュータウンにあるデータセンター
そのインフラエンジニアの聖地が、本書のテーマである
なぜ、千葉ニュータウンなのか
・北総台地の地盤が堅固で、地震を含めた災害リスクが低い
・都心から、30~40Kmという比較的交通アクセスのよい土地である
そして、データセンターが集まり出すと
・電力会社は、特別高圧電力の供給を
・通信会社は、高速で、安定した通信回線を、この地に優先して供給するようになる
つまり、一度、データセンターが集まり出すと、ネットワーク効果が生まれ、さらなるデータセンターを
呼び寄せることとなる
日本と海外とのインタネット通信量は、99%が海底ケーブルだ
2024年01月現在、世界には、574本、総延長140万kmの海底ケーブルが存在している
海底ケーブルのルートは、19世紀に往来が活発であった海の交易路と似ている
マラッカ海峡やスエズ運河などの海上交通の要衝は、海底ケーブルのルートしても、やはり重要なポイントである
実際のデータセンターでの電力消費量は、機器そのものの電力量ではない、機器を最適に保つための冷却装置の電力量、つまり、空調費用がふくまれている
データセンターとは過酷なところ
・寒い
・湿気が大敵、長時間いれば、肌がカサカサになる
・うるさい、キーンというファンのノイズが、センターには満ちている
・特殊なにおいがする
ここでいうリスクとは、中国の漁船に誤ってケーブルを切断されたり、ロシアの攻撃にさらされないように管理しようだ
目次
はじめに
第1章 「チバ・シティ」の巨大データセンター―千葉ニュータウン
第2章 日本がサイバースペースと初めて繋がった地―長崎市
第3章 ケーブルシップの知られざる世界―長崎市西泊
第4章 AI時代の「データグラビティ」―北海道、東京
第5章 海底ケーブルの覇権を巡って―新たな戦場になる海底
第6章 ポスト帝国のサイバースペース―エストニア、ロシア
おわりに
謝辞
ISBN:9784153400269
出版社:早川書房
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:1000円(本体)
2024年06月25日初版発行 -
Posted by ブクログ
現代の人間にとってサイバー空間なしの生活は考えにくい。
しかしサイバー空間は当然データセンターや海底ケーブルという物理的インフラがあることで成立している。
物理的なものであるので、機械は電力を大量に消費するし、ケーブルは破損する。
また利用者とデータセンターの通信距離が遠い場合、わずかな通信遅延も発生する。
データセンターが集まる地域はサイバー空間を含めた地政学的な重心と言える。
海底ケーブルの脆弱性にも注目が必要である。
攻撃側が海底ケーブル破壊にかけるコストは防御、修復側のコストに対して圧倒的安価となるため、攻撃側が有利になる。
筆者のうち一人の小泉氏は専門はロシアの軍事安全保障だが、
過去にサイバーセキュリティシンポジウムで基調講演されていたことを偶然拝見している。
本書でもロシアを切り口にしながらもある種普遍的な問題提起をなされている。
サイバー空間を守りたい人、すなわち現代人の全てに読んで欲しい一冊。 -
Posted by ブクログ
サイバースペースの物理的実体を捉えて、有事の際のリスクを考えてみようという本。面白かった。
インターネット/サイバースペースは、利用者側からはバーチャルな空間と認識されがちだが、当然物理的な実体を伴っている。
それは物理的なサーバ群であり、それを収容するデータセンター(DC)であり、そこに電力を供給する送電網であり、国間を繋ぐ海底ケーブルだったりする。これらは有事には攻撃対象となり、平時には諜報の対象となる。
個人的には、本書でも紹介されている千葉ニュータウンの某DCに行ったことがあるのだが、千葉ニューって他にもDC多いよな、地盤が硬いのかな?などと呑気に考えていた。本書を読むと、理由はそれだけではないことがわかる。一つDCができると、回線業者が通信回線を増強し、電力会社が送電網を強化する。そうすることで、DCに適した環境になる。そうすると、他の事業者がその地域にDCを新設しやすくなる、みたいなメカニズム。
そうやって集まったDCは有事には敵国からの攻撃対象になる可能性があり、ITインフラの重大なリスクであるとの視点が提示される。
他にも海底ケーブルの敷設や補修の話も興味深い。普段意識しない、知らない世界を垣間見れる本でした。これは男の子が好きなヤツですわ。 -
Posted by ブクログ
現代の安全保障は国家や特定の省庁、一部の専門領域だけで考えることができないことをあらためて感じさせられる。
新型コロナウィルスやロシアによるウクライナ侵攻であらためて注目されるようになった偽情報や情報戦の重要性。
日本では今まで言語的な壁にも守られていたことで、海外からの偽情報拡散の脅威にさらされていなかったこともあり、根本的な問題意識も欠如している。
しかし、ロシアによる情報戦の手法にも見て取れるように、
何も正しいように見える偽情報を拡散されることだけが脅威なのではない。
複数のチャネルに迅速に、また継続しながら、反復して情報を拡散することで、事象を分かりにくくすることだけでも、群衆心理に一定の影響を与えることができる。
日本は平時の外交上の失敗での反省からYou Tubeでの英語情報発信などを外務省が行っている動きがあり、偽情報に関する関係省庁の枠組みも作られているが、偽情報の脅威に対する包括的な対策という意味では道半ばである。
情報安全保障を確立するためには情報統制も不可欠であるが、表現の自由や民主主義との相性が悪く、国民の理解を得られる情報統制のあり方への議論が必要だ。いざというときの省庁連携もうまく機能するか分からない。
ファクトチェック機関が本書の定義では3機関しかないというのも心許ない。
また情報はインフラがなければ拡散も統制もできないが、
論理インフラは通信事業者、すなわち企業による部分がほとんどであり、物理インフラも攻撃時の復旧などは現場技術者の能力に頼らざるをえない。
ウクライナのゼレンスキー大統領が成し遂げたような、言葉と意志の示し方により、各国の協力や共感を得たという事実もある意味見習う必要がある。
ロシアの情報作戦部隊は群衆心理を研究しており、外交官、専門家以外にもジャーナリストや作家など、多様な人材で構成されているとのこと。
日本は今後包括的な情報戦に向けて、官民問わず連携し、多様な視点で情報の分析、統制を行える体制を作る必要がある。 -
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ディスインフォメーションをキーワードに現在の情報安全保障に関して3人の著者がそれぞれの観点から各章をまとめた本。特に現代情報戦争における物理インフラと情報インフラに焦点を当ててるのが特筆すべき点であった。物理インフラのレジリエンスや、企業に掌握される論理インフラのガバナンス不透明さなど、これらが戦時に与える影響とその対応について、高市政権が考える国家情報局で十分に検討されることを望む。
そもそもサイバー空間はそろそろ規制が必要かもしれない。「民主主義が脅かされている」という具体的な一面を知った。しかしながら、自由な情報の堅持、データの分散、選挙の保護、で、民主主義を守ってく必要はある。
情報はもはや闘争手段のひとつであって安全保障の一領域である。 -
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通信技術に関わる仕事をする中で最近セキュリティが注目されている。すこし幅広くいろんな角度から知識を得たいと思っていたところに遭遇した本。タイトルを見てこれは読んでみようとなった次第
ちょっと物足りない。地政学とタイトルをつけるなら地理的要因に関する戦略で国家戦略の経済や技術とどう関連するのか、陸続きの国と海に囲まれた国での違いなどはもう少し詳細は議論があるとよいと感じた。海底ケーブルを巡る各国の状況などや現地の見聞情報、歴史的な説明はとても参考になったが、どういう国家のポジショニングにつながるか、覇権争いなどについてもっと考察の記述があると良い。それでも海底ケーブルを巡る企業の話とサーバーセンターの土地勘は技術者、経営者の人に多少なり参考になる情報提供だと思う。サーバーの土地が不動産に影響するというところは投資家には常識なのかもしれない。この本の情報をもとにアメリカ、中国、ロシアについて海底ケーブルに着目すると有線系通信の戦略議論は考察できそう。ヨーロッパなども含めて無線通信方もどうなるのか考えるとより通信技術に対しての地政学として考えていくことができそうだと思えた。 ヨーロッパでも島国と陸続きの国で無線がどう意味づけられていくのかは、ちょっと好奇心をそそる。
データの流通においてネットワークの重心(グラビティ)に着目した話は、今後のネットワークセキュリティで何(What)を保護するのかという観点とどこ(Where)を保護するのという観点が、セキュリティを考慮する設計で重要と理解できた。あまりセキュリティには精通しておらず疎かったのでよい知識獲得の機会だったと思う。 もっとセキュリティについての知識は学んでいこうっと。 -
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それこそハヤカワ文庫から出ていた『100年予測』だっただろうか。
未来の戦争は、宇宙空間とサイバー空間の中が主戦場になる。
あっという間に決着がついてしまうだろう、といった話。
本書を読みながら、そんなことを思い出した。
ただ、自分が思っていた以上に、この問題、「物質」に縛られる側面があるようだ。
例えばデータセンター。
大都市から距離があると、通信のタイムラグが生まれるため、大都市近郊に設けられることが多いという。
大量の電力を食うため、送電などのインフラが整っている必要もある。
現在は衛星を使った無線通信などの新しい技術も開発されたとはいえ、海底ケーブルも通信には必要なのだとか。
そうすると、大陸に向けケーブルを通しやすく、陸揚げポイントに適した地形にある程度制約があるため、明治大正の頃に敷設された場所が現在でも重要な場所となるとのこと。
海底ケーブルの維持をする「ケーブルシップ」の活動については本書で初めて知った。
ケーブルは船の錨が当たったりすれば簡単に切れる、もろいものなのだそうだ。
ひとたび切れてしまえば、海中ロボットを使い、どこで切れているかを突き止め、つなぎなおすという超高難度なUFOキャッチャーのような作業をして直していく。
すごい技術だと思うし、このケーブルシップが能登の震災などの大災害時に、海から通信を修復すべく活躍しているという話は面白かった。
本の後半は、「地政学」と銘打つ本にあるような話。
具体的には中国が技術力と資金力でシェアを高めていることや、ロシア政府がどのようにネット監視体制を作っていったかなどだった。
本書からは知らなかったことを学ぶことができたのだが、この辺りを読んでいると、どうも気持ちが沈んでくる。