【感想・ネタバレ】偽情報戦争 あなたの頭の中で起こる戦いのレビュー

あらすじ

■現代の戦争は我々の「頭の中」でも起きかねない。新時代に必要な情報安全保障について、 ロシア軍事専門家の小泉悠氏はじめ気鋭の専門家3人が提言する!

[目次]
第1章 外交と偽情報―ディスインフォメーションという脅威 桒原響子
第2章 中国の情報戦―その強硬姿勢と世界の反応 桒原響子
第3章 ロシアの情報作戦―陰謀論的世界観を支える理論 小泉悠
第4章 ポスト「2016」の世界―ロシア・ウクライナ戦争までの情報戦の成功と失敗 小泉悠/桒原響子
第5章 情報操作とそのインフラ―戦時の情報通信ネットワークをめぐる戦い 小宮山功一朗
第6章 民主主義の危機をもたらすサイバー空間―「救世主」から「危機の要因」へ 小宮山功一朗
終章 日本の情報安全保障はどうあるべきか 小泉悠/桒原響子/小宮山功一朗


〈著者略歴〉
小泉悠(こいずみ ゆう)
東京大学先端科学技術研究センター講師。専門はロシアの軍事・安全保障政策。早稲田大学大学院政治学研究科(修士課程)修了後、民間企業勤務、外務省国際情報統括官組織専門分析員、公益財団法人未来工学研究所研究員、東京大学先端科学技術研究センター特任助教などを経て2022年から現職。主著に『ウクライナ戦争』(筑摩書房)、『現代ロシアの軍事戦略』(筑摩書房)、『「帝国」ロシアの地政学』(東京堂出版)などがある。

桒原響子(くわはら きょうこ)
日本国際問題研究所研究員。大阪大学大学院国際公共政策研究科修士課程修了(国際公共政策)。外務省大臣官房戦略的対外発信拠点室外務事務官、未来工学研究所研究員などを経て、現職。京都大学レジリエンス実践ユニット特任助教などを兼務。2022~2023年は、マクドナルド・ローリエ・インスティテュート客員研究員としてオタワで活動するとともに、米国シュミット財団(Schmidt Futures)2023 The International Strategy Forumフェローとしても活動。著書に、『なぜ日本の「正しさ」は世界に伝わらないのか:日中韓 熾烈なイメージ戦』(ウェッジ)、『AFTER SHARP POWER:米中新冷戦の幕開け』(共著、東洋経済新報社)。

小宮山功一朗(こみやま こういちろう)
一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターで国際部部長として、サイバーセキュリティインシデントへの対応業務にあたる。慶應義塾大学SFC研究所上席所員を兼任。FIRST.Org理事、サイバースペースの安定性に関するグローバル委員会のワーキンググループ副チェアなどを歴任した。博士(政策・メディア)。


※この電子書籍は株式会社ウェッジが刊行した『偽情報戦争 あなたの頭の中で起こる戦い』(2023年1月19日 第1刷)に基づいて制作されました。
※この電子書籍の全部または一部を無断で複製、転載、改竄、公衆送信すること、および有償無償にかかわらず、本データを第三者に譲渡することを禁じます。

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Posted by ブクログ

現代の安全保障は国家や特定の省庁、一部の専門領域だけで考えることができないことをあらためて感じさせられる。

新型コロナウィルスやロシアによるウクライナ侵攻であらためて注目されるようになった偽情報や情報戦の重要性。
日本では今まで言語的な壁にも守られていたことで、海外からの偽情報拡散の脅威にさらされていなかったこともあり、根本的な問題意識も欠如している。
しかし、ロシアによる情報戦の手法にも見て取れるように、
何も正しいように見える偽情報を拡散されることだけが脅威なのではない。
複数のチャネルに迅速に、また継続しながら、反復して情報を拡散することで、事象を分かりにくくすることだけでも、群衆心理に一定の影響を与えることができる。

日本は平時の外交上の失敗での反省からYou Tubeでの英語情報発信などを外務省が行っている動きがあり、偽情報に関する関係省庁の枠組みも作られているが、偽情報の脅威に対する包括的な対策という意味では道半ばである。

情報安全保障を確立するためには情報統制も不可欠であるが、表現の自由や民主主義との相性が悪く、国民の理解を得られる情報統制のあり方への議論が必要だ。いざというときの省庁連携もうまく機能するか分からない。
ファクトチェック機関が本書の定義では3機関しかないというのも心許ない。
また情報はインフラがなければ拡散も統制もできないが、
論理インフラは通信事業者、すなわち企業による部分がほとんどであり、物理インフラも攻撃時の復旧などは現場技術者の能力に頼らざるをえない。

ウクライナのゼレンスキー大統領が成し遂げたような、言葉と意志の示し方により、各国の協力や共感を得たという事実もある意味見習う必要がある。

ロシアの情報作戦部隊は群衆心理を研究しており、外交官、専門家以外にもジャーナリストや作家など、多様な人材で構成されているとのこと。

日本は今後包括的な情報戦に向けて、官民問わず連携し、多様な視点で情報の分析、統制を行える体制を作る必要がある。

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2023年05月21日

Posted by ブクログ

戦争中の国家がまき散らす意図的な嘘情報(ディスインフォメーション)について解説された本。
戦争の当事者になることのない日本にいるとピンと来ない話題に感じてしまうが、まさにそこが日本の立ち遅れている現状とのこと。
社会の分断を煽り、何が正しいのか分からなくさせるような情報誘導の手法(主に中と露)について書かれている。
ファクトチェックの重要性などにも言及されている。

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2024年06月29日

Posted by ブクログ

福島原発処理水の海洋放出を巡って、中国政府が公然と偽情報を拡散しつつ日本から水産物を輸入するのを禁止する一方、日本近海で漁をしている自国船を黙認するという矛盾だらけの言動に対し国際会議で反論する程度の対抗手段しか持ち合わせない日本政府の無力感への焦燥が募ってくる、というのが本書の読後感である。

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2023年10月04日

Posted by ブクログ

買ったあとに、知り合いが著者って気づきました。

難しい書籍でした。文章の表現が難しいのか、取り扱っている内容が難しいのか。読めない漢字もちらほら。

もう、物理的な戦争も、情報の戦争も、サイバーの戦争も、いろいろあるよね。

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2023年07月21日

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