中川千帆のレビュー一覧

  • クラウド・アトラス(下)

    Posted by ブクログ

    時代も舞台もジャンルもスタイルさえも違う6つの物語がシステマティックに練り上げられた小説。映画にもなるくらいなので、こういう構造がかちっとした小説には珍しく、それぞれの話が派手めでドラマティックだったりする。

    冒険風味のサイケな航海日誌から、貧乏を脱出するために有名音楽家の屋敷でエロティカルに立ち振る舞う音楽青年の話、スパイ的陰謀渦巻くサスペンス風味満載の脱原発的社会派ドラマ、借金取りから逃げるためにドタバタと逃げ回るおじさんのスラップスティックコメディ、クローンが精神的に上昇して革命家のイケメンといい感じになりながら世の中を変えようとするSF、んで、未来のその先を舞台としたやるかやられるかの殺戮物語。

    6つとも前半は始まりの予感みたいなのが散りばめられつつも中々話が進まなかったり分断されたりするんだけど、後半ある時点を境にして一気に滑り落ちるように展開する。それはもうついていけないくらい早く。

    てか、ジャンルも舞台装置も全然違う上に、日記やら手紙やら小説やら映画やらあれっぽい丸やらと媒体も違って、もちろん文体も違いつつ、それぞれがマトリョーシカ的に関連してたりもするので、単純に小説6つ分書くよりも労力かかってるよねこれ。普通にめちゃくちゃ面白いし。

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    2013年02月27日