中川千帆の作品一覧
「中川千帆」の「クラウド・アトラス」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「中川千帆」の「クラウド・アトラス」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
小説・文芸
Posted by ブクログ
アダム・ユーイングからロバート・フロビシャーへ。
ロバート・フロビシャーからシックス・スミスへ。
シックス・スミスからルイーザ・レイへ。
ルイーザ・レイからティモシー・キャベンディッシュへ。
ティモシー・キャベンディッシュからソンミへ。
ソンミからスルーシャへ。
過去から未来への因果律を排他的にとらえた【上巻】によって、本作クラウド・アトラスの序章は整えられる。
私たちはバタフライ・エフェクトを信用しすぎている。過去の振る舞いや行いが未来を変えるとすることが、川の流れに例えられるから、頭に入りやすいのだ。しかし、クラウド・アトラスは過去から繋がる因果の途上にいる者たちは、未来からも同様に見えるというものだ。なぜなら、この世界や宇宙の規則で言えば、遠くを眺めることは過去を見ることと同義なのだから。
そういうクラウド(相関)の中に一筋の道があり、遠くを眺める目が迷子にならないよう、未来で精緻なアトラス(地図)を眺めた時、未来の選択肢を変えることは、同軸の過去の結末を変えることになるのではないだろうか。
私がこの物語のもっとも愛している部分は、運命には逆らえないが、あらがうことはできるという一貫した思想だ。そしてそのあらがいは、未来の選択によって過去を変える力を備えた者にしかできないことに加えて、あみだくじのように一筋に繋がった時だけの奇跡でしかない。
「クラウドアトラス六重奏」は、アダム・ユーイングからスルーシャまでの何千年もの時を超えた結末が破り取られた伝記を、スルーシャの手によってアダム・ユーイングの結末を書き替える物語を綴った曲。
映画化された際、サントラにも入った曲でYouTubeでも視聴できます。ぜひ聴いてみてください。
冒頭の登場人物。合計で7人になります。クラウドアトラス六重奏は6人の物語です。
溢れた1人は、果たして誰なのか。因果律の外側に取り残された人を、皆さんも探してみませんか?
Posted by ブクログ
映画はずいぶん前に観ており大好き。細かい内容は忘れていたが、予告編を改めてyoutubeで観てみると、かなり原作に忠実だったことが分かる。過去から未来への時間軸に沿って、6つの物語が展開される。それぞれとっつきにくいが、慣れて面白くなった頃に一つの物語が終わる。一応各章の繋がりはあるが、前章が本や映画の題名として出てきたり、その程度。一つひとつの物語は面白いが、繋がりが希薄なためにこれが一体下巻でどのように収斂していくのかが楽しみでならない。難解という感想が多く読むのを躊躇っていたが、慣れればそうでもない。要は相性のようだ。個人的には「5章ソンミ451→6章スルーシャの渡し」の流れが好み。え、これビル・ゲイツのオススメなの??
Posted by ブクログ
借りたもの。
上巻とは対照的な章立て。時間軸は遠未来から過去へと向かう。
登場人物たちは己の物語の中でふと其々の作品に関わるシーンを思い出し、それを布石に過去に遡るような時間軸の章立てだ。
しかし、各々の物語の中で時にそれは覆される。
過去と未来の時間軸を超越する様は、世界を、歴史を俯瞰で捉えている。
弱肉強食、社会の体制と革命――
人間は生きるために文明を築いたようだが、時に文明によって虐げられる。それに対し否と叫び生きるために闘う人間……
未だ解決できない人間の原罪と苦悩を投げかける。
『ユリシーズ』を思わせる文書は同時に、人間のコミュニケーションの多様性を強く意識させた。
それは触れ合う描写にも言及されているのではないだろうか。
多くの切り口のある、読みごたえある小説だった。