西岡杏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
キーエンスの競争力の源泉にスポットを当て、その仕組みを明らかにすることを目指した本。
『日経ビジネス』誌での連載がベースになっている。
著者も同誌の記者。
キーエンスは言わずとも知れた時価総額約15兆円を誇るファクトリー・オートメーションの雄。高い収益率と、日本の製造業ではトップクラスの従業員年収でも知られる企業である。
本書は、この比類なき最強企業の競争力の源泉を明らかにしようとする。
社内関係者やOBなどに綿密なインタビューを重ねており、この手のキーエンス関連本が最近はよくあるが、その中では比較的内容がしっかりしていると感じた。
キーエンスはFAという製造業の中でもニッチな、けれどもOMRONや三菱電機など歴史ある名門企業がコンペティターに当たる領域で事業を展開している。
その中で粗利率80%という尋常ではない稼ぎ方をしている。
本書からこの理由を要約すると、「新商品の開発速度」と「顧客との接触頻度の高さ」の2つが挙げられる。
キーエンスの新商品の7割は「業界初」「世界初」のいずれかであるとされる。
「顧客志向型プロダクトアウト」を自称しており、その言葉が示す通り、顧客に徹底したヒアリングを行い、その潜在的ニーズをきっちり拾い上げた上で製品を開発する仕組みがある。
故に、競合に先駆けてクリティカルな製品を作れる。
また、キーエンスの代名詞ともなっている質の高い営業部隊もその競争力の大きな源泉である。
採用時に膨大な候補者をスクリーニングし、営業に適性がある人材を見極める。入社後、新人はロープレを1日に何度もして、実践力を作り込んでいく。
その上で、顧客への接点頻度を高めることをノルマとして与えられ、マイクロマネジメント下で「監視」(サポート)を受ける。
このようにして、質の高い営業部隊が再生産されていく。
彼らは、速いかつ高品質な対応故に顧客からの信頼が厚く、高い受注率を誇る。また、ニーズを引き出し、それを効率的に社内に共有している。
これが前者の「開発速度」に繋がっている。
そして、生まれた新商品をもって顧客にアタッチし、、、という正の循環が上手く回っているというわけだ。
また、キーエンスでは年度はじめに全社で「時間チャージ」が共有される。
これは、前の年度に生み出した付加価値(粗利)を、全社員の総労働時間で割った数字である。
これを全従業員に示すことで、「自分が今している仕事が時間チャージ以上に価値を出しているか?」を意識するようになる。
これは非常に良い仕組みだと思った。
自らが生み出す付加価値にこだわる価値観があるからこそ、情報を他者と共有し、シビアな管理を受け入れることができる。
仕組みが、高利益を生むためのカルチャーを作っているのだ。
キーエンスは属人的な人材の能力やモチベーションに期待しない。
「人はさぼるし、ぶれるものだ」という「性弱説」に乗っ取り、「仕組み」で競争力を保とうとしている。
この発想の転換は、今の日本企業全体に求められるものだと思う。
数年間大手JTCで働いて痛感するが、日本人のほとんどの社員の能力は非常に低い。
主体性がなく、スキルを磨くわけでもなく、効率も悪い。大手でこの有様なのだから、中小企業の状況は想像に難しくない。
戦後〜リーマンショックぐらいまでは、頭数の多さと長時間労働、上位レイヤーから下位への強い同調圧力があったから個人の能力が低くても問題なかったかもしれないが、現在の人口オーナスと「働き方改革」による労働時間供給の減少を踏まえると、生産効率を上げていくしか道はない。
日本人社員は能力は低いが、真面目だし、言われたこと・決まったことをこなすことはできる。
だからこそ、仕組みをブラッシュアップし、効率的な業務のこなし方を提示してあげる必要がある。
やり方を変えることに対する初期のリアクタンスはあるが、それは持続しない。彼らには信念がないのだから。
この改革を上位1%の人材が主導しなければならない。
キーエンスは特殊なことをやっているわけではない。
ビジネスの構造や業界の立ち位置が有利なわけでもない。
従業員の主体性に期待せず、ひたすらに仕組みに問題を求めているに過ぎない。
それで日本トップクラスの収益性を実現している。
このことは、どの企業も「キーエンスになり得る」ことを示唆している。
本書を読んで、この考えを改めて強くもった。 -
Posted by ブクログ
いかに効率良く成果を上げるか至極真っ当なことが記載されている。
因みに印象に残ったことを簡潔にまとめると以下のようなこと。
・最終的な成果物に向けて最善を尽くすこと。
・アポイントの最後お困り事はないですか?と必ず聞き、次の提案機会、ニーズを探ること。
・上司、先輩、後輩、壁を作らずフラットで臆せず物言えるような環境であること。
・社内で1質問すると100返ってくること。分かりやすく詳細を熱心に話してくれる。
・社員がサボらないよう社内監査がある。また、ハッピーコールといってアポ後に営業担当の上司が顧客に電話がけして満足度を問う。
・ID制度。この人にはこの商品の需要ありと意見だしすると金一封のインセンティブ有り。
・最大公約数の開発力。粗利8割。顧客が欲しいものは作らない。
要は、真面目に根気強く怠けず継続的に仕事をやる。さらに、仕事に真剣に取り組めるような仕組みづくりがある。例えば、頑張りが報われるために給料高い上にインセンティブがしっかりでる。会社の業績が良いとボーナスがその分出る。
キーエンスの働き方や社内環境、営業方法等、全くもって適切なやり方だが、実際に行動できる会社はほとんど無いんだろうなぁ。言うは易く行うは難し。
成果を出すためにいかに愚直に取り組めるか、今すぐできるのはそこだけかな。成長するための近道など決して存在せず、その数センチの頑張りが他との差をつける大きな要因となるので、熱く取り組んでいこうぜ!って感じの内容。
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Posted by ブクログ
ネタバレゆるブラック企業=やりがいを求める若手を緩く働かせてやる気に答えられない企業。
キーエンスは属人的な才能に頼っているのではない。仕組みづくりと徹底的にやりきる強さ。やりきる風土。
目的をはっきりさせる、その過程で取引先も鍛えられる。
「キーエンスは化石にならない」常に変化し進化し続ける。
「他にお困りの方はいませんか。」常に新規顧客を探す姿勢と圧倒的な速さ。直接営業。代理店を通すオムロンとの違い。
営業は3年で一流になる。ロープレ1000本ノック。
週2日社内日、3日外出日。一日5~10件のアポ。外報は1分単位で書く。5件以上のアポがないと外出が許されない。外報は商談から5分以内で書く。すぐに書かないと真実が書けない。
SFAを徹底的に活用する。
個人の行動をAIで分析して成果を上げる。
顧客には月に3~4回は電話をする。電話の件数もKPI。
勝ちパターンのエピソードをたくさん抱える。商談に現場の人を同席してもらうこともそのひとつ。
採用は性格診断を行う。負けず嫌いの人を採用する。
営業担当者の上司が顧客に電話をかける=ハッピーコール。フォローとともに監視とサポート。
SFAの活用、データ分析と、人的なコミュニケーションの両面を追求している。
オムロンの営業車は購買部にいる。キーエンスの営業車は工場にいる。
即納にこだわる。即納は利益率を上げる。納期がかかると営業が時間を取られる。10万のコストをかけて1万円の商品を即納にこだわる。営業は営業だけで、他の仕事はそれぞれのエキスパートがいる。
営業利益の15%程度を業績賞与として還元する。
成果だけでなくアクションをとっているかで評価される。日々のアクションが結果につながる。
残業時間は57時間、業界の2倍越え。女性は結婚や子育てのタイミングで退職する人も多い。
行動の際に目的を考える。今日の目的は何か。
オープンでフラットな社風。丁寧語で話し、さんづけ=年下も年上もない。
社内に風紀委員がいる。突然の内部監査がある。嘘の情報を見逃さない。虚偽の報告は許さない。仮眠するなら、それを正直に記載する。
社内の仕組みは性弱説=人間は弱いもの、誘惑に負けるもの、という前提。弱さも含めて可視化する。
採用は20秒自己PR。ESや志望動機は不要。説得面接。
採用にかかわる社員教育が多い。面接の様子をビデオで見る。採用基準もアップデート。「キャリパー」と呼ばれる性格検査。背金管が強くプレッシャーを楽しめる人。考えるのが好きな人。
イデオロギーは結局好き嫌いの世界。経営には織り込まない。思想の統一ではなく事業を行う集団であればいい。カリスマ性はいらない。カリスマ性を求めるとバトンタッチがうまくいかない。
J&Jもカリスマ性を求めない。
海外でも製販一体。
20250626再読
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代理店は使わない。速さが圧倒的。
会社全体の受注が増えればボーナスに跳ね返る仕組み。
細かい情報でも集める仕組み。
仕組みとやり切る風土。
ロープレ1000本ノック。
1分単位で外報を書き込む。商談から5分以内で書く。
SFAを使いこなす。
一日にかけた電話の本数もチェックする。数十個のKPI
上司によるハッピーコール=相手先へのフォロー兼チェック。いいことも悪いことも上司が監視。
ID制度で、情報を上げて成約すれば金一封がもらえる。
商品企画部はニーズカードを必死で見る。
当日出荷が利益よりも大事。
ファブレスだが、生産子会社もある。試作や初期量産を担う。協力会社への監視の役目もある。
社員是認が経営二参画する=賞与に反映する。
時間チャージ=時間に対する意識を高める狙い。
社内に風紀委員=内部監査チームがいる。
嘘をついた人が得をすることをものすごく嫌う。嘘の情報から正しい戦略は生まれない。
採用には時間をかける。面接をビデオで分析する。
キーエンスでは私語禁止ではないが業務に必要ないブダ話はしない。
創業者の滝崎氏は尼崎工業の出身。機業回目でトヨタへの提案で目が出た。のちに創業事業は利益率が低いので切り捨てられた。
ジャストシステムは、キーエンスの傘下になった。スマイルゼミのソフトとサブスクで高収益体質になった。
キーエンスのDNAをもった企業が誕生している。横浜市のアペルザ、スニーピークビジネスソリューションズ。