ジェイムズケストレルのレビュー一覧
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物語の始まりは1941年11月26日のハワイ・ホノルル!
タイトルからも既にピンっ!とくるところ…
陸軍を退役し、ホノルル警察の刑事になったマグレディは惨殺された男女の奇怪な事件の捜索を始める
そしてマグレディは事件を追ってハワイを離れることになるが、あの奇襲攻撃により時代の激しい波に飲み込まれてしまう
犯人は誰か、事件の真相は?
マグレディの運命は?
もうこれ以上は無理…(笑)
とにかく丁寧な調査のうえに書かれた歴史小説であり、スパイ小説でもあり、マグレディ刑事自身の人間物語でもあり、壮大なスケールで描かれたハードボイルドミステリーでもあり…
なんといっても、私はマグレディ刑事に魅 -
Posted by ブクログ
ヒデミス2023の中で読みたかった2作目ですが、こちらの翻訳は癖が無くて読みやすかったです。ただ、一つだけ文句を言わせて貰うと邦題が酷い…。素晴らしい大作なのに真珠湾攻撃を書いたチープな作品と勘違いされません…?お陰で友人に「まーたそんなん読んで!前世は兵士やったんか?!」と突っ込まれました。輪廻転生って何年サイクルなんだろう、と真剣に考えてしまったと言う話は置いといて。
紹介では犯罪捜査の途中で真珠湾攻撃が始まるとの事でしたので、そんなてんこ盛りして大丈夫?!と気になりすぎて拝読したのですが、大丈夫どころか全て繋がる歴史大作ロマンと言って差し支えない作品でした。
先ず、これを海外の方が書い -
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とにかく壮大なストーリー
いつの時代も私達は、大切な人とささやかな日々を過ごしたいだけなのに…
戦争は人生を大きく変えてしまう…
“ホノルル警察の刑事・マグレディを主人公にした警察小説”
といった雰囲気で始まるこの作品。
しかし、時は1941年11月26日。
太平洋戦争を背景にしたこの作品は、警察小説の枠を超え、舞台もハワイから香港、東京へと移っていく。
マグレディは戦争という大きな波に飲み込まれ、その人生は思わぬ方向へと転がっていく…
原題は「Five Decembers」
主人公と共に12月を5回経験した私は、まさに放心状態。
フィクションと分かっているが、戦時下のリアルな描写に胸が -
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ネタバレジェイムズ・ケストレル初読。おそらく初翻訳?
別名義の作品があるらしく、もしかしたら別名義の作品はあるのかも。
ミステリ、警察小説、ロマンス、戦記、ロードノベルなどなど、色々な要素がこれでもかと詰め込まれた贅沢で重厚な作品。
根っこにあるのは、ホノルルで若い男女が拷問されて殺された事件が起こり、その犯人を追うもの。ただそれだけでは終わらず、日本軍の真珠湾攻撃により様相がガラリと変わる。
最初と最後はしっかりとした警察小説かつミステリ。中盤が戦争に絡んで色々な姿を見せる小説となっている。
ラストは結構意外な着地点。綺麗なエンディング。
色々な人が書いてますが、やっぱり主人公のマグレディがモテ -
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邦題が良くないな〜
なんかお金儲け臭がね
ま、お金儲けは当然のことなんで、そのために知恵を絞った結果なんだろうけど
ちょっとセンスないかも
「真珠湾」のネームヴァリューに頼りたい気持ちも分かるんだけどね
中身にあってないと思うんですよね
はいじゃその中身です
第二次大戦中の物語なんですが、その割に日本人が好意的に描かれていて
やっぱり好感を持っちゃいますよね
なぜかというとこう見えてワタクシ日本人なので(どっからどう見ても日本人だろ!)
別にナショナリストでもないし、特に第二次大戦に於いては、反省すべき点は多々あるにしても、親切で忠義に厚い日本人という描かれ方をしている海外の作品を読む -
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スケールの大きさに圧倒された。
犯罪だけを追う警察小説だけではない、スパイ絡みであったり、恋愛などの要素もある。
それが戦争を挟んで繰り広げられる。
国を行き来しながら…である。
しばし、物語の世界に没入してしまい何も手につかないほど。
まるで予想がつかないラストは見事。
1941年、ハワイで惨殺事件が起きその真相を明らかにし、犯人を追うのがマグレディ刑事。
だがその最中に太平洋戦争が開戦する。
香港で身動きの取れない状態だったマグレディが、囚人たちと乗せられた船で着いた先は横浜。
東京で匿われた理由も惨殺事件の被害者と関係がある。
日本が敗戦し、マグレディ刑事が4年を経て戻ってからも事件 -
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昨年話題となった書。ハワイで刑事をしている主人公、マグレディの元に殺人事件の一報が入る。残酷な殺され方をされていた人物を探っていく中で被害者の身柄が判明しハワイだけにとどまらない事件になる予感がする。そんな中、日本の真珠湾への奇襲攻撃が始まる、というのがさわりの内容。はじめはシンプルな警察小説だが、真珠湾攻撃から一転、一気に間口が広がり大河小説、冒険小説へと変貌していく。ただマグレディの行動はシンプルでどんな環境においても犯人逮捕へと突き進む。この読み筋が面白い。リーダビリティが抜群でサクサク読める。加えて様々な要素を備えた作品でもある。先ほど挙げた項目に加えてロマンスや謎解きの要素もある。そ
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色々と忙しく、なかなか感想を書く時間がない。読んだ先から忘れていくことが得意な私なので、あまり間があくと書くことが億劫になってしまう。
ケストレルの著書は初めて読んだ。そういう人が少なくないと思うが、本書を手にしたのはタイトルが目についたからである。ただし、この邦題はミスリードで、ほとんど内容とマッチしていない。原題は「Five Decembers」なのだから当然である。おそらく、歴史好きの読者も取り込もうと、編集部が狙ったのではないだろうか。
物語はある殺人事件に端を発し、原題の通り、5回の12月を経る。ハワイ、香港、東京と、時間のみならず、地理的にも壮大なスケールで展開する圧巻の物語で -
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ネタバレ水面下では真珠湾攻撃が忍び寄る1941年11月のホノルル。
軍上がりの刑事、ジョー・マグレディは上司から署長の知人宅離れで発見された惨殺死体の調査を命ぜられる。
死体の身元を調べていくうちに、ぞんざいには扱えない縁故を持った被害者であることがわかると共に、犯人と思われる輩の足取りも思わぬ方向に表れて、俄然多方面の筋からの事件への注目度が増していく。
猟奇殺人をめぐる骨太警察もののような出だしから、香港に飛び、運と巡り合いの力で戦時下を身ひとつで生き延びるアジアンテイスト色濃い戦争小説めいたものとなり、大戦が開けると喪失の果てに失うものはない冷めた心を携え、寄りつく女達にも芯の通ったスタンス -
Posted by ブクログ
フィクションでありながら、とても作り物は思えない・・手に汗を握る慟哭のストーリー展開だった。
かなりの分量があり、読み通せるか時間的に不安だったものの、細切れの時間を積み重ねた分、感動がじわじわとボディブローを効かせ、ラストは圧巻。
ホノルル警察の刑事が辿る怒涛の時間は日本人がぜひとも読むべき内容と思えた。
3部構成で、骨格が明確な事もあり、中だるみは全く感じさせない。
第一部な刑事もの、捜査の執念とお定まり「上司との方向性のずれ」
第2部に入るとマクレディのプライベイトに少しずつ光が当てられていき、事態は思いがけない動きを展開・・ウェーク島、香港、日本と時空間を隔てる舞台が広がっていく。