ジェイムズケストレルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
こいつは凄い名著に出逢ってしまったぞ!!
私はハヤカワ海外ミステリが好きなのだが、これは圧巻の名作。
一言で言えば【捜査ミステリx歴史スペクタクル】!
殺人事件の捜査が第二次世界大戦という時代の大きな波と絡んだ壮大なスケールの物語。
主人公にとって事件の解決はすなわち「自らの人生を取り戻す」ことを意味する。
事件捜査の展開も複雑に絡み合ってて面白いし、ハワイから見た世界大戦という点で歴史小説としても興味深い。
500ページ近い長さながらも物語に没入してあっという間に読めてしまった!
戦時中パートでは戦争がいかに人ひとりの運命を狂わせるのかを痛感した。ほんとに戦争になったとたん人権や人として当たり前の尊厳が踏みにじられることが恐ろしい。
将来もしハワイを訪れることがあれば必ずパールハーバーに行こうと思ったし、祖母が存命のうちに東京大空襲の話をもう一度ちゃんと聞いておこうと思った。 -
Posted by ブクログ
物語の始まりは1941年11月26日のハワイ・ホノルル!
タイトルからも既にピンっ!とくるところ…
陸軍を退役し、ホノルル警察の刑事になったマグレディは惨殺された男女の奇怪な事件の捜索を始める
そしてマグレディは事件を追ってハワイを離れることになるが、あの奇襲攻撃により時代の激しい波に飲み込まれてしまう
犯人は誰か、事件の真相は?
マグレディの運命は?
もうこれ以上は無理…(笑)
とにかく丁寧な調査のうえに書かれた歴史小説であり、スパイ小説でもあり、マグレディ刑事自身の人間物語でもあり、壮大なスケールで描かれたハードボイルドミステリーでもあり…
なんといっても、私はマグレディ刑事に魅力されたのよ!
眼球を突かれたり、神経を切断されるかもしれないけど…(笑)
もちろん愛する女には紳士だわよ…イヒッ!
だからラストは私が望むもので良かった
あっ!そうすると恋愛小説でもあるかな??
とにかく
納得の!納得の!
エドガー賞最優秀長篇賞受賞作なのでした
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Posted by ブクログ
ヒデミス2023の中で読みたかった2作目ですが、こちらの翻訳は癖が無くて読みやすかったです。ただ、一つだけ文句を言わせて貰うと邦題が酷い…。素晴らしい大作なのに真珠湾攻撃を書いたチープな作品と勘違いされません…?お陰で友人に「まーたそんなん読んで!前世は兵士やったんか?!」と突っ込まれました。輪廻転生って何年サイクルなんだろう、と真剣に考えてしまったと言う話は置いといて。
紹介では犯罪捜査の途中で真珠湾攻撃が始まるとの事でしたので、そんなてんこ盛りして大丈夫?!と気になりすぎて拝読したのですが、大丈夫どころか全て繋がる歴史大作ロマンと言って差し支えない作品でした。
先ず、これを海外の方が書いて下さった事に感動。日本兵の事はフルボッコなんでしょう?と覚悟していたら、なんという中立な描写…どころか凄く泣けるシーンを作ってくれていて海の向こうのジェイムズさんに土下座しましたが、後書きを拝見するとアジアが大好きな方のようです。
凄惨な描写も少なく、どちらかと言えばあとがきで吉野さんが仰っていたファシズムへの怒りと批判という表現に納得しました。
ジャンル分けが非常に難しい本作ですが、基本的には最初に起きた猟奇殺人を追いかけるのがベースです。1941年、軍人上がりの刑事マグレディが納屋で逆さ吊りにされてお腹をパッカンされた事件の捜査を任されます。
始めは正統派の刑事物語で進むのですがこれが第一章。ここに真珠湾の基地を守っているキンメル大将が絡んできてどんどん不穏な空気になって来ます。
第二章になると舞台が中国へと移ります。当時は国を移動するのにこんなに時間と手間がかかったのかと驚きましたが(そりゃそうか)、ここで遂に真珠湾攻撃が行われ開戦。罠にかけられた上に異国の地で戦争に巻き込まれてしまうマグレディ。
中国に日本軍が押し寄せて来た時には残り200ページ以上もあったのに「あ、終わったなこれ…」と私も絶望を感じた程。
ここで素敵な日本人が登場。東郷大臣の第一秘書官の高橋。
彼との出会いがマグレディの人生の転機となります。
そして舞台は戦時下の東京へ。この東京の描写が日本人が書いたのかと錯覚する程丁寧で細かく、情景がありありと浮かんできて戦時中だと言うのになんて美しい世界なんだろうとこの辺りから読むのが止まらなくなりました。
日本人が本来持っている筈の礼節をこんなに美しく書いてくれるなんてまたもや感謝の念が湧きましたが、第3章ではいよいよ終戦。
眠っていた猟奇殺人事件の捜査が再び始まります。
舞台は再度ホノルルへ。
ここで先ず私が思った事。マグレディ…モテすぎだろ!!
確かに女性に対して礼儀正しいですし頼りになりますけどフェロモンでも出てるのか?!
ここでは戦時中から戦後にかけて、不遇な扱いを受けて来た女性達が登場します。
彼女達のお陰でマグレディはどんどん事件の真相へと近づき帰ってきたサスペンス。ここにマグレディの切ない思いが重なっていよいよ読むのが止まらず寝落ちした後で読書再開。
予想もしていなかった展開に驚いていたら、最初からは絶対に想像もつかないエンディングが。
なんと美しい終わり方なんだろう…。まるで昭和時代の東宝映画を観ている感覚になり、暫く呆然としてしまいました。
上下段の474ページですがあっという間でした。一つ一つ丁寧に練られていてマグレディが恋人のモリーと出会ったきっかけも計算されているし、刑事としての捜査方法もリアルだしこんなに長いのに何一つ無駄がありませんでした。
この作品のお陰で翻訳本に対する苦手意識が薄れそうです。思い切って読んでみて良かった。
それにしても何故私は突然翻訳本が苦手になったのか原因不明です。高校の時はダ・ヴィンチ・コードやアガサ・クリスティも平気で読んでたのになあ。
そう言えば作中で山本五十六さんのお名前が出てくるのですが、もし1度だけタイムリープさせて貰えるなら山本さんに本当にギャンブルで一度も負けた事がないのですか?と聞きたいです。(私はそのまま海の藻屑となりそうですが) -
Posted by ブクログ
とにかく壮大なストーリー
いつの時代も私達は、大切な人とささやかな日々を過ごしたいだけなのに…
戦争は人生を大きく変えてしまう…
“ホノルル警察の刑事・マグレディを主人公にした警察小説”
といった雰囲気で始まるこの作品。
しかし、時は1941年11月26日。
太平洋戦争を背景にしたこの作品は、警察小説の枠を超え、舞台もハワイから香港、東京へと移っていく。
マグレディは戦争という大きな波に飲み込まれ、その人生は思わぬ方向へと転がっていく…
原題は「Five Decembers」
主人公と共に12月を5回経験した私は、まさに放心状態。
フィクションと分かっているが、戦時下のリアルな描写に胸が苦しくなる。
この本は皆さんご存知〈ハヤカワ・ポケット・ミステリ〉の一冊。
このシリーズ、海外ミステリ初心者の私には敷居が高いと思っていました。上級者の方々が手に取る本だと…
(あくまでも私の勝手な思い込みです^^;)
でも約1年前、autumn522akiさんの鬼★5レビューを読ませて頂き、読んでみたい!
と思っていました。
読んで良かった!
やはり日本人が登場したり、東京が舞台になったりで、入り込みやすいのかもしれませんね。
そしてラストは圧巻です…
私でも思いっきり楽しめました。◕‿◕。
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ネタバレジェイムズ・ケストレル初読。おそらく初翻訳?
別名義の作品があるらしく、もしかしたら別名義の作品はあるのかも。
ミステリ、警察小説、ロマンス、戦記、ロードノベルなどなど、色々な要素がこれでもかと詰め込まれた贅沢で重厚な作品。
根っこにあるのは、ホノルルで若い男女が拷問されて殺された事件が起こり、その犯人を追うもの。ただそれだけでは終わらず、日本軍の真珠湾攻撃により様相がガラリと変わる。
最初と最後はしっかりとした警察小説かつミステリ。中盤が戦争に絡んで色々な姿を見せる小説となっている。
ラストは結構意外な着地点。綺麗なエンディング。
色々な人が書いてますが、やっぱり主人公のマグレディがモテすぎるのは気になる笑。ロマンス成分があるのも嫌いじゃないけど、みんな一目惚れしすぎだろうて笑
正当な続編ではないけど(説明しづらい)、関連作を書くらしいので期待。 -
Posted by ブクログ
邦題が良くないな〜
なんかお金儲け臭がね
ま、お金儲けは当然のことなんで、そのために知恵を絞った結果なんだろうけど
ちょっとセンスないかも
「真珠湾」のネームヴァリューに頼りたい気持ちも分かるんだけどね
中身にあってないと思うんですよね
はいじゃその中身です
第二次大戦中の物語なんですが、その割に日本人が好意的に描かれていて
やっぱり好感を持っちゃいますよね
なぜかというとこう見えてワタクシ日本人なので(どっからどう見ても日本人だろ!)
別にナショナリストでもないし、特に第二次大戦に於いては、反省すべき点は多々あるにしても、親切で忠義に厚い日本人という描かれ方をしている海外の作品を読むと
ふむふむよく分かっとるじゃないか!と鼻を膨らますと同時に、そんな日本人像を守っていかなければ!とも思うのです
したっけ主人公のジョーはえらぐかっごいがったな〜
しめぇもいがったがらおらぁまんぞくだ〜
(急な方言と内容は一切関係ありません) -
Posted by ブクログ
スケールの大きさに圧倒された。
犯罪だけを追う警察小説だけではない、スパイ絡みであったり、恋愛などの要素もある。
それが戦争を挟んで繰り広げられる。
国を行き来しながら…である。
しばし、物語の世界に没入してしまい何も手につかないほど。
まるで予想がつかないラストは見事。
1941年、ハワイで惨殺事件が起きその真相を明らかにし、犯人を追うのがマグレディ刑事。
だがその最中に太平洋戦争が開戦する。
香港で身動きの取れない状態だったマグレディが、囚人たちと乗せられた船で着いた先は横浜。
東京で匿われた理由も惨殺事件の被害者と関係がある。
日本が敗戦し、マグレディ刑事が4年を経て戻ってからも事件を追ううちに明らかになった驚愕の事実。
いのちをかけて繰り広げられる闘い。
ラストにマグレディが向う先は雪景色で見えないかのよう…美しい描写。
ことばにできないほど胸を打つシーンだった。
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Posted by ブクログ
昨年話題となった書。ハワイで刑事をしている主人公、マグレディの元に殺人事件の一報が入る。残酷な殺され方をされていた人物を探っていく中で被害者の身柄が判明しハワイだけにとどまらない事件になる予感がする。そんな中、日本の真珠湾への奇襲攻撃が始まる、というのがさわりの内容。はじめはシンプルな警察小説だが、真珠湾攻撃から一転、一気に間口が広がり大河小説、冒険小説へと変貌していく。ただマグレディの行動はシンプルでどんな環境においても犯人逮捕へと突き進む。この読み筋が面白い。リーダビリティが抜群でサクサク読める。加えて様々な要素を備えた作品でもある。先ほど挙げた項目に加えてロマンスや謎解きの要素もある。そしてラストは冒険小説ならではの自然の驚異にも立ち向かう。圧巻の流れはエドガー賞受賞も納得。また第2次世界大戦における日本の描き方もフェア。某有名映画のようにはならず立ち位置がフェアなのが好印象。
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Posted by ブクログ
色々と忙しく、なかなか感想を書く時間がない。読んだ先から忘れていくことが得意な私なので、あまり間があくと書くことが億劫になってしまう。
ケストレルの著書は初めて読んだ。そういう人が少なくないと思うが、本書を手にしたのはタイトルが目についたからである。ただし、この邦題はミスリードで、ほとんど内容とマッチしていない。原題は「Five Decembers」なのだから当然である。おそらく、歴史好きの読者も取り込もうと、編集部が狙ったのではないだろうか。
物語はある殺人事件に端を発し、原題の通り、5回の12月を経る。ハワイ、香港、東京と、時間のみならず、地理的にも壮大なスケールで展開する圧巻の物語である。主人公は元軍人の刑事マグレディ。タフで優しく、女性にモテる。フィリップ・マーロウの系統に属するキャラだ。私自身はあまりこの主人公に感情移入することができなかったが、とても面白く読んだ。他の多くの方が指摘されているようにラストが美しい。
タイトルに真珠湾と入れたことで、逆に色がついてしまったようにも感じる。そこは惑わされずに、原題で興味を覚えた方は手に取ってみては? 抜群の没入感が味わえると思う。