ジェイムズケストレルのレビュー一覧
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ネタバレ水面下では真珠湾攻撃が忍び寄る1941年11月のホノルル。
軍上がりの刑事、ジョー・マグレディは上司から署長の知人宅離れで発見された惨殺死体の調査を命ぜられる。
死体の身元を調べていくうちに、ぞんざいには扱えない縁故を持った被害者であることがわかると共に、犯人と思われる輩の足取りも思わぬ方向に表れて、俄然多方面の筋からの事件への注目度が増していく。
猟奇殺人をめぐる骨太警察もののような出だしから、香港に飛び、運と巡り合いの力で戦時下を身ひとつで生き延びるアジアンテイスト色濃い戦争小説めいたものとなり、大戦が開けると喪失の果てに失うものはない冷めた心を携え、寄りつく女達にも芯の通ったスタンスを崩さない主人公然がもはやハードボイルドとなる目まぐるしいまでのジャンル融合小説だった。
結末は1945年12月(原題〈Five Decembers〉でもある五回目を迎える12月)。
いくつもの出来事、関係を犠牲、置き去りにして今日に至る中で、結局のところ因縁のあの事件の犯人探しに帰結していく展開と、「もしもあのとき…」の歴史の分岐点の夢想を主軸に、戦争がもたらす混沌、悲運、空虚さが刺さる壮大なミステリ。
この書きぶり、この目線の作品にエドガー賞が与えられるとは米国ミステリ文壇も捨てたもんじゃないですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2023私が読みたい本3選に選んだ1冊を読み終えました。
読み応え十分な作品で、タイトル通りに第二次世界大戦の前後、ハワイで起こった凶悪な殺人事件を追うマグレディ刑事の視点で描かれたストーリーです。
殺人事件と戦争?戦争のどさくさに紛れた殺人ではありません。
犯人を追うマグレディが戦争という苦難に巻き込まれながら、最終的には犯人を追い詰めるというのがざっくりとしたストーリーです。
開戦の色が濃くなってきたハワイ、犯人を追い訪れた香港の地で捏造された事件で勾留され、そのタイミングで開戦をむかえます。
そして物語の舞台は日本へ。
東京が焼け野原となっていく焼夷弾による絨毯爆撃、悲惨な戦争の姿からは残酷な殺人以上に目を背けたくなる。
基本のストーリーは殺人事件の犯人を追うことですが、戦争がもたらす悲劇が本作に深みと重みをプラスしていきます。
ハワイで殺された被害者の1人が日本人であった事、時代設定に第二次世界大戦を選んだこと、そこで日本の文化に触れ日本語を学ぶこと。
全てが計算され尽くしています。
休日に手にして正解でした。
説明
内容紹介
世界最大のミステリ文学賞エドガー賞最優秀長篇賞受賞作
太平洋戦争迫るハワイ、香港、そして日本。彼は真実を追い求めた――
1941年ハワイ。アメリカ陸軍上がりの刑事マグレディは、白人男性と日本人女性が惨殺された奇怪な事件の捜査を始める。ウェーク島での新たな事件を経て容疑者がマニラ・香港方面に向かったことを突き止めた彼はそれを追うが、折しも真珠湾を日本軍が攻撃。太平洋戦争が勃発する。陥落した香港で日本軍に捕らえられ、東京へと流れついたマグレディが出会ったのは……。戦乱と死が渦巻く激動の太平洋諸国で連続殺人犯を追う刑事の執念。その魂の彷徨を描く大作ミステリ。解説/吉野仁
《ニューヨーク・タイムズ》を筆頭に、各書評誌紙で年間ベストミステリに選出。歴代エドガー賞受賞作家が激賞した、屈指の傑作
「とんでもなく面白い物語だ。圧倒された」――スティーヴン・キング(『ミスター・メルセデス』『IT』)
「時代を超えた犯罪叙事詩である」――デニス・ルヘイン(『夜に生きる』『ミスティック・リバー』)
「なんという作品だろう! 没頭させられ、文章も美しく、ときにショッキングで、とても感動的だ」――エリー・グリフィス(『見知らぬ人』『窓辺の愛書家』)
著者について
刑事事件調査員など様々な職種を経て、現在弁護士としても活動中の作家。ハワイ在住。2022年に本作でエドガー賞(アメリカ探偵作家クラブ賞)最優秀長篇賞受賞。 -
Posted by ブクログ
真珠湾とミステリー、どう繋がるのか。
1940年代、ホノルル警察の刑事マグレディが
戦争に巻き込まれながら、国を越え、時を越え殺人事件の真実に迫っていく。
章が進むにつれ、来るぞ来るぞの開戦日、
まさかの事態に。これどうなるの?と絶対絶命の詰み状態。ハラハラドキドキがたまらなく面白かった。
アメリカ側から見た第二次世界大戦は、こうなのかと垣間見る事ができた。
ハワイ、香港、日本など当時の描写が味わい深い。特に日本の描かれ方については、著者の思い入れを感じる。美しく描いていただきありがとうと、同じ日本人女性として勝手に思っている。(似ても似つかぬタイプだが…)
ミステリーと歴史のコラボ。人間ドラマも相まって、読みごたえありの一冊となった。 -
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『ヒデミス!2023 小島秀夫が選んだミステリー・ゴールデン・ダズン』に選ばれていたので読んでみました。
1941年11月。ホノルルで残虐な殺され方をした男女の死体が見つかった。一人は海軍提督の甥。もう一人は東洋人の若い女。犯人の足跡を辿り、ウェーク島へ。ウェーク島でさらに犯人の人物像に近づき香港へ。香港で犯人の居所を突き止めたところ太平洋戦争が勃発し…
ホノルル→ウェーク島→香港→東京、と場所を変え、殺人事件と戦争を絡めることで、ダイナミックで意外な展開になります。犯人と対面するシーンでは、思わず「今ここで!?」と言いたくなるほど。
だれが味方かだれが敵か予想がつきにくく、やけに真面目なロマンチックもあり、最後までドキドキして面白かったです。
すごく面白かったのですが、ドラマティックな演出のために空襲を利用して欲しくないという思いと、なんでこの家には使用人がいないの?という疑問が重なり、星は少なめです。
ちなみに原作の表紙は星1つです。がっかり過ぎ。 -
Posted by ブクログ
1941年11月ハワイ。刑事マグレディは白人男性と東洋人女性が惨殺された事件の捜査を始める。国際情勢が緊迫する中、容疑者が香港にいることを突き止めたマグレディは香港行きの飛行艇に乗るが、それは真珠湾攻撃の前日だった
3部構成なんだけど、1部が警察小説、2部がロマンス小説で3部がその合体版、みたいな印象。
太平洋戦争が絡むから読み応えがすごいし(特に2部はがっつり戦争中の描写)のめり込めるんだけど、ミステリだと思っていたので3部(謎解きパート)に拍子抜け。
この物語はミステリと思って読むとあかんやつ。
あと、これは多分ハードボイルド系だと思う。ハードボイルド&警察小説&歴史小説好きな方はハマるんじゃないかと。
あと、恋愛小説も。なんだかんだでマグレディと女性たちとの愛の物語なんだよなぁ。
(ハードボイルドと恋愛が苦手な私にはちょっとハマらなかったです……でも楽しく読み切れたので、お話としてはとても面白いと思う。
……私、チャンドラーの「長い別れ」を挫折しているので、当てにならない感想で申し訳ない)