キムリゲットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
過酷な物語を通じてとにかく怒りが伝わってくる小説。
ティアニーから目が離せなくて、分厚さをものともしないスピードで読み進めました。
序盤は人名が多くてメモを取りながら読む羽目になったけれど、主要な人物は嫌でも覚えるから結果的にはあまり必要なかった。
苦しみとささやかな希望との間でぶんぶん揺さぶられるような作品で、脳が喜んでいるのがわかる。
ヘイルメアリーを読んでいた時の感情に近い。
特にジューンがマントに仕込んだ仕掛けがわかるシーンが大好き。
ティアニーがずっと逞しくてかっこよくて、本当に過酷なお話だけどもエンパワーされる。
草木や土の匂い、血の匂い、心臓や呼吸の音、それから痛みまで、あ -
Posted by ブクログ
・面白かったし、素晴らしかった。
・現実世界をメタファーとした、「女性」の物語としても読めるし、元がヤングアダルト小説なので純粋なダークファンタジー小説としても当然読める。自分はこの小説内に立ち込める濃厚な湿度、発泡塞がりで息の詰まる様な「暗黒」の空気に、結構やられてしまった。まぁ当然それは現実と重なる事も多いのだけど。
・途中のストーリーラインにあるロマンスの部分も、苦さや厳しさの部分も含めて良かった。自分は主人公の少女と全く属性は違うけど、めちゃ感情移入してしまった。なんで?
・元がヤングアダルト小説という事でこれを若い子達が読むのか…凄い、と思ってしまった。 -
Posted by ブクログ
女性って、なぜこんなにも強いのに、こんなにも聡いのに、男よりも下なのだろう。その位置に甘んじているのは、力が弱いからだろうか。ケンカに勝てないからだろうか。ジェンダーギャップを埋めるために叫ばれて久しいが、心に刺さる。母・姉・女の子たちの言葉が、どこかリアルなのだ。日本にはこんな風習ないけれど、どこかリアルで怖いんだ。生き延びても待っているのは、男が望む結婚。16歳で運命の決まる人生。でもその運命に屈さず、己の力で今までの風習にNOを突きつける力が女性にはある。勇気づけられる一作。
p.71 その人を形作っているのは、人生で重ねた無数の小さな選択、誰の目にも触れない選択なのだと。私にコント