高野知宙のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ明治になってばかりの、天皇さんのいない、京都。京都が京都であることの意味を街自身が探っていたような時代に、新しさと古さが混じった風が吹く。そんな小説だと感じました。
三味線弾きとしての、江戸以前の一般的な道を行かず、お菊という女性の三味線に感動してその場で弟子入りを志願した主人公「ちとせ」
時代の変化をうまく掴み、俥屋として繁盛した美濃屋の息子藤之助
訳あって親のいる東京に帰れず京都に住んでいる、武家の息子であった稔
新しさと古さの狭間で揺れ動くさまは、風に翻弄される桜の花びらのように儚く、哀しい。それを自覚し、寂しさに打ちひしがれ、もがき、苦しむ若人たち。しかし、その花びらは、美しく