本田昌子のレビュー一覧
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今年の課題図書ですが、まずこの装丁に一目惚れ。こんなに綺麗な装丁初めて見ました。
紅色の花をつけた一面の蓮の花の上に、半透明の白のカバーがちょうど朝もやのようで、溜め息が出るほどの美しさ。まさに作中に出てくる夏の朝の光景を見ているよう。
カバーをめくってみるとわかりますが、実際に描かれている蓮の花ははっと息を飲むぐらい色鮮やかなんです。もう、この装丁を見ただけで買って手元に置いておこう!と思いました。
本田さんの心が洗われるような綺麗な文章にぴったりのイラスト。挿絵があるのも嬉しかったです。
ストーリーもすごく良かった。小さい頃ときどき遊びに行った母の実家の匂いみたいなものをなつかしく思い出 -
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大きな緑の葉の先に、紅色の蓮の花。表紙の絵がとてもやさしい。夏の朝、広縁から見える蓮池。蓮の花は4日間咲き、開花時間は午前の数時間。開くとき、ぽんという音がするらしい(?)
ふわっと包み込まれるような幻想的な情景が浮かびそう。ぜひ見たくなった。
莉子が、亡くなった祖父の家へ泊まり、夢の中で過去へ遡るファンタジー。小さな謎がタイムスリップするうちに、解き明かされていく。
未来からやってくるという設定が面白かった。過去という形跡があり今が存在している。そんな想いを馳せる時間があってもいいと思った。セピア色の古い家族写真を見ているような懐かしい気分になり、読んでいるうち祖父母の顔が浮かんだ。 -
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ネタバレ蓮が咲くころに想い出しては読みたくなる物語です。
装画は美しい蓮の花が描かれ、半透明のカバー越しに蓮がぼんやりと透けるようにみえる。それは蓮にまつわる不思議な物語にいざなう扉のよう。
莉子がおばあちゃんの家で時を遡る5日間の物語。
そこで出会うのは祖父。
祖父にとっては少年期、青年期、壮年期、老年期、そして最期を迎える時と人生全般で5回出会った少女。その少女は孫だったのだと気づく祖父のもうひとつの物語がまたおもしろい。
莉子の過去への旅は偶然ではなく必然だったのだろうか?
祖父亡き後、壊されようとしている家や蓮の池は『あるべき場所にあるはずのもの』が消えようとしている。
祖父から莉子へと -
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ネタバレ梅雨明けの少し前から真夏へと向かう季節に咲く蓮の花。
四日の命といわれるその花は、早朝に蕾をほどき始め、陽が高くなる前には再び花を閉じてしまい、四日を過ぎれば散りじたくを始めてしまう。
あまりにも儚い命。
けれどその潔い生き様に、見る者は毎夏のように魅せられている。
次の夏も、また次の夏も。
毎夏変わらぬ色鮮やかな紅色の花びらと甘い香りは、遠い夏の記憶を呼び起こす。
今は亡き祖父の庭で、蓮の蕾の中に隠されている"想い"を受け取った中学2年生の莉子。
それは自分のルーツを遡る時空を超えた旅だった。
亡き母や祖父母との再会は少女を"大人"へと導いていく。
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装丁がすばらしい。美しい。
祖父が亡くなり取り壊されることになった家。
法事のあとその家に残り、家を片付ける叔母・佳乃を手伝うことにした莉子。
「あのつぼみの中には何が入っているか、ご存じ?」
祖父の家で蓮の花を見ながら、そう話す老女。
蓮の花が咲くときのポンという音を聴いてみたいと、早起きして庭の蓮を見に行くと…。
亡くなった母の少女時代。
祖父の少年時代。
時代を越えて繋がる優しい思い。
忘れないで。思い出して。
莉子の家族は、お父さんと弟の陸とお父さんの再婚相手の麻美(あさみ)ママ。
仲の良い家族で、何の問題もない。
でも莉子は思ってしまった。お母さんの場所が無くなっちゃう。