ベント・フリウビヤのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ大きなプロジェクトを成功させるには経験が重要である一方、政治的には「最大・最高・最長・最速」といった前例のない計画ほど魅力的に映る。そのため、成功に必要な経験を活かしにくくなるというジレンマが興味深かった。
特に印象に残ったのは、オリンピックを「初心者症候群」の例として扱っていたこと。開催地や運営主体が毎回変わるため、過去の経験が十分に蓄積・継承されず、同じような問題が繰り返されるという指摘には納得感があった。
また、計画が失敗する背景には、本来の目的とは別に「まず予算を獲得する」「契約を取る」といった目的が入り込むことがある。実現可能性よりも、計画をスタートさせるための魅力的な見積もりが優先される構造は、あるある過ぎてどうにも対処できないような気がした。 -
Posted by ブクログ
このタイトル(原題は”HOW BIG THINGS GET DONE”でほぼ同じ意味)は内容を正確に表しているんだろうか。より正確には『どのようにしてメガプロジェクトは失敗するか』の方が主眼のような気がした。
膨大な事例に紙幅を割いて(巻末の参考資料ページの厚さにビビる)、本書はいかに世界中の数々のメガプロジェクトが失敗してきたか、その理由を事細かに説明してくれる。ここでいう失敗は、具体的には予算超過・工期遅延・便益過小を指す。あらゆるプロジェクトを研究した結果、なんと予算・工期・便益の3つともをクリアするプロジェクトはたったの0.5%しか無かったらしい。
失敗しないために必要なことは、「ゆっくり考え、すばやく動く」こと。
急いては事を仕損じる、の諺通り、結論や予算の見積もり、リスク予測などを急ぎすぎたがために失敗してしまった数多くの事例が傍証となっている。
そしてこのことは何も国家規模の大プロジェクトに限ったものではなく、住宅リフォームや社内プロジェクトなどの個人レベルのものにも共通する普遍的な法則なようだ。確かに、深く考えずに始めた行動は失敗しがちだ。身に覚えがある。
とはいえビジネスの世界では「走りながら考えろ」「巧遅より拙速」「時は金なり」の考え方が主流だし、「深く考え抜いてから始めろ」は理想的だけど現実には厳しいんじゃないかな、とも思う。だからこれだけ無数のプロジェクトの失敗があるんだろうけど。
我が国からは高速増殖炉もんじゅの事例が紹介されていた。2020TOKYOオリンピックも紹介されるかと思ったが、オリンピックはむしろ失敗するメガプロジェクトとしては定番のものらしく、幸か不幸かモントリオールオリンピックに紹介の座を譲っていた。コスト超過の金メダルはこの大会だったらしい。
終章には「どうすればプロジェクトは成功する“可能性が高くなる”のか」が短くまとめてある。そこに書いてあるのは、そりゃそうだろう、と言いたくなるような拍子抜けなほど普遍的なことばかりだ。畢竟、どんな名著でも手短にまとめてしまうとごくごく一般的なクリシェになってしまうのかもしれない。
まとめからは取りこぼされた枝葉末節にこそ、それぞれの本のエッセンスは詰まっている。