藤井翔太のレビュー一覧
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なかなか読み込むのはハードだったけれど、読めてよかった。とてもよかった。
認知行動療法が、近代の科学的アプローチとして
突如出てきたのではないということ。
「仄暗い夜明け前の古代からの前史があったというイマジネーションに勇気をもらった。」という東畑さんのあとがき、本当にその通りだなと思った。
力動的なものと認知行動療法、非理性と理性、
より糸のように組み合わさり、すべてのアプローチに二重性があるということ。
これが絡まり合いながら、時期によって濃度を変え営まれる両眼視の視点。
認知行動療法の見方がだいぶ変わった。
聞くことで心を支援する
この営みの途方のなさに疲れたとき、古代から人間ってのは同じように悩み続けていたのかと、そんなことを想像してなぜか勇気をもらう。
理性とは何か。
「個」としての輪郭、他人との境界がくっきりしてようやく理性と理性のやりとりができる
境界に薄膜を作ること
果てしないなあ
でも、とても良い本だった。
最後の付録「ストア派セラピーのツールキット―日々の自己改善に向けた養生法」も哲学的でよかった。
果てしない営み -
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ネタバレ【行動認知療法はストア派哲学だった】
認知の仕方、考え方に介入するこで行動の変容を促すような現代の治療法である行動認知療法(CBT)。20世紀ごろから科学的、臨床的に発展してきたこの治療法のようですが、まさにストア派哲学の教えに多くの点で通ずるところがあるということが本書を読んでわかりました。
これまで、マインドフルネスなどは東洋哲学が起源だとの認識が一般的にあったかと思いますが、著者はこの本により、西欧にも同じような考え方の起源があり、またそこから今日の行動認知療法へのインスピレーションを得られるのでは、との動機で本書を書かれたようです。
古代哲学は、医療であったこと。哲学者は、魂の医師とのクリュシッポスの記述もあるそうです。
また、現代の認知行動療法の開発者のアーロン・ベック博士、また、論理情動行動療法(REBT)を創始したアルバート・エリス博士が、ストア派のえピクテイトスの言葉「人々を不安にするのは、事柄ではなく、事柄についての重いである」を引用しているなど、素の親和性はさまざまな学者も論じられているようです。
なので、本書ではあらためてそのつながりを体系的に検証するような形で、
ストア派哲学を認知行動療法の視点で深め、
後半では現在用いられている療法と、古代ギリシャで実践されていた哲学手法やストア派の実践を照らし合わせて紹介しています。
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私は臨床心理学や認知行動療法はまったくの素人であり、
基礎的な知識があったほうが確かに読みやすいですが、
それでも興味深く拝読しました。
エピクテトス は、私たちの「力の及ぶもの」、と「力の及ばないもの」を区別すること、この区別ができるようになることこそ、教育だと。
自分を変えることで世界が変わる、とか、
過去は変えられない、とか、
ポジティブ思考、とか、
自己啓発やアドバイスでもよくいわれることですが、
エビデンスに基づいて医療として実施しているのが行動認知療法。
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モデリングの手法は、古代ギリシャでも、賢者を見習う、ソクラテスをロールモデルとする、周りで最良の人たちを君の友達とせよ、といったピタゴラスからも見ることができる。
ディスタンシング、マインドフルネスも、古代の哲学者が今、何に自分の心を用いているのか、意識とその対象、思考と事実を区別することが説かれています。コントロール可能なことに対しては責任を果たし、不可能なことは無関心でいること。カタルシスの浄化作用も触れられています。
自己分析も実践されています。吟味されていない人生に生きる価値はない、とするソクラテスの哲学。彼の問答法は、自己欺瞞や矛盾、二重基準を解くプロセスでもある、と。
自己陳述、自己教示訓練、アファーメーション、のようなこともなされていたとのこと。定期的に自己暗示、回顧的瞑想などを実践していました。
そして、心的暴露、心的準備、視覚化、認知リハーサル、ロールプレイといった手法。これらも、ストア派哲学の災厄の予期、死の瞑想、現実のものとして事態を想定することなどから見ることができます。
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自然界に価値は存在しない。
苦痛も動揺も、不幸も善悪も、自分を介して初めてある。
冷静に考えることは大事だっていうけれど、
これには継続的な訓練があって身に付けられていくものであること、そのスキルをどうやってどこまで高められるか、よりよく生きることだということ。
自分の内側の動きを自覚し、
苦痛については苦痛の反応を取り除く。
あらためて自分の持つ情動を観察し、どのような考え方があってどのように判断を下したかを分析する。そして情動をコントロールする、物事に与える価値を見直す。
心が乱れたときをチャンスとして、
自分はどんな価値判断をしたのか、
を学んでいこう。
情動に理性を使う。
その姿勢を鍛錬する。
過去の自分も、未来の自分も、今の自分の意識も力も及ばないもの。
同時に過去も未来も自分も他人もあらゆる物事が、全ての一部であるというつながり。
だから、事に当たる際には、いま・ここ、で感じているもの、意識しているものに心を向けて、より良い判断を下していくこと。より良い物事の見方、反応の仕方を習慣づけること。
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認知行動療法は症状を直す、治療的、短期的なアプローチで、
ストア派はレジリエンスを高める、予防的、長期的なアプローチだ、
とも論じられていて、
古代ギリシャの賢人は人間の絶頂期だったのではと思ってしまう。…
本も継続的に読み続けることでもっと習得できそう。 -
Posted by ブクログ
話の進め方が入門から始まり初級、中級と進んでいくので安易なハウツー本かと思いましたが、もう少し踏み込んで相手の言う事を理解し、特に相手が何でそう考えているのか?まで考えようと言う本でした。
特に議論は何か客観的なものを論じているようで、その実は人間の性根を巡る議論で、道徳的な問題も自分が正しく相手が間違っていると言う単純なものではなく、個人のアイデンティティやコミュニティの価値観に結びついた道徳的な価値観の違いによる複雑なものと言う点は新しい視座でした。
読んでいて楽な本ではないですが、がんばって読み終えると何となく心に残るものがあります。 -
Posted by ブクログ
考えが極端に異なる人と効果的にコミュニケーションをとるための方法・テクニックを順を追って、網羅的に解説。本書で紹介されているテクニックは、応用認識論、心理学等の様々な分野の研究成果に基づくものだという。
参政党の躍進など、自分と考えが相容れず、理解困難な人たちが増えてきていると認識しており、そういう中で、そういう人たちとも円滑にコミュニケーションを取るためのヒントがあるのではないかと思い、読んでみた。
元がアメリカの本なので、日本人の会話にはあまりなじまないのではと思うような会話例(例えば、「それはとても興味深い視点ですね。その結論に至ったのはどうしてでしょうか?」)などもあったが、相手とよい関係を築き、保つことや傾聴が重要であること、認識論に集中すること、行き詰まったら、リフレーミングすることなど、納得性があり、実践的なアドバイスが多く、とても参考になった。 -
Posted by ブクログ
話が通じない相手 なんていうと、ろくでもない相手、というイメージになりがち
ネガティブな。
それを克服する方法を教えましょう、というノウハウ本かと思いきや、、、
会話の事例がふんだんに盛り込まれていて、その事例がどうも理解できなくて、
頭の中は??になったけれど、よくよく読むと著者の意図が分かった。
相手と信頼関係(ラポール)を築いて、安心して話ができるようにしよう
次節の押し付けでなく、相手の立場、根拠が分かるまで傾聴しよう
相手が固定観念にとらわれているようであれば、それに疑問を持てるよう促そう
自身も固執することなく違う考えに耳を傾け、自己変革しよう
きわめてまっとう
これらを伝えるために相当ページを使っている。使いすぎ?
いってることはもっともだ。
高圧的に言い負かしたってしょうがないのだ。今の世のはやりのように。
こうならんもんかねえ。まずは自分から、か
第1章 会話が不可能に思えるとき
第2章 入門:よい会話のための7つの基礎
──通りすがりの他人から囚人まで、誰とでも会話する方法
第3章 初級:人の考えを変えるための9つの方法
──人の認知に介入する方法
第4章 中級:介入スキルを向上させる7つの方法
──(自分を含む)人の考えを変えるための効果的スキル
第5章 上級:揉める会話のための5つのスキル
──会話の習慣の見直し方
第6章 超上級:心を閉ざした人と対話するための6つのスキル
──会話のバリアを突破すること
第7章 達人:イデオローグと会話するための2つの鍵
──動かざる人を動かす
第8章 結論
謝辞
原注
監訳者解題
参考文献
索引 -
Posted by ブクログ
ネタバレアメリカ大統領選でも報じられた通り、いろんな場面で分断が大きな話題になっています。SNSでも意見が違うだけで誹謗中傷合戦、こんな場面を目にする機会も多いのではないでしょうか。
そういう強めの言説にうんざりして、もっと穏やかに話せればいいのにと思った時に、この本に出会いました。
内容は、対話のコツや実践的フレーズがレベルごとにごとに書かれています。
特に印象に残ったのは、「論理より感情に寄り添うべし」という点です。人はエビデンスでなく、自分が信じたいもので考えが決まることが多いと書かれています。いわゆる論破とか、証拠を突きつけることは相手のガードを高めてしまい対話には逆効果なんだそうです。思い返せばすごく身に覚えがあって、目から鱗でした。
この本の全てを実践するのは無理ですが、少しずつ実践しています。職場や家庭で意見が対立した時、焦らず落ち着いて話せるようになった気がします。
内容は素晴らしい、けど少し読みにくい。なので今回は星4としました。
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Posted by ブクログ
極端に異なった思想や考え方を持っている人間と会話をするための「ハウツー本」。具体的な会話の「ハウツー」が紹介されるが、その前提には、「話が通じない」と感じている相手に対する捉え方から変えていく必要があるという。そうした意味で、相手の考え方を理解し、介入するためのテクニックが述べられながらも、一つひとつのテクニックは、自分自身が感じていることや自分自身の考え方も捉え直し続けることが、常にセットになっている。
紹介される技術が具体的なものなので、全体としてまとめるのは難しい。本の中でも繰り返し言われているように、入門から順に、自分の普段の会話を見直し、実際に使っていく中で、一つひとつのスキルに熟達していく必要がある。そういった意味で、読んだからといって、すぐに「話が通じない相手」と話せるようになるわけではない。
ただ、どの技術にも共通して言えることは、相手を理解すること、お互いの共通点を見つけること、そして、自分の意見を相手にぶつけるのではなく、相手の中で自身に対する疑念を生み出すことなのだと思われる。具体的なテクニックは、この三つを具体化しているのだと読んだ。
面白かったのは、自分自身の怒りをコントロールして、冷静な対話ができないのであれば、一旦離れることだというところ。なによりも、当の自分が「話が通じない人間」になっていないかどうか。それが、まず大切なことだと最後に言われている。
他人を理解すると同時に、自分を理解する。全く会話にならないという極端の状況を想定することで、人を理解するすべを考えるヒントをくれる本だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレジャンル的には…会話手法本?
日本だとあまり馴染みがないかもだけど、分断が激しいアメリカだと特に実感できる一冊…なのかもしれない。
筆者達の意見は個人的にすごい正しいと思っていて
1.人は事実で考えを変えない。それがアイデンティティに根ざしている場合は特に
2.もし変えようと思うのなら、まず良好な関係を築かなければならない
3.「学習」を通して、私とアナタの意見を細かく掘り下げ合おう
というのが基本骨子かな。あとはそれをどうやって実践するかの流れだと思う。
うん、まぁ、言ってることはこんな感じで正しいと思うんだけど。
筆者の「それお前が言う?」感はすごいんだよな。監訳者も言ってたけど、エピソードを聞けば聞くほど、この人たち出来てないでしょ…というのは思う。アドラーほどじゃないけど、「誰が言ったか」も大事だよなぁ、とかなんとか。