こちらはティーン向けだけあり、同意がいかに難しいものか、という例から始まる。そして、誰かと親密な関係を築くこと、性行為、性被害、の話がメインテーマとなっていく。だが、愛や性に限定しなくとも、人と人との日常的なやりとりすべて(「Tシャツ貸して」とか)において「同意を得る」ことが必要であり、本当の同意のためには「安全」が絶対条件であること、困ったときの相談先「セーフティネットワーク」を用意しておくことなど、学ぶべきことがたくさん書かれていた。
横書きで、イラストや吹き出しが多く、さらっと読みやすい。一家に一冊置いておきたい。
以下、備忘メモ。
・バウンダリー=自分にとって精神的・物理的にOKなこと・NGなことを分ける目に見えない一線、境界線。倫理的、感情的な境界も意味している。
・同意を得るためにがんばると、空気を読まなくてよくなる。
・何に同意するのか分からなければ同意できない。同意は具体的に。
・同意は途中で取り消せる。取り消すための理由はなくてもいい。
・同意は心から積極的にする。しぶしぶ同意は本当の同意ではない。
・「いや」と答えることは相手を傷つけることではない。自分のバウンダリーを知っているということ。
・決めたことを誰かに説明する必要なんてない。説明すると相手に反論の根拠を与えるから、むしろ説明しないほうがいい場合もある。
・自分の直感、身体からのサインを信じる。安全でないところに同意なし。拒絶に理由は必要ない。
・若い人は誰もがセーフティネットワーク(心配事の相談や緊急連絡をできる個人的な連絡網)を持つべき。親以外も含めるのが良い。
・アラビア語に「杖をつく人を急かしてはいけない」という言葉がある。
・脅威を前にした時の反応として、闘争、逃走の他に、かたまる、なだめる、もある。
・かたまる(freeze)ことも、生存戦略。動物が死んだふりをするのと同じ。ただ生き延びようとしているだけ。かたまってしまっているときは、そのことを他の人に伝えられない。本人が起きたことを処理し、きちんと反応して、大丈夫だと感じられるようになるまで、時間と安全な場所が必要。
・なだめる(appease)は、脅したり暴行してきた相手と友好的になろうとすること。例えば暴行された直後にその人と飲みに行くなど。もう危なくないと感じられるまで、または安全に逃げられるようになるまで、必要な限りできるだけ平和を保とうとする行為。
・直感は自分の内側から起き上がるもので、文脈は全く関係ない。直感は、どうしたら安全が保てるのかを知っている。突然自分のいる場所を不安に感じ、直感を信じなくてはいけなくなるような状況は、安全ではないといえる。そういうときの同意は、強制。「この状況とうまくやっていけばいい」と自分を納得させているから。
・たいていの人は頭より先に身体が反応する。何かおかしいという直感を感じても、何が実際の問題なのか特定するのが難しいことがある。