大社淑子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西加奈子がどこかで激推ししていた本作。
冒頭の「秘密にしていたけれど、1941年の秋、マリゴールドはぜんぜん咲かなかった。」の文を読んで稲妻が走ったと話していたが本当に吸い込まれるような冒頭。
黒人の被差別、黒人間の差別については描き方や起きている現象は全く違うが映画グリーンブックと似たテーマだなと感じた。黒人だからと言って、一枚岩なわけではなくむしろ、黒人にも白人にも除け者にされる人生。原題のthe bluest eyesを「青い眼がほしい」と訳したセンスには脱帽。
個人的には色や温度の感覚を伝える描写が美しくて好きだ。
「だから、チョリーがやってきて、わたしの足をくすぐったとき、それはちょ -
Posted by ブクログ
「秘密にしていたけれど、一九四一年の秋、マリーゴールドはぜんぜん咲かなかった。あのとき、わたしたちは、マリーゴールドが育たないのはピコーラが父親の赤ん坊を宿していたからだと考えていた。」
最初の章のこの冒頭からもう心を鷲づかみ。トニ・モリスンの文章は歌うような美しさがあります。
青い眼がほしいと祈る黒人の少女ピコーラ。黒い肌に青い眼、それが美しいと思ってしまうピコーラ。彼女がかわいいと思うのはシャーリー・テンプルのような少女。
たいして語り手であるクローディアは、大人たちがくれた白い肌、金髪で青い眼のベビードールをばらばらにこわす。
(黒人の女の子に金髪で青い眼の人形をあげるってよ -
Posted by ブクログ
ネタバレ著者の作品はこれで2冊目。
これYAにあったけどYAは不相応。
なぜならば性的表現がきついのと
ライトに収めているけれども近親相●がでてきます。
ただし、そこまで重いわけではないです。
なぜならばあからさまに登場する人物を
批判するわけではないから。
主人公の子は黒人の子だったもの、
ピコーラのようにはなりませんでした。
それは不条理なことをする白人に怒り
マウンティングする子たちにくみしないことから
理解できることでしょう。
でも、ピコーラはこれらの人種差別の
犠牲者ともいえるのです。
肌の色が批判対象でなければ…
そしてその目すら…
考えさせられることは多いはずです。 -
Posted by ブクログ
変わった構成を持つ小説。
1941年、オハイオ。
太平洋戦争に参戦し、アメリカ社会も高揚する頃。
恵まれない家庭環境で育つピコーラが、父に犯された上、心が壊れてしまうという悲劇を描く。
黒人社会の中で、ピコーラのように、より「醜い」とされる者と、そうでない者とに分かれる。
人種への蔑視が内面化されている。
(そして、それは私たちにも身に覚えのある感覚だ。)
追い詰められていく中、「青い眼が欲しい」と願い続けるピコーラの姿は痛ましい。
最初、近所の少女、クローディアを通して、ピコーラたち、ブリードラヴ家のことが語られる。
しかし、視点はやがて母ポーリーン、父チョリーに移り、彼らがどんな関係 -
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ノンジャンルと言える長寿本の一つに珍しく手を出してみた。ノーベル賞作家トニ・モリスンのデビュー作であり、1970年に生み出されたものの、広く世界で読まれるようになったのは四半世紀という時間を要したそうである。
この作品は、あらゆる意味で人間を比べてみることの愚かさと、その中で犠牲になってゆく心の痛みへの深い理解を、地道に、日常の言葉で綴ったものである。主たる視点は少女のものだが、時に他の三人称視点を使って挿入される作中作のような物語が、かしこに散りばめられている。
世界の歪みを、多角的な視点で捉えつつ、様々な区別や差別が人間に対してなされてゆく行為や、無意識という水底に沈殿してきた最 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何が書いてあるのかさっぱり分からんけど面白い!
でも時々、これは私も考えたことあるけどそのことやろかって分かる所もある
女たちは職を失うのを恐れているだけ
ほんそれ
沈黙が降りた。だが、ネルはその沈黙をみたす義務は感じなかった。
こうなりたいんよ
結局1人で生きてくことはできないんだよね
病気になった時は自分以外の連絡先を書かないといけない
それがなければ他人の手を借りないといけない
今までだって、自分1人で生きてきたと思ってるのよね
返さなければ、自分も1人で死ぬことになるよ、と自分に言い聞かせたい
訳者後書き読んでやっと話の意味が分かった!
こんな難しい話英語で読んで理解してなお -
Posted by ブクログ
何とか原書で読んでみた。主要でないとおぼしきところは飛ばしたりしたので消化不良かも。世間での高評価ほど感動せず。語り手の少女が貰った人形が白い肌で青い目でそれがかわいいとされてきるのに自分が違うので複雑な気持ちになるとか、子供の頃からマイナスなバイアスを抱えるのが伝わる。親に捨てられて育ったから自分が父親になっても、世間の父親のような対し方がわからないとか。自分の父親の子供を産むことが必ずしも不幸とは決めつけられない。そう決めているのは社会。しかし自分で生き方を選べないのは良くないし幼いうちにその境遇になるのは悲惨だ。その悲惨さを生み出している連鎖は描かれていると思う。