大社淑子のレビュー一覧

  • 青い眼がほしい

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    白人思想に覆われた日常に、白い肌や青い眼であれば自分も自分として愛されるのか?という黒人少女の純粋で真っ当で身を切るような願い。
    自分たちが劣っているとされる、値打ちがないとされるとしても、同じ黒人のモーリーンは「かわいい」。彼女を美しくしているものを憎むべきだ、という観察眼の鮮やかな切れ味が随所に描かれ、堪能した。現実の根深さに心をえぐるような小説だけど、決して読むのを諦めたくなるようなものではなかった。
    日を跨いで読むよりも一気に読むのがおすすめです。

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    2022年12月09日
  • 青い眼がほしい

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    西加奈子がどこかで激推ししていた本作。
    冒頭の「秘密にしていたけれど、1941年の秋、マリゴールドはぜんぜん咲かなかった。」の文を読んで稲妻が走ったと話していたが本当に吸い込まれるような冒頭。
    黒人の被差別、黒人間の差別については描き方や起きている現象は全く違うが映画グリーンブックと似たテーマだなと感じた。黒人だからと言って、一枚岩なわけではなくむしろ、黒人にも白人にも除け者にされる人生。原題のthe bluest eyesを「青い眼がほしい」と訳したセンスには脱帽。
    個人的には色や温度の感覚を伝える描写が美しくて好きだ。
    「だから、チョリーがやってきて、わたしの足をくすぐったとき、それはちょ

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    2022年07月29日
  • 青い眼がほしい

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    文体は比喩が長く、読みにくさがあるが、わたしたちの固定観念を見事に払いのける強さがある。
    淡々と語られる日常は、祖先から受け継ぐ圧倒的な強さに基づく諦念を浮き彫りにする。

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    2022年04月07日
  • 青い眼がほしい

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    「秘密にしていたけれど、一九四一年の秋、マリーゴールドはぜんぜん咲かなかった。あのとき、わたしたちは、マリーゴールドが育たないのはピコーラが父親の赤ん坊を宿していたからだと考えていた。」

    最初の章のこの冒頭からもう心を鷲づかみ。トニ・モリスンの文章は歌うような美しさがあります。

    青い眼がほしいと祈る黒人の少女ピコーラ。黒い肌に青い眼、それが美しいと思ってしまうピコーラ。彼女がかわいいと思うのはシャーリー・テンプルのような少女。

    たいして語り手であるクローディアは、大人たちがくれた白い肌、金髪で青い眼のベビードールをばらばらにこわす。
    (黒人の女の子に金髪で青い眼の人形をあげるってよ

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    2022年03月09日
  • 青い眼がほしい

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    ネタバレ

    著者の作品はこれで2冊目。
    これYAにあったけどYAは不相応。
    なぜならば性的表現がきついのと
    ライトに収めているけれども近親相●がでてきます。

    ただし、そこまで重いわけではないです。
    なぜならばあからさまに登場する人物を
    批判するわけではないから。

    主人公の子は黒人の子だったもの、
    ピコーラのようにはなりませんでした。
    それは不条理なことをする白人に怒り
    マウンティングする子たちにくみしないことから
    理解できることでしょう。

    でも、ピコーラはこれらの人種差別の
    犠牲者ともいえるのです。
    肌の色が批判対象でなければ…
    そしてその目すら…
    考えさせられることは多いはずです。

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    2020年12月19日
  • 青い眼がほしい

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    変わった構成を持つ小説。

    1941年、オハイオ。
    太平洋戦争に参戦し、アメリカ社会も高揚する頃。
    恵まれない家庭環境で育つピコーラが、父に犯された上、心が壊れてしまうという悲劇を描く。

    黒人社会の中で、ピコーラのように、より「醜い」とされる者と、そうでない者とに分かれる。
    人種への蔑視が内面化されている。
    (そして、それは私たちにも身に覚えのある感覚だ。)
    追い詰められていく中、「青い眼が欲しい」と願い続けるピコーラの姿は痛ましい。

    最初、近所の少女、クローディアを通して、ピコーラたち、ブリードラヴ家のことが語られる。
    しかし、視点はやがて母ポーリーン、父チョリーに移り、彼らがどんな関係

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    2020年12月02日
  • 青い眼がほしい

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    アメリカにおける白人から虐げられる黒人の生活及び黒人同士のヒエラルキーによる差別も書かれていて、物語の多くの部分の語り手は、まだ未熟な少女なので余計に人間の生々しさが際立つ。
    ピコーラがなぜ青い目を欲しがったのかはよくわからなかった。

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    2020年11月07日
  • 青い眼がほしい

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     ノンジャンルと言える長寿本の一つに珍しく手を出してみた。ノーベル賞作家トニ・モリスンのデビュー作であり、1970年に生み出されたものの、広く世界で読まれるようになったのは四半世紀という時間を要したそうである。

     この作品は、あらゆる意味で人間を比べてみることの愚かさと、その中で犠牲になってゆく心の痛みへの深い理解を、地道に、日常の言葉で綴ったものである。主たる視点は少女のものだが、時に他の三人称視点を使って挿入される作中作のような物語が、かしこに散りばめられている。

     世界の歪みを、多角的な視点で捉えつつ、様々な区別や差別が人間に対してなされてゆく行為や、無意識という水底に沈殿してきた最

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    2020年11月02日
  • 青い眼がほしい

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    ネタバレ

    ピコーラの少女時代は痛ましい。やりきれない気持ちになるが、周りの人間も皆やりきれない何かを持ってる。人種に関係なくこういう環境はあると想像できる分、他人事ではない気持ちになる。それでも時代は1962年。63年がキング牧師のワシントン大行進という大変革の真っただ中に書かれた作品。刷り込まれた価値観とひとりの少女。簡単に感想を持ってはいけないような気がするほど考えさせられる。多くの人に読み継がれていってほしい。

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    2020年10月12日
  • 青い眼がほしい

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    読書会課題本。救いのない話で読後感はあまり良くない。しかし「人種差別」だけでなく広い意味での「差別」に目を向けさせてくれる内容で非常に興味深い一冊だった。これがノーベル賞作家のデビュー作という事実に驚愕する。

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    2020年08月13日
  • スーラ

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    土埃舞う黒人の少女たちの友情。
    大人になることでのそれぞれの歩みと生まれる軋轢。

    力強くも最後に感じる寂しさと人間の優しさ。

    フォークナーの香り。

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    2013年01月16日
  • スーラ

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    トニ・モリスンを読むといつも凄い、と圧倒されるんだけれど、どうしてもしっくりこない。
    内容がではなくて、書き方が。
    「ビラヴド」「青い眼がほしい」も読んだのだけど、そのときもそう思ってしまった。
    アメリカ黒人の社会、歴史人間をこれほど描ける人は他にいないと思うのだが、感心はするが夢中にはなれない。
    相性が悪いのかな。

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    2012年07月09日
  • スーラ

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    1919~1965年 オハイオ州
    ボトムで育った黒人の少女、奔放なスーラとおとなしいネルの友情を描く、ノーベル賞作家の初期傑作。

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    2010年01月29日
  • 青い眼がほしい

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    差別の本当のおそろしさというのは、暴力など物理的な迫害を受けることではなく、差別されている人間の心に「自分は差別されてしかるべき劣った人間だ」という意識を刷り込み、やがて当人自身が自分の存在を否定するようになるところにあるのだなと感じた

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    2025年11月17日
  • スーラ

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    ネタバレ

    何が書いてあるのかさっぱり分からんけど面白い!

    でも時々、これは私も考えたことあるけどそのことやろかって分かる所もある

    女たちは職を失うのを恐れているだけ
    ほんそれ

    沈黙が降りた。だが、ネルはその沈黙をみたす義務は感じなかった。
    こうなりたいんよ

    結局1人で生きてくことはできないんだよね
    病気になった時は自分以外の連絡先を書かないといけない
    それがなければ他人の手を借りないといけない
    今までだって、自分1人で生きてきたと思ってるのよね
    返さなければ、自分も1人で死ぬことになるよ、と自分に言い聞かせたい

    訳者後書き読んでやっと話の意味が分かった!
    こんな難しい話英語で読んで理解してなお

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    2025年03月25日
  • 青い眼がほしい

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    本の最後に青山氏も同じようなことを綴っていたが、突然全く関係のないような人物が登場してきたと思わせる部分があって、そこが少々読みにくかった。1回読んだだけでは、物語を完全に理解できなかった。もう1、2回読みたい。

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    2024年12月26日
  • 青い眼がほしい

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    白人による黒人の差別だけでなく、黒人の間でも差別があること、それも無邪気な子供の頃から。悲劇は何故起こったのかを考えるとズシッと心に響く。この本が立派に出版されるまでに25年もかかったと言う。それでも社会は少しずつ動いている。

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    2022年12月26日
  • 青い眼がほしい

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    これはなんというか、、ポエムだ。
    いやポエムを挟むことでこの貧困の辛さを紛らわせようとしている、というべきか、いやよく分からなくて難しいんよ。
    とは言え黒人のー、貧困のー、と言ってるだけでは誰も読んでくれんのだから、そういう意味ではすごいのだ。ともかく白人が人種差別をしているというより、黒人に染み込んでしまった、というか白人に刷り込まれた劣等感が半端ないんだろうというのがよく分かる。日本人の白人に対する意識もそう変わらんかもだし、何しろ白人なのかアーリア人なのか、やつらの支配者としての歴史の凄まじさよ。

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    2022年10月24日
  • 青い眼がほしい

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    何とか原書で読んでみた。主要でないとおぼしきところは飛ばしたりしたので消化不良かも。世間での高評価ほど感動せず。語り手の少女が貰った人形が白い肌で青い目でそれがかわいいとされてきるのに自分が違うので複雑な気持ちになるとか、子供の頃からマイナスなバイアスを抱えるのが伝わる。親に捨てられて育ったから自分が父親になっても、世間の父親のような対し方がわからないとか。自分の父親の子供を産むことが必ずしも不幸とは決めつけられない。そう決めているのは社会。しかし自分で生き方を選べないのは良くないし幼いうちにその境遇になるのは悲惨だ。その悲惨さを生み出している連鎖は描かれていると思う。

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    2020年09月03日
  • ラヴ

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    いい小説(なにをもって“いい小説”というか、ということはあるにせよ)なんだろうけれど、私の趣味ではないのね。残念なことに。

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    2010年03月27日