井手正和のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
発達障害の中でもASD、その中でも「感覚過敏」という特性に焦点を当てて論じられていた。
簡単に言えば感覚過敏は認知能力の過不足によって引き起こされる。その機序をMRIやMRSを用いて証明している点が他書には無い特筆すべき点だろう。
私の偏食や塗り薬を昔から毛嫌いしてるところは多少なりとも感覚過敏の特性の現れなのかもしれない。
ただ、感覚過敏と感覚鈍麻は共存することがあり、また、感覚過敏だからといって全ての刺激(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に過敏になるわけではない。
✏2000年代にはfMRIによる研究が活発になり、認知活動や行動に関連する脳内メカニズムを明らかにする手法として盛んに用いら -
Posted by ブクログ
発達障害のうち特に自閉スペクトラム症が「どのように感じるか」を主テーマとした一冊。
感覚が、入力・知覚・認知・情動というステップに分かれることを学んだ。また、そのステップごとの特性がある場合の説明がわかりやすかった。
ASDには錯視が起こりづらく、定型発達者に何故錯視が起こりやすいかの理由としての「錯視は正確性より脳の効率性を重視した結果」など、なるほど〜と思った。
ただしいくつかの説明については、もう少し論理関係の詳細が必要だと感じられた。
ASDはスペクトラムであり、人によって状態像、感じ方は違うことが大前提である書きぶりが良いなあと思った。
そして、特性を発揮して活躍することは素晴ら -
Posted by ブクログ
内容はタイトルや帯の内容そのままです。2022年12月初版で、この日までに新しく解明された情報を強調しつつ、発達障害の人がどのように世界を捉えているか、学術的に解説していく新書。
当事者がどう上手に生きていくかという直接的な教えは薄いので、そこは期待しない方が良いです。本書はあくまで当事者以外からは想像のしにくい当事者の感覚をシェアするものです。そこに学術的な解説を足されたような感じで、自己啓発っぽい要素はありません。
著者の発達障害に係る社会の理想像は明快で、筋が通っており非常に印象が良いです。「一人一人誰もが違う。そんな個人の違いを潰す必要のない世界であってほしい」という言葉が173ペ -
Posted by ブクログ
結構面白かった。
発達障害を脳のメカニズムとして捉えて、具体的な説明がある部分と、逆によくある事象として、発達障害を持つ人の行動を具体的なストーリーとして見せるなど、非常にバランスの良い本。
GABAの分泌不足による知覚過剰という話は納得。
GABAは抑制系の神経伝達物質であり、過剰を抑制すると。ただ,これがないと、本当は無視して良いような機微な情報を知覚してしまい、非常に疲れる。
だから、それが嫌だからいつも同じ道を通りたがると。なるほど。
細かい触覚も知覚し、きのこの感覚が嫌だから食べられない、みたいなことが起こる。
定型発達者がだんだん感じなくなるような順応も起きづらい。そのため、そう