宇野碧のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ☆5に近い☆4です。
甘すぎず、無骨ではなく
漂う空気感が合っていると感じる作品でした。
作品の中の人々の心が傷ついてしまうきっかけ、タイミングが自分自身と驚くほど似ていたところ、
また料理に対する考え方、姿勢にも共感する部分が多く
そんなところも作品に入り込めた理由だと思います。
P264
ふつふつと音を立てている鍋に顔を近づけると、ふんわりと熱気をはらんだ風が舞い上がった。火で温められた空気は上昇するんだなと、当たり前のことを思う。最初は鍋の半分ほどあった水がほぼなくなっている。蒸発して、空気とともにどこかに行った水たちはまだ、この部屋のなかにいるのだろうか。
この恋人の料理 -
Posted by ブクログ
ラップの世界が身近にないので新鮮だった。
おかん明子の喋りがテンポ良くて、早々に「沙羅より明子の方がラップに向いているんじゃ?」と思ってしまった(笑)
中盤までは息子雄大の無責任なやらかし放題にイライラ、沙羅の健気さにウルウル、鬼道楽に勝った時にはスカッとしたし沙羅を思う気持ちに胸がぎゅっとなった。
しかし、雄大と対決する為に過去を振り返ると、そりゃ雄大なんも喋らなくなるわ……というエピソードばかりだった。
私の母親もこういうところあってキツいなと……自分は辛かったから仕方なかった、もっと褒めてもらいたい、私は悪くなかった、などなど、、、
それを盾にその時の子供の心を知ろうとしないし、逆に -
Posted by ブクログ
可愛い表紙に惹かれました。少し変わったセラピーのお話しです。現状を変えるため、一歩踏み出す事はすごく勇気がいるけど、そのきっかけを料理が救ってくれます。
人は心身ともに健康じゃないと、食べられない。
そして料理は、周りの人も自分も元気にしてくれる要素を持っていますね。
人それぞれの環境で、様々な問題があって生きている。
悲しい現状の向き合い方も人それぞれ。宗教上の概念の違いがありますが、それは強制されるものなのではなく、互いを受け入れることも大切なんだと思いました。
最後の、食事をとりながら泣く場面に感動します。
とっても前向きになれる、素敵な本でした。
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Posted by ブクログ
私は悩んでると料理する意欲が失われていくのですが、作品では自分のための料理に手をかけ時間をかけていてハッとした。
自分と向き合い料理をすることで癒される……その考えはなかったなぁ。
カレーにパフェ、肉を焼いたもの。
2話の「完璧なパフェ」が特に沁みました。
家事育児に仕事、エンドレスに繰り返される毎日のバタバタ。わかりみがありすぎた。
町田診療所のモネの過去を綴ったストーリーでは、深い悲しみにやりきれない気持ちになった。
モネ自身も料理をすることで乗り越え、癒され、大事な人と繋がっている。「料理」は、とても大切な意味を持つことだったんだ……。
苦しくて、切なくて、深い物語。
料理をするこ