宇野碧のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白くてスラスラ読んだ。
元々私自身がダンスをやっていたり、音楽が好きで、ストリートカルチャーに触れていたこともあるかもしれない。
息子の嫁がきっかけでラップを始めた母親。そして、最終的には、過去に色々あって、不仲になってしまった息子とMCバトルで本音をぶつけ合う興味深いストーリーだった。
この本を読んでて思うのは、「無意識のうちに自分の価値観を人に押し付けている」ということ。
セオリーだったり、何事も原則みたいなものがある。それは人それぞれの価値観も同じだ。
自分の価値観に合わないと、違和感を感じたりして、態度や発言に表れてしまうことがある。
しかし、この本で母親の視点と息子の視点から考えられたリリックを見ていると、親が息子を思って言っていたことが、息子の重荷になっていて、自信を失うきっかけにもなっていた。
だから、何か自分の価値観と違うことが起きても、まずは相手の視点に立って、相手の考えを探ることが必要だと思った。ある意味「即レスしない」で、一呼吸置いて考えることが必要だ。
あとは、自分の好きなことや相手の好きなこと、その中で共通なことを明確にすることが、良いコミュニケーションを取るのに大切なことだということも学べた。
自分の興味のあることが題材になっている小説をもっと読んでみたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレすべてのおかんに捧ぐ。
明子は夫を亡くしてからずっと梅を育てて経営をしてきた。息子の雄大はいつもふらふらと大事件を起こす。息子の嫁・沙羅は梅農家を手伝ってくれるが、音楽の趣味は合わない。ヒップホップなんてどこがいいのか。ところがラップバトルに出場することになり——。
泣いた。なんでおかんは言われたくないことを言ってくるのか。それが愛情だと思っているからです、知ってた。夫を亡くしすべてに全力で挑むゆえに幼い頃の雄大の声を聞かなかったことに気付く明子。雄大が話してくれないのは、目を合わせてくれないのは、自分がそのチャンスを取り上げていたからだ。雄大だってその捻くれ方は幼すぎると思うこともあるけど、ちょっと悪いくらいがカッコいい世界に憧れるなら、それもそうか。
ヒップホップは反抗の音楽。黒人たちも声を聞いてもらえずに勝手に押し込められていた。そんなところから声を上げた。バトルの場では相手の声を聞いて、真っ向から対峙しなくてはいけない。ディスるとしても相手をよく理解して組み合う言葉でディスらないといけない。レペゼン母、母を代表して明子が投げた言葉は、すべての息子に対する疑問。お前はわたしから生まれたのに、なぜわたしを拒むのか。それに返した雄大のアンサーは今まで聞いてもらえなかった自身の気持ちだ。母と子は違う存在なのだと。雄大がずっとラップをやりたかったのもわかる。ずっとおかんと言葉を投げかけ合うのを待っていたのではないか。
葬儀中に電話をかけてきた雄大と、穏やかに対応する明子の会話に、明らかに変わったものを感じる。繋がっていたはずの息子はもういない。もう自分はがむしゃらなおかんでなくていい。経営も沙羅に譲って、少しずつ場を譲っていこうとする明子。もう母でなくてもいいのなら、何になろうか。でもきっと明子は何か自分のやることを見つけ出す。軽やかに歩き出すラストシーンに夜明けの明るさを感じた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ心が疲れてしんどくなった人たちがモネと料理を通じて自分を取り戻す物語。
それぞれが疲れていく過程はわりとどこにでもありそうな感じで、だからこそ本人たちが囚われている状態にも「そうじゃない、そうじゃないよー」と違う処し方があることが分かるからもどかしくもあり、抜け出せるだろう確信から読みやすくもあった。
鍋の絵のエミさんは、モネの語り口からもういなそうと予想はしたけど思った以上の重苦しい過去話が最終話にきてさすがにちょっと読んでるだけでもしんどかった。
あの話読むと無責任な他人への呪詛が止まらなくなりそう。
ただ李青のことも私は好きじゃなかったから遺灰独り占めして葬式も拒んだシーンは「おいモネさっさとぶん殴れそいつ」って一人憤慨した。
最終話以外はとても好みだった。
宇野碧さんが書く料理が出てくる作品もっと読んでみたいなと思った。
余談だけど、モネはゴボウが嫌いなんだろうか。
生で齧らせとけばいいって二回言うシーンあったからなんとなくだけど。 -
Posted by ブクログ
YouTube「ほんタメ」で紹介されていて、
ずっと気になっていて、
ずっと読みたかった一冊です。
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梅農家を営むおかんと、
借金まみれのダメ息子が、
ラップバトルで親子喧嘩!?
笑えて泣けてグッとくる、
家族小説の大本命!
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ある日突然、姿を消した息子。
残された母と息子の嫁(義理の娘)。
母の経営する梅農家を手伝う娘。
そんな母が、ラップバトルに出場することに。
という設定だけでも面白いのに。
このお母さん、明子がとても素敵なキャラクターで。
娘の沙羅もとても良い。
いつも一生懸命頑張ってきた明子。
お母さんと家族になった沙羅。
姿を消した雄大。
すっかりただ面白いだけの話かと思いきや。
家族、親子の話でした。
物語の展開も簡単にラップバトル出場ではなく、
その前後の物語も良くて。
お母さんの気持ちと、子どもの気持ち。
本当は可愛くて仕方ない、愛しくて仕方ない、
本当は大好き、一緒にいてほしい。
言えなかった言葉たち。
宇野さんの作品、ほかも読みたいと思います。 -
Posted by ブクログ
最近、よく自炊をする。ただベーコンと目玉焼きを焼くだけの朝もあれば、ぶり大根を作る夜もある。思えば、今の街に引っ越してきてからほぼ三年間、わたしは台所に立てなくなっていた。一人暮らしを始めた頃に思い切って買ったお気に入りの鍋たちは、どれもシンクの下で眠っていた。
ちょっと作ってみようかな、と気が向いたのは転職して一週間ほど経った頃。そこからほぼ毎日、何かしら作るようになった。
料理する時間は、リトリートする時間ではないだろうか。
無心で魚を捌き、火加減を見て、味見して。いい頃合いで器によそって口に運ぶ。それだけで、今日一日の疲れが溶けて無くなっていく。アロマを焚いたり、おしゃれして出掛けたり、映画や読書する時間ではなく。自分のためだけの一皿を自分で作る時間。
予定通りの道を進まないと気が済まない人、周りと自分を比べる人、自分を見失った人。本書にはいろんな人生を歩む、似たような感性の粒度を持つ人が登場する。ふしぎと、どの主人公にも自分を重ねられて勇気が沸いてくる。自分で自分をリトリートする。忘れかけていた時間を取り戻すようにわたしは今、毎日台所に立っている。