宇野碧のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
書店員さんのおすすめで読んだ本。
軽快な文章で読みやすい。が、わたしは終始心が痛む。
ワンオペで子育てをした私は自分もしてしまった過ちばかり。自分自身を客観視させられる作品だ。
子育てはやり直せない。時間は巻き戻れない。
親子は難しい。相性もあるけど、血のつながりがなんとも邪魔してしまう。
息子とのバトルで初めて親子で本音をぶつけ合うシーンは印象的だ。
息子の抱えていた葛藤を知り、衝撃を受けるが、そのうえで、認めてくれよと言う息子に対して、「もうそれをするのは私じゃない、認める許す責任取る 全部やるのは自分自身 自信と人生作るのは自分 だからへその緒を切る おかんをやめる さよならや」と言い切った。
30超えた息子に対する最適解のように思う。
巻き戻せないから。
ずーんと心に残る一冊だった -
Posted by ブクログ
和歌山の梅農家で働く深見明子は、早くに夫を亡くし女手ひとつで息子の雄大を育ててきた。
だがその息子は、二度の離婚に借金まみれ、挙句に妻を置いて家を飛び出したまま行方知れず。
今だに借金の督促が明子の元にくるという…ダメ息子。
偶然にも雄大が、ラップバトルの大会に出場することを知った明子は、これが最後のチャンスとばかりにラップで対決することに。
言ってやろう。叫んでやろう。この胸にある思いの丈をラップに乗せて。
肝っ玉母さんというイメージの明子が、ラップをするということに驚くが、やり出したら凄いじゃないかと応援してしまう。
どうしても、罵り合い、野次る、と悪いイメージしかなかったが、この親子バトルは、心の叫びであり本音丸出しで魂を感じるものだった。
お互いにわかっている部分とわかっていなかった部分があって、結局言わなければ伝わらないってこと。
沙羅ちゃんが言ってたように親って鈍感な生き物かもしれない。
自分の言動が子供にどんなに消えないインパクトを与えているか、わかろうとしないと言ったことにもぐさっと刺さった。
見ているようで子どものすべてを見ていなかったことに気づき後悔する…そんな思いをした。
同年齢の明子さんを真似してラップできるか⁇
いや、私には真似できないなと…。
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Posted by ブクログ
私は料理が題材の本が好きなので、題名で読みたいと思った本でした。
読み始めてみると、思ってた物語とはちょっと違う物語だったけど、読みやすい物語でした。
読んでいて印象に残ったのは、料理には「正解」がないということです。
同じレシピでも作る人によって味が変わるように、生き方にも一つの正解はないのかもしれません。失敗してもやり直せるし、少しずつ自分らしい味を見つけていけばいい。そんなメッセージを受け取った気がしました。
この作品は、大きな事件が起こる物語ではありません。
でも、その分、一人ひとりの気持ちの変化が丁寧に描かれていて「明日も頑張ってみよう」と優しく背中を押してくれる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
【ヘッズをも唸らす母親としての意地を感じる本】
還暦を超えた母・明子が訪れたのは、若者が集うHIPHOPのMCバトル会場。和歌山の梅農園を経営している身からすると異世界に置いていかれたようだった。
息子の三度目の結婚相手の沙羅がMCバトルに参戦するのを応援するために田舎から出てきたのだった。若い女だからとディスられて、サイファーの雰囲気も向かい風となり、敗北する。
梅農園の仕事の最中、明子は交通事故で入院することに。そこで聴いたのが沙羅がおすすめしてくれたHIPHOPだった。元々リズム感の素質があったのも味方し、沙羅の練習相手になるまでにスキルアップ。
再度義理の娘がエントリーした大会に応援に行ったが、肝心の沙羅が体調不良となり、代わりにステージに上がる。以前沙羅が負けた相手だった。素晴らしいラップを披露し、リベンジを果たす。その結果で大会主催者は次のイベントを斡旋するが、場違いなことを理由に気が重くなる。
沙羅との練習している中で、息子・雄大の話になる。自分の言葉でどれだけ子供が苦心するかわかってないから親は鈍感だという沙羅に、自分は雄大の母としてどうだったのかと振り返る。
そしてイベント当日、それぞれが名だたる大御所を倒し、雄大との直接対決が現実のものとなる。ステージ上で繰り広げられるMCバトルの中で、母親から息子、息子から母親を見た姿が露わになる。自分の関わりや言動が原因で、息子との間に溝ができたのかもしれないと思い直すことができた。
ラップを通じて本心を言いかわし、それがきっかけで息子との向き合い方を少しずつ新たに変える。
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MCバトル好きには堪らない作品。HIPHOPの専門用語や会場の雰囲気を前段階で想像できたからこそ、より情景を思い描きやすかった。
65歳がビートに乗ったり、韻を踏めるのかというリアルな側面はさておき。
沙羅の敗退試合が終わったあと、明子が熱くラップの勝敗について語るシーンは思わずニヤけてしまった。韻の踏み方や感情の乗せ方は文章でも伝わりやすく、バトルMCの頭の中を覗けているようで、臨場感があった。
放蕩息子の雄大との関係性も物語が進むにつれて変わっていく。お互いの立ち位置の違いと注ぎたい深い愛情とそれを受け止めたい気持ちとないまぜになって、親との関係性はどの家庭も拗らせるよなと思う。
展開としては随分王道の話ではあるが、そのきっかけとなるHIPHOPとの掛け算が個人的に刺激的だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ60歳過ぎで梅農家を切り盛りする「母」明子が主人公。
息子が幼い頃に夫を亡くしてから、女手一つで育児に仕事に奮闘してきたが、その一人息子はどうにも問題児。現在は何度目かの家出をした息子が残した結婚相手(明子からみたら義理の娘)さらと2人暮らし。
そんなさらに頼まれ同行したラップバトル。
……という話。
元々、口が達者な明子はさらのラップの練習に付き合ううちに少しずつコツを掴んでいくが、その実力を発揮する機会が図らずも訪れる。さらを守るため相手と喧嘩する手段として。
最終的に息子ともラップバトルをする流れになるが、その過程で過去を振り返り、息子や自分自身と向き合うことになる。
そこがこの話の肝でもある。
けど、私がこの話で一番好きなポイントは、60歳過ぎの明子が、ヒップホップという若者文化の中に飛び込み、その流儀に従って相手を知ろうとするところ。
自分の理解できないことを否定せず歩み寄ること。
これぞまさに「レペゼン母」 -
Posted by ブクログ
ネタバレものすごく好きな作品でした。
私自身、タトゥーを入れてるわけではありません。入れたいなという気持ちはあるけど、
温泉入らなくなったら困るなあ…などデメリットに対する考えがまだあるからです。
しかし現実では少しずつ温泉に入れるか入れないか問題も変化してきている。
これは榴のような人々が、啓蒙活動を行ったり、タトゥー=嫌な人とならないような行動をしてくれたおかげなのでしょう。
物語の中で、榴はファーストペンギンだったのですね。
実際に調べてみたところ、2023年ごろから安全管理のガイドライン案ができていたり、厚労省による「アートメイクの取扱い」に関する通知が出ている。やはりどこかに榴のような人物がいて、丁寧な活動をされたのかなと思いました。
ここまでいうと、榴はものすごく逞しく強い人に聞こえるけれど、実際そういうわけではなく
他の人と同じように柔く脆い部分もある。
母親との関係、子供との関係、夫との関係。
その都度悩み、考え進み、自分にタトゥーを刻む。まるで自分自身で、自分の魂を修復しているかのようでした。そんなことができるのは、タトゥーイストだけでしょう。
私も榴に会いたい、榴になら入れてもらいたいそう思えるような人物でした。
タトゥーはちょっと…と思う人にこそ読んでみてほしいと思いました。タトゥーに対しての考えが変わるでしょう。反対にタトゥー入れたい!と思っている人がいれる前にも読んでみてほしい。安易に入れようとせず、いれる覚悟を持って、絶対にこの人に…!と心の底から思う人を探したくなる気がします。