西川武臣のレビュー一覧

  • ペリー来航 日本・琉球をゆるがした412日間

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     ペリー来航と開国を扱った歴史学の書籍は数多いが、本書はペリー来航に至る経緯、来航当時の日本人の反応、徳川幕府の海防体制、神奈川条約締結過程について、非常にわかりやすく明快に叙述されており、現状入門書としては第一に推薦しうる良書といえる。特にアメリカの開国要求について、従来経済的要因に比して軽視されがちだった、漂流民(特に捕鯨船員)保護の観点を具体的な事例を通して示している点、やはり従来の一般的な通史では正当に位置づけられているとは言い難い琉球の開国過程について詳述している点は特に注目される。アメリカの砲艦外交や幕府の避戦外交に対して後知恵的な解釈や評価を行っていないのも重要であろう。

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    2017年07月06日
  • ペリー来航 日本・琉球をゆるがした412日間

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    本書は、外国船の日本への来航が目立つようになって行った経過から、ペリー艦隊の登場とその日本や周辺での活動経過、更に彼らの来航の情報の日本国内での拡がり方や受け止められ方を纏めたものである。
    後段の彼らの来航の情報の日本国内での拡がり方や受け止められ方に関する内容が殊に面白かった…

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    2016年07月09日
  • ペリー来航 日本・琉球をゆるがした412日間

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    著者の西川武臣氏は現・横浜開港資料館館長。横浜の歴史を中心に研究多数。とくに生糸貿易体制の研究で知られている。

    本書は176ページと新書としては薄い部類だが、ペリー来航の政治史、経済史の叙述は最低限に抑えて、その「衝撃」を人びとがどのように受け止めたのかを中心にコンパクトにまとめている。ペリー来航の予告情報がどこからどのように幕閣に伝わったのか、そして実際に1853年の浦賀来航はどのように伝えられ、それが民衆にどう伝わり、彼らがどのように反応したのか。

    「日本の近代化は、幕府や明治政府の主導だけで成し遂げられたわけではない。多くの人びとが次の時代に向けて活動し始めたからであり、その原点がペ

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    2021年02月28日
  • ペリー来航 日本・琉球をゆるがした412日間

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    ネタバレ

    1854年に琉米修好条約が結ばれ、アメリカ合衆国は琉球と最初に近代的な条約を結んだ国となったことは、その後の沖縄とアメリカの関係を暗示しているかのようです。条約の内容はまったく違いますが、沖縄とアメリカは切っても切れない関係になってしまいました。これはその時どきの日米双方の為政者のなせる業でしょうか。琉球の民にとっては薩摩藩や清との交流時が一番幸せな期間だったかも知れません。

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    2016年11月19日