阿賀沢紅茶のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ実に尊い(真顔で)・・・
こもとも子先生や田村結衣先生もそうだが、阿賀沢先生も、本気で私の命を刈りに来ているとしか思えん。だが、読者を本気で、自分の作品でKOしに来ている漫画の方が、圧倒的に面白いのは事実であり、こっちとしても、描き手のハートを打ち抜くつもりで感想を書ける。
繰り返しになってしまうが、この(3)は(2)を上回る尊さで、ますます、この『正反対の君と僕』って恋愛漫画が好きになれる。
高校生たちが主役の、アオハル感マシマシなラブコメでは、相当に上位に来るんじゃないだろうか。
漫画的な表現や心象が多いんだけど、嘘臭さや無駄な誇張を感じさせないのは、キャラクターたちが毎日、一瞬一瞬を全力で、自分らしく生きて、自分の「好き」に真摯だからだろう。
これを言っちゃ、おしめぇな気がしないでもないが、この『正反対な君と僕』は、この作品のような青春を送っている人間よりも、恋愛の「れ」の字もなかった、青じゃなくて紺色の春を過ごした30代に、より刺さってくるのではないか。実際、私の高校生活は青じゃなく、真っ赤だったからなぁ。
まぁ、私の赤歴史はさておき、この(3)でも、鈴木さんと谷くんの恋愛模様は彩りを増しており、二人らしいペースで前進している。お互いを好き合っているからこそ、鈴木さんと谷くんは、お互いを尊重できるペースで進めるんだろうな。
相手に合わせるのを苦に感じず、むしろ、二人で同じモノを視られ、良かった、と感じる事が出来る速度で共に歩める、そこに幸せを感じられるのは、二人が真っ直ぐな恋愛をしているからか・・・・・・もう、何か、羨ましい、とかじゃなくて、微笑ましい、と思えるのは、私が大人になったからなのか?
そんな気持ちにさせてくれる鈴木さんと谷くんのラヴい毎日だけじゃなく、山田と西さんの「友情」と「恋愛」の間でグラついている関係も、二人が相手に歩み寄りを行った事で変化していた。今後、山田が、西さんとの関係を、どうしたい、と望むのか、期待だな。
また、この(3)では、『正反対の君と僕』を良い作品に到らせているキャラ、と言っても過言ではない、平が良い味を出している。本人は、青春を充実させている人間になりたいらしいが、持って生まれ、なおかつ、これまでの経験で形成された陰な性格は簡単に変わるもんじゃない。そんな彼の、卑屈さはあれど的外れではない言動は、読み手の心を結構、揺さぶってくる。
この台詞を引用に選んだのは、アオハルだなぁ、と感じるだけじゃなく、鈴木さんと交際を持続させている事で、谷くんが獲得した人間味に熱をより帯びさせているな、と思ったので。
特に、これと言って、特別な何かが起きた訳じゃない。だからこそ、いつの日か、ちょっとしたキッカケで思い出せる日は、幸せに満ちているものだ。
こうやって、二人は、思い出す「今日」を増やしていくんだろうな。
「私ねー、中学の文化祭の終わった日にも、このぐらいの気温だった時があってさ! それ以来、このヒュワ~~~って空気を感じると」
「ヒュワ・・・」
「『あー、今年も文化祭終わったなー』っって思うんだよね ! なんか、来年も同じこと言ってそー『文化祭が~~~・・・』って」
「・・・・・・・・・僕は多分・・・(この先、同じ空気に触れる度)『今日』を思い出すと思う」(by鈴木美羽、谷悠介)
もう一つ、グッと来た台詞がこれ。
ほんと、良い奴だよな、平。
彼は、自分の事があまり好きじゃないようだけど、これを言える彼を好きな友達は多いよな、と私は思っている。
怒るってのは、あまり良い事じゃないかも知れないけど、全く怒らないってのも、人間的に良くない。
東のような流し方も、それはそれでアリだろうが、怒るべき時は怒る、その方が人間らしいのではないか。
ほんと、いつか、平には、ちゃんと、自分を好きになってほしいもんだ。
「怒れよ!!!!さっきから・・・つーか、昨日から・・・!嫌な連絡してきた元カレ(?)も・・・!ツラあわせた時だけ、友達ムーブする女子も!この期に及んで、またあわよくば、ワンチャン狙ってるそいつも!!ちゃんとお前と向き合わないし、清算もしない・・・そのくせ、加害者側“ワルモノ”になる度胸もない・・・!なんなら、自分に非があるとか思ってなさそうっつーか・・・人のこと、ナメ過ぎだろ。雑に扱われてんだから、ちゃんと怒れよ・・・!!東だけがすり減ってんじゃん・・・割に合わねぇだろ」(by平)
こちらも平、良い奴だなぁ、と思った台詞なので紹介したい。
面倒臭いと言ってしまったら身も蓋もないけど、この年齢で、こういう考え方が出来る者は伸びしろがあるように思える。
嫌なモノは嫌、変と感じる事には変、と言う勇気は大事だよな。
「・・・けど、私さあ、一度、好きになった人、なかなか嫌いになれないんだよねー・・・なんか、まぁ、いろいろあっても、しゃーないかって許しちゃう。あ。だから、雑に扱われんのか。あははー」
「・・・嫌いじゃなかったら、良くないところ、全部許して、飲み込まなきゃいけねーのかよ。変だろ、それ」(by東、平)
そして、この会話が、(3)で最もズギャンッと来た。
甘酸っぱいにも程がある。
口から、黒砂糖が出てきちゃいそう。
「僕は・・・鈴木さんが楽しんでくれる方がいい。どこに行くか、とか、何をするか、とか、そういう『場所』とか『目的』よりも、鈴木さんと一緒にいる『時間』が楽しい」
「~~~・・・・・・わ、わかる~~~~!!私も、そう~!あれしたい!とか、〇〇に行きたい!とか、いろいろ言うけど、全部、『谷くんと行く〇〇に行きたい』って感じだからさー・・・え、アレ?違う?」
「ううん、僕も同じ。鈴木さん、いつもありがとう」(by谷悠介、鈴木美羽) -
Posted by ブクログ
ネタバレ大正義谷鈴木カップルは勿論、前巻から注目株の山田と西さん、個人的に注目してたテェラズマ、どこも盛り上がって参りましてニヤニヤが止まりませんでした…!
今巻は特に東と昔の友達の関係性の歪さに異議を唱える平の所がよかったです。
東の為に真っ正面から変だと言ってくれる人が現れて良かったなと思いますが、それより何より平が違うだろって言ってくれた事によって東自身が自分を雑に扱ってたのかもと考え直す所が、他の漫画ではあまり見ないキャラ造形してるなと感心させられました。
自分は全くの被害者だったと考えるのではなく、かといって反省し過ぎるわけでもない所が絶妙な塩梅です。
鈴木の「写真は記憶(おもいで)の外付けハード!」って言葉、凄く新鮮で目から鱗でした。
鈴木のこういうポジティブで楽しげな考え方がとても好きです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレほんとう、尊いってこれだよな・・・・・勢い良く言う感じじゃなく、しみじみと言ってしまう、静かなんだけど、尋常ないほどのエネルギーが、この『正反対な君と僕』にはある。何言ってんだ、と呆れる人が多いだろうが、私も自分で何を言っているのか、分からなくて、苦笑いしながら、今、この感想を書いているので問題ない。
こういう良質なラブコメを、あんまり深く考えるのは良くないなぁ、とは思うが、未読の方に、読んでください、と高圧的に言っても読んで貰えないのは、私だって理解している。
読んでもらいたいのであれば、何故、読んで欲しいのか、どの部分が自分に響いたのか、を言葉で説明できなきゃならない。小説家として世に出たいのならば、なおさら、そういうトコは蔑ろにしちゃいけない、と思わせてくれた部分で、まず、この『正反対の君と僕』に感謝だ。もちろん、これが、未読の方を動かせるモノになっていないのは百も承知だ。
この『正反対の君と僕』に、多くの漫画読みがグッと来ているのは、共感できる部分が多いからだ、と私は思う。
ちょっとした日常の中で起きる出来事に対するキャラの言動や、心の揺れ方に対し、この『正反対の君と僕』を読んでいる人間は、「あ、わかる」と自分のアオハルであった事を思い出し、頷いてしまう。
本気で「好き」になった相手と付き合っていれば、毎日、甘酸っぱい事ばかりが起こる訳じゃない。付き合い始める前にあった事が、付き合い出してからの毎日に絡んでくるのだから、時には、苦々しい空気になってしまうだろう。
この(2)では、谷くんと鈴木ちゃんの間に、傍目からしたら大したことは無いけど、当人たちからすれば大きく高い壁になるピンチが訪れている。それに対して、目を逸らさず、自分を誤魔化さず、なぁなぁで済ませず、ちゃんと自分の頭と心で考えて、好きな相手に真正面から距離を詰めていく、その若さが本当に眩い。
ドロドロしている訳じゃないにしろ、本気の恋愛物語に於ける綺麗事じゃない部分を、生真面目男子とギャル女子、そんな真反対の立ち位置に入るけど、お互いへの「好き」が純粋で揺るがない二人を主軸に据える事で、コミカルながらも、茶化さない感じで描いている阿賀沢先生は、実に脅威的だ。
また、この(2)では、元気花丸印な山田くんの青春に、恋の風が吹き始めている。150pは、正に、人が恋に落ちる瞬間を見てしまった、ってやつだ。谷くんと鈴木ちゃんと同じく、山田くんと西ちゃんも正反対なだけに、やっぱり、応援したくなる組み合わせである。
山田くんはゴチャゴチャ考えず、まず、自分が思った事を行動に移せるタイプだけど、こと恋愛に関して言えば、ニブチンな面がありそうだ。なので、意外と、スローペースかもしれない、西さんとカップルになるまでは。けど、気長に待てるだけのモノが、この作品にはある。
この台詞を引用に選んだのは、上にも書いたが、この『正反対の君と僕』の強みである、読み手が共感できる部分だからだ。
端的に言えば、これは、大抵の人が持っているであろう、しょうもない見栄だ。
けど、人付き合い、特に、恋愛において、見栄ってのは大事じゃなかろうか。
もちろん、相手を騙す事が良し、とは言わない。むしろ、騙すのは論外だ。
しかし、見せられる姿と、まだ見せたくない姿があって、後者を見せたくないが故に、必死で逃げてしまう鈴木ちゃんを誰が笑うだろうか。
この『正反対の君と僕』を読んでいる方の中にも、今、好きな人と付き合い始めたばかりの方もいるだろう。であれば、あなた方のなかにもあるんじゃないか、好きな人にだからこそ、見せられない素の面が。
そういう見栄を、私は、恥ずかしい、相手に申し訳ない、と思う必要はない、と強く言いたい。
実に人間的だ。
まぁ、鈴木ちゃんが油断をしていたってのは否定できない訳だが。
(ごめん、谷くん・・・!! ありのままの自分でいたいけど・・・! 流石に、何でもかんでも見せればいいってわけじゃないんだ・・・! 今はまだ、見られてもいい自分と、見せたくない自分がある・・・!! 曝け出し過ぎて、幻滅されるのは嫌~~~!!!)(by鈴木ちゃん)
もう一つ、私の心にぶっ刺さってきた台詞を紹介。
もう、これはグサァァァッッッ、と来ます。
これほどまでの大ダメージを喰らったのは、私が三十路を超え、アオハルが遠くなってしまったからなのか。
こんな青臭い事を言えちゃう山田くん、マヂに良い奴だ。
ますます、優しく見守りたくなる、彼の恋路を。
「なんていうか・・・違うんだよな~~~俺、別に、その人のこと、『好き』ではないと思う。ていうか、何も知らん。けど、なんか知りたくなってるから・・・なんつ~の・・・? ・・・あ、好きになりにいってるんかも、今。わかった」(by山田くん)
そんで、もう一つ、上2つに負けないくらいの破壊力を有した台詞を紹介。
読んだ人によっちゃ、自分にとって都合が良い解釈、結論の出し方だ、と感じるだろう。
けど、それもまた、青春真っ只中にいる若造らの真っ直ぐさゆえだ。
鈴木ちゃんは、学校の成績こそ揮わない子かもしれんが、決して、バカではない。
ちゃんと、失敗をしてしまった、後悔するような事をしてしまった自分との対話が出来て、自分の答えが自力で出せる、良い子だ。
谷くんが、彼女を好きになった理由が、改めて見れたような気がする。
しかし、今更だが、過去に囚われている平くんと東さんには、ほんと、幸せになって貰いたいわ。
「たとえ、見た目が良くても・・・! たとえ、仲が良くても、それが男子でも、だからといって、私にとって、それは=恋愛になるわけじゃないんだって、あの時、学ん・・・(・・・あ、何もなかったわけじゃないじゃん。ちゃんと、反省と後悔がある。というか、そもそも・・・)」
「・・・にしても、初カレ初カノとか・・・いいなぁ、ピュアって感じで。もう、私には経歴が濁り過ぎて・・・・・・」
「違う、関係ない。過去の潔白だとか・・・初めてだとか・・・過去に何も無い方が『純“ピュア”』みたいなの、変だよね? そんなことなくない?? なんのアピールをしてたんだ、私は・・・!!」
「? どした? なんか、スイッチ入った・・・?」
「たとえ、私が、過去に100人抱いた女だとしても・・・!」
「抱い・・・!?」
「今これから、目の前の人と真摯に向き合おう!って思ったなら・・・それは、もう、純愛“ピュア”じゃんね・・・!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・??!?」
「よっしゃ! 谷くんのとこ、行ってこよ。俺は『今』なんだよ!!」(by鈴木ちゃん、東ちゃん)