大竹裕子のレビュー一覧

  • 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか:紛争地ルワンダに暮らす人びとの民族誌

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    基本的にはドッグイヤーしない主義なのですが、この本は折らずにはいられなかった。基本的にジェノサイドや虐殺について扱うので人によっては読むのを気をつけた方がいいかもしれない。
    深く傷つきながら、それでも回復していくには、生きて未来の時間軸で進んでいくだけで十分だという視点は、多くの人のためになる考え方だと思いました。

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    2026年05月01日
  • 性暴力被害の実際 被害はどのように起き,どう回復するのか

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    被害に遭った方の語りを聞いて怒りや悲しみが湧き上がってきた。彼女らを傷付けたことを許せない気持ちになる。男性たちを懲らしめたくなった。
    「あなたは悪くない」と寄り添ってくれる人の存在は大事だと思う。

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    2022年07月03日
  • 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか:紛争地ルワンダに暮らす人びとの民族誌

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    もとは博論らしくけっこうがっつり学術書。でも読みにくさはない。
    酷いな…虐殺も酷いけどその後の政権が民族差別を続けているのも酷い。そこを批判するのではなくあくまで観察者・研究者としてかかわるというのは苦しいだろうが、人間に対する信頼を失っていないのはその地で生きる人々とともに暮らし敬意をもって理解しようと努めているからなんだろう。立派だ…

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    2026年04月20日
  • 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか:紛争地ルワンダに暮らす人びとの民族誌

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    90年代のルワンダで起きた紛争や虐殺を生き延びたひとびとへのフィールドワークを通じて描かれるエスノグラフィ。

    ロンドン大学への博士論文をもとに日本向けに書き直したものだそうだ。だからといって、とくに専門的な知識が要求されるわけでもないし、難解な文章というわけではない。むしろ平易といってもよい内容。

    ただ、平易といえども内容は重い。90年代のルワンダは、大きく分けて、

    90年〜94年 ルワンダ内戦
    94年4月〜7月 ジェノサイド
    94年7月〜コンゴへの難民化
    94年〜97年 難民キャンプでの殺戮
    97年〜00年 アバチェンゲジ紛争

    となる。ルワンダは丸々10年間血を流したことになる。
    ちなみに、これは巻末にある著者による年表に依っており、90年以前には植民地時代と独立、08年にはジェノサイドイデオロギー法がある。そして本書で大きく印象に残るのは、アバチェンゲジ紛争と、その語りを封じ込められるジェノサイドイデオロギー法である。

    本書の論旨と結末はシンプルといえばシンプルである。医療から語りの形式、時間の認識にまで至る西洋中心主義への批判と脱却、コミュニティやグランドナラティブの重要性を説くこと。希望の持てる結論ではある。しかしこの単純な結論に辿り着くまでの道のりは長くてつらい。

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    2026年04月11日
  • 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか:紛争地ルワンダに暮らす人びとの民族誌

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    ネタバレ

    アバチェンゲジ紛争によって家族、友人、近隣の人たちを殺され、その人たちが家の玄関先に埋められたままなのに、埋葬することはおろか追悼すること、被害を口にすることすら許されない。親戚の男に父を殺され、性暴力を受けながら、紛争後はその被害がなかったことにされ、加害者と顔を合わせて日常を送らなければならない。あまりに悲惨な状況の連続で読むのが辛く、前半は何度も読むのをやめようかと思った。日本で日常的に報道されるのはガザとウクライナくらいだからあまり知られていないだけで、世界中にこのような辛い状況に置かれた人たちが今もいるんだろうな。
    後半に書かれた、コミュニティの中で人と関わりながら生きること、人と話すことや人のために何かすることで時間の経過とともに心の傷が回復していくという過程は、とても納得できる。コミュニティの中で居場所を失ったお婆さんは、信仰によって生きる意味を見い出していく。苦しみながら息子を殺した加害者を許そうとする、加害者のために祈るというおじいさんの話も印象深かった。信仰なしにはそれはあり得ないだろうし、やはり人の力でどうしようもない辛い状況にある時に信仰は大きな意味を持つんだな。
    そして、今生きている間に自分の傷が回復することはないとしても、未来を生きる世代を生み出し育てていのちを繋いでいくことによって、いずれその世代が傷を癒やしていってくれる。このような円環的死生観は、一昔前までは日本にも当たり前に似たような価値観があったのではないかと思う。
    最近の日本では子育てがネガティブなイメージで語られることが多いけど、人間だって生き物なんだから新しいいのちを生み育てることは単純に喜びであり未来への希望を繋ぐ行為であるはずなのだ。

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    2026年02月28日
  • 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか:紛争地ルワンダに暮らす人びとの民族誌

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    よかった
    タイトルはなかなか仰々しいが…。


    まず、ルワンダの内戦について、あまりにも過酷な状況が書かれており、恥ずかしながら全く知らなかった。
    この本の前に「地球星人」という、なんとも非倫理的なエグい本を架空の物語として読んだのだけれど、現実の地球でまさに(多かれ少なかれ)同じようなことが起きていた、という事実にまず萎える。

    話は戻り、そういった過酷な状況、過酷な世界をその土地の人たちは、どう生き延びてきたのか、生き延びているのか、というルポタージュ。

    二つ興味深かった。

    一つは、過去を物語り、自分のライフストーリーに組み込むことでトラウマ・ケアをするという考え方は、西洋の精神分析学派の流れを汲むアプローチであり、個人主義・言語中心主義がなせるもの。
    ルワンダのような独自の文化、独自の言語(トラウマに値する言葉がまずない)からなる世界では有効ではなかったということ。その文化に根付いた治癒法が大事ということ。
    *言語以外の治療法については、「身体はトラウマを記憶する」の本にもいろいろ書かれている。


    日本は、西洋化しているけれどもどうなんだろう…
    今ある知識、常識で治癒しなくとも、それはその人(個人)のせいではないことがよくわかる。


    もう一つは、時間に対する考え方
    こちらも、西洋圏や現代の日本においては、直線的な時間軸が主であり、それに基づくと、心の傷は個人の所有だが、円環的死生観のもとでは異なってくるというところ。

    詳しくは本書を読んでいただきたいが、死生観そのものが、心の傷の回復に求めるものまで変わってくるという見方は、また大きな視点に立てた。


    以下、印象に残ったところの抜粋

    「人間のいのちは誕生にはじまり、死で終わると考える直線的死生観のもとでは、心の傷は個人の所有であり、個人が人生の終焉を迎えるまでに回復する、あるいは成長することが期待される。しかし、円環的死生観のもとでは、心の傷は個人の所有であるとか、回復や成長は一世代で成されるものといった前提はくつがえされる」


    まあ、確かに子供のためにがんばるとか、薄く浅くいうとそういうことか 次世代につながればよし的な。昔の日本は意外と円環的だったのかもな。


    「人々が何処へ向かって回復してゆこうとするのかという回復の行く先は、その人々がどのような人間観・死生観・世界観を取り戻そうとしているのかに従うことになる」

    ・時間について
    「時間とは 異なる2点の間の差異

    1つ目の点が主体
    2つ目の点が他者


    2つの点の距離はいわば、他者との関係とすると、自分とは異なる他者が存在し、自分と他者との間に差異があり、距離があって、はじめて時間は生起する」

    なるほどねー

    まあ、やっぱり他者の存在
    だれか他者がいることの価値ということなのか。

    なかなか勉強になった。


    その人がどういう死生観であるかを知ることで、その人はどう生きることを求めているのか、その人にとっての回復とはどういったものなのかが、ほんのり見えてくる

    という視座をもらえたのが何より良かった

    まずは今自分が知っている知識が、常識、と思わないようにしよう。

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    2025年11月23日
  • 生きることでなぜ、たましいの傷が癒されるのか:紛争地ルワンダに暮らす人びとの民族誌

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    ルワンダのツチ族を標的としたジェノサイド、国際的にもよく知られているが、その後に起こったアバチェンゲジ紛争などは私は全く知らなかった。それはルワンダの一般市民(フツ族、ツチ族)にとってとても酷い状況だったようで、多くの家族や友人を失ったにもかかわらず、現政府の統治下ではその話をすることも命の危険が及ぶような状況とのこと。そのようなかで、人々がどうやって前向きに今を生きれるようになってきたかが詳細に記されている。心の傷を癒す方法はその土地の文化や風習によって異なり、欧米のPTSDに対する手法が全ての地域に当てはならないことがわかってきた。それは日本においてもそうだと思う。ルワンダの市民らは最終的には人との繋がりが互いを支え合い前向きに歩を進める動力になっているんだなと思った。やっぱりどんな状況であっても人との繋がりが大事だなと思った。

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    2025年11月12日
  • 性暴力被害の実際 被害はどのように起き,どう回復するのか

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    被害者からのインタビューやアンケートから浮かび上がる性暴力の実際を記した本。
    様々な思いもあるなか協力された方々に敬意を表したいです。
    エントラップ型はかなり巧妙で今も知らないうちに被害者が増えている可能性があると思われる。

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    2020年10月11日