島田潤一郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
50社連続不採用。転職活動でうまくいかず、大好きな従兄も亡くなり、人生の暗い沼の中、本を読むことで自分の居場所を確認し、自分の大好きな本を顔の見える人に届けたいという思いで、古くてあたらしい「出版社」を立ち上げた島田潤一郎さんのバイオグラフィー的なエッセイ。大きな資本にできないことをやる小さな仕事の価値や人の仕事に対する根本的な価値観、本を通じて紡がれる人と人との歴史ともいえる関係性、島田さんの本や人に対する思いなど、正直でか弱く小さな声が、資本主義の大きな声の中で仕事をする自分にとても、響きました。社会的インパクトが大きく顔のわからない顧客に価値を届ける仕事と、小さくとも顔のわかる多様な個人
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Posted by ブクログ
『長い読書』は、著者にとって本を読むということがどういうものだったか、それによってどう支えられてきたかということが書かれていて、「読書に支えられてきた自分」ということに少しナイーブな印象を受けたが、本書では、読書への想いは変わらず、人のために本を作ること、本を作ることを通して人と関わることなどを通して、「人のために仕事をする」というテーマが懇々と書かれておりナイーブというよりは、体温が感じられる内容でとても良かった。
もともと作家志望であったという島田さんの、誠実な想いが感じられる文体がありつつ、はたらくことは人のために何かすることだ、ということが丁寧に書かれていて良い。 -
Posted by ブクログ
一人で出版社を作った人の本。
毎日を生きる人にそっと寄り添ってくれる。そんな本。
「今日、だれのために、なにをするのか。」
文筆家を目指していた島田は大学を卒業後もアルバイトなどで食いつないでいた。しかし、時は立ち31歳で就職活動を行うが採用はされない。そんな中、仲の良い従兄が若くして亡くなる。悲しみに暮れる叔父叔母を見て彼は思う。「彼らのためにホランドの詩を一冊の本にしよう」。そして、「夏葉社」ができた。
紙の本は斜陽と呼ばれ、大手の出版社ですら本だけでなく様々なキャンペーンを打ちしのぎを削っている。そんな中、たった一人で紙の本を作る出版社を作った人の話。
そこには、派手な見出しや野望な -
Posted by ブクログ
電車の中で全員がスマホを触る中
本を読んでる自分!ってなんか素敵ですよね笑
何かするときは、これは自分にどんな意味があるかな?何かためになるかな?なんて視点がいつもあるのは良くないんだろうなと思う、、
でも読書するのもどうせなら意味があるものにしたい!って気持ちで手に取った本
読書がどんなことをもたらしてくれるのか
知っていた方がもっともっと身になる気がするし!
ただ、本1冊読んだだけで 全てを知ったつもりになってはいけないなと思った
"本を読んでいる時よりも、本を選び、買って帰るときのほうがうれしい"にすごく共感した
良い時も悪い時も いろんな本を読んで いろんな -
Posted by ブクログ
もともとSNSで見かけてなんとなく買っておいた本で、仕事に関してちょっと考えることがあるときに、ふと手に取って読んでみたら、なんだかむちゃくちゃ刺さって、電車の中で読んでいたのにうるうるしてしまった。
わたしも「だれかのための仕事」をする人で、仕事に対して、面倒とか、搾取とか、そういったネガティブな感情はなく、どちらかというと仕事をするのが好きなほうなのね。まぁ大変ではあるけど。
せっかく「だれかのための仕事」をしているのだから、ひとつひとつを丁寧に、この本でいうところの「怠けず、誠実に」を心掛けたいし、それを続けていけば1年後、3年後あるいはもっと先に得るささやかな収穫で喜べる日が来るん -
Posted by ブクログ
なんかもう最初から最後(文庫版あとがきも解説も)まで、ずっと泣いてた。全部の文に線を引きたい、付箋でも貼りたいほど、ずっと心を掴まれていたし、寄り添ってもらっていた。
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先月とあるトークセミナーで、島田さんのお話を目の前で聞く機会があった。少し震えているようにも感じる緊張の面持ちで話し始めたその様子が、本の印象そのままでした。
その後の販売会で、お声をかけようとして泣きそうになり、言葉が詰まってしまった私を茶化さず慌てずぐっと堪えて、「(話が良かったと聞いて)よかったです。」と落ち着いた様子で応えてくれた、あの空気感が忘れられない。
思い出すたびに、背筋を伸ばすことになると思う。
こんな -
Posted by ブクログ
古くて、あたらしい。
それはどういうことなのか、と惹かれて手に取った本。
著者が、真摯に仕事に向き合い続ける過程が語られる。
その描写には、本が好きな人間にとって深く共感できる考え方が詰まっている。出版の実務的な流れが見えることもおもしろい。
なぜ本が好きなのか、を言語化してくれている!と感じるのは、著者自身が本が大好きだからなのだと思った。
誰かの役にたつことが、仕事になり得るもので、
どんな仕事も、お客さんがいる。
相手をきちんと見つめて仕事をすると、
向き合い方ややり方はずっと一様にはいかないはずで、
組織の中で働いていて大胆なことはできなくても、
自分のひとつひとつの業務への取