島田潤一郎のレビュー一覧
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p67 「いまはコンピュータで検索すると、何でも答えが出てきて、インターネット書店で本を注文すると次の日には届きます。でも、ネット書店では買えない本がある。それは、自分が全く知らない本。ネットの検索では、自分が全く知らない概念を調べることはできません。でもそれは、本屋さんに行くと出会うことができたりするんですね」
p78 書評集と銘打っていなくても、本にかんする文章がとても多い本もあります。そういう本を読むと、読みたい本が次から次へと増えて、ほんとうに困ります。
p118 ふだんの友人や家族との会話だけでは消化できない、個人的な悩みや、抽象的な疑問。解消するのにとにかく時間がかかるたくさんのこと。
そういうことをひとりで考えるのには、本というものの存在がとても便利です。
作者の言葉に耳を澄ませるようにしてページをめくり、長時間、活字を読むことによって、自分ではとうてい考えることができない領域のことまでをも考える。
すばらしい本を読み終えたあとには、見える景色までもが変わってきます。 -
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ネタバレ読書好きな作者がひとりで出版社を立ち上げるにあたってのエピソードや思いがつづられている。
仕事論として特別なことは必要なく、できることできないことを理解し、誰の為に何をするか日々試行錯誤しながら作っていく。といったシンプルだけど忘れていた考えに初心を思い出されました。
一番共感したのは本の世界を通して自分の現実を見つめなおすという話です。
本というフィルターを通して悲しみや辛いことを時間をかけて理解するという内容に、だから最近エッセイを読みたくなるんだなと思いました。
最近は自分と似た経験をした人、まったく違う生き方をしている人、それぞれの人がどんな考えをもって生きているか知りたい欲が高まってます。 -
Posted by ブクログ
この本を読み始めて面白いなと最初に感じたことは著者が本当は大手企業に就職して会社員になりたかったと言っていたことです。就職活動がうまくいかない中で伯父伯母に詩を贈りたい
→本を作りたい→出版社を作ろうという発想がこの本の軸になっていて「誰かのための仕事」という考えがすっと入ってきました。
お金を稼ぐためという仕事ではなく人対人、人のため、社会のための自分の役割が仕事という考えに感銘を受けました。自分の仕事への考え方がガラッと変わる一冊でした。
お金を稼ぐのが仕事と考えていたので育児や家庭の都合で仕事を思うように出来ない不満やどちらも中途半端になってしまっているのではという自己嫌悪感があったのですが、どの仕事もだれかのための仕事であることに変わりないんだと気付くことが出来て気持ちが軽くなりました。
これからはお金稼ぎや目先の売上にとらわれず、どの仕事も人のため、だれかのために行動していこうと思います!! -
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夏葉社の島田潤一郎さんの本。著書を読むのは初めて。
私は電車通学・通勤生活を長くしてきた。その始まりを中学生になった一九九七年とし、スマホを使うようになったのが二〇一二年頃だったとすると⋯スマホ以前が十五年間、スマホ以降が十三年間くらい。二〇二〇年以降は私は在宅勤務が圧倒的に増えたし、スマホを持っていても電車で本を全く読まなくなりはしていないのだから、これまでの電車人生について、「一人で乗る場合、大半は本を読んで過ごした」といっても問題はないだろう。だから堂々と、「タイトルに惹かれた」のが本書を手に取った理由だと言おう。
とはいえ内容は電車の話ではなく、本の紹介エッセイ。もとは島田さんが高知新聞に連載していたものらしい。読みたい本がまたたくさん増えた。
本書を読んで感じたのは、ひとつひとつのエッセイを、島田さんは、誰に届けたいかイメージして書いているんだろうなということ。作家や文筆家を目指すような人に向けてよく言われる心構えとして、そういうふうに書かれた文章がよい文章だという話は聞いたことあるような気がするけど、夏葉社を立ち上げたときの気持ちが書かれたものを読んでも、島田さんにとって、本は誰かから誰かに届けるもの、という思いがあるのかもしれない。
私信や演説とは違って、本は誰がいつ受け取ってもいい。返事をしてもしなくてもいい。買ってしばらく置いておいてもいい。何かを深く考えたいとき、手がかり足がかりになってくれたりする。⋯だから本は人生の素晴らしい相棒、友達になってくれるものだけど、本を読むだけで人生は埋まらない。自分が主体としての生活があってこその本であり、電車のなかで読むくらいのあり方が自然なのかもしれない。 -
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神戸の球場で息子と野球を見た翌日、三宮の街で息子がお勧めしてくれた本屋さん『1003』に立寄った。お店のカラーが色濃く出ている、新古書両方扱っている本屋さんで、家の蔵書とも数冊被っている。
各々の家庭には各々の価値観があり、読む本にそれは反映されると思っている。この『1003』という書店を勧めてくれる息子は、我が家の価値観を共有してくれていると思うと、少しうれしい。
タイトルの『電車の中で本を読む』は、僕と同世代であれば、まあ、まだいるだろう。私も電車に乗るときは本を読む派だ。本書は、電車の中で本を読む著者島田さんが勧めるエッセイ+ブックレビューだ。すべてのレビューに島田さんの優しさがにじみ出ている。第3章『子どもと本』を読んでいる間はずっと涙が止まらなかった。
僕は昭和の時代に育ってよかったと思う。人間の活動範囲や処理するスピードが、まさに、昭和的だから。そして現代の美味しいところをつまみ喰いしながら、便利に充実した還暦後生活を送りたいと思う。 -
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夏葉社を2009年にたちあげた島田潤一郎さんは、今やエッセイストとして数冊の本も出している。
出版というビジネスの新しいあり方を提唱する「起業家」としても、名前を知られるようになってきた。
売れる本を作ってガツガツ稼ぐというのと対極にある、少部数でも良質で長持ちのする本を作る、という姿勢は立派である。
そういう出版社は昔から細々と存在してきたが、島田さんのような若い世代(といってももう50代に近いが)がそうした精神を受け継いでくれているのは、本を愛する我々にとって大変に心強い。
私にとっては、なんといっても『庄野潤三の本 山の上の家』が、一番好きな夏葉社の出版物だ。
2019年の秋分の日には生田の庄野家の一般公開にも訪れた。「夕べの雲」や「絵合せ」の舞台となった小さな家、庭の木々、作家の書斎や本棚の様子が、今もありありと目に浮かぶ。
それいらい庄野潤三の本を、古本屋などでコツコツと集めている。
『レンブラントの帽子』もいい作品だ。マラマッドも好きな作家となった。
これからもぜひ、いい本を作り続けてください。