片岡一竹のレビュー一覧
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いまのところ、今年ベストと言えるほど鮮烈な読書体験となったのが、片岡一竹『ゼロから始めるジャック・ラカン』です。
一言でいえば、“人間の生”について抱えていた疑問の多くが晴れた、そう言いたくなるほどの体験でした。
まず印象的だったのは、「人間は自然に対して言語において過剰である」という考え方。
だからこそ、人間は言葉に苦しみ、言葉に救われる。 これが、言葉だけで治療するラカン的精神分析の本質なのでしょう。
さらに、「生きる人間は、いつまでも《他者》の家に居候しつづけるしかない。」
この世界に生きることは、つまり他人の家にいるようなものだ、という解釈には、自分も薄々感じていたことが見事 -
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ラカンの理論は勿論容易ではないのだけど、書かれてあることは、今まで私の人生において実感してきたことばかりだった。
我々が他者の世界に生きている限り、欲望は無限にズレていく。その不可能性に気付き、他者を神格化するのとは別の方法で「特異的な」幸福を見出さなければいけない。私が感じている根本的な居心地の悪さは当然のもので、その特異性から生まれてくる無意識の主体と上手くやっていかなければならない。
まんま『血の轍』やん。「再生の風景」やん。
エヴァンゲリオンやん。精神分析まだまだインチキなんかやないと思う。
あとは空虚さのところとか、「もの」の体験で、最近読んだ椎名麟三とアル中らもを思い出した。アル -
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兎角難解なラカンの理論をわかりやすく説明した良書。精神分析用語を日本語訳にすると、その本来の日本語とは違う意味を持つので、頭の中で翻訳する必要がある。その上に、同じ精神分析と言っても、ラカンは毛色が違うので、用語の理解は必要である。そのため「想像界・象徴界・現実界」「鏡像段階」「対象a」など、ラカン特有の用語についてもわかりやすく解説されていた。エディプス。コンプレックスを始めとして精神分析的発達論は男性の発達論を下敷きにして描かれており、女性の発達論は男性から見た発達論であり、ジェンダー理論が進展している現代においては、今後書き換えられる可能性もあるかもしれない。
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すばらしいです。ラカンの入門書としてはこれ以上ないくらいです
向井さんの入門書が難しいと感じたので、こちらから読みました
おすすめしてくれた知人に感謝します
特に印象に残ったことの一つは、夢をその見たイメージではなく言葉遊びともとれるようなシニフィアンから分析する態度です
ふつう夢は見たままの印象から意味を推察することで語られることが多いと思いますが、イメージよりもむしろ言葉のほうが本質だというのは新しい視点でした
まあ個人の実感としてはよほど象徴的な夢でない限り、イメージにもちゃんと意味があるとは思います
でもたまになんだこの夢って夢も見るので参考にしようと思います -
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精神分析とは一体何なのか?何が特徴的なのか?他とどう違うのか?ということをくっきり認識できるだけでなく、ラカンのロジックにざっくり触れてもらえることで精神分析がなぜその手法をとるのか、なぜ自分の生き辛さが発生するのか等考えることができる良書だった。話の筋が追いやすく、分かりやすく、しっかりと導いてくれる感があって大変読みやすかった。勿論ラカンの理論が完全に正解で、ここで述べられていることが全て正しくて、ここに書かれていることをベースに人生が全て理解できる、ということではないだろうが、それでも自分の人生や、自分のどうしようもない生きた軌跡や行為に対して、ひとつの見方をもたらし、同時に他人の生に関
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■評価
★★★★☆
■感想
◯精神分析は時間がかかるやり方であるし、自分で答えを見つけ出さないといけない。先生は話は聞いてくれて、たまに気付きや斜め上に発送を飛ばせそうな言葉に対してのヒントをくれるのみというのが新鮮だった。答えを求めていっても、答えは教えてくれない。自分自身の葛藤の中で見つけなければいけないというのが一番の収穫だった。そのために精神科医は傾聴力、賛成も否定もしないで耐えて聞くということが重要ということなので、ストレスがすごい職業だなと思った。
◯《もの》の体験によって享楽を得ることができるが、初めての体験が最高で、それを追い求めるけど到達できないという話があった。これはわ -
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抑圧された無意識=自己の特異性への気付きを引き出す精神分析 難しいが、恐らく類書の中では、かなりわかりやすく書かれているのであろう。
フロイトやラカンの理論が正しいかどうかについては正直懐疑的だが…
まず、?精神医学、?臨床心理額、?精神分析と3種類ある。
?は医師が保険診療で行う。?は教育学部、カウンセリング、治療でなく援助。?は「健康」という概念がないもの。時間、お金、心理的負担がかかる。無意識の中にある「抑圧されたもの」を、思い浮かんだまま選択を加えずに言葉にする(自由連想)。分析主体は患者であり、分析家は意味を持った解釈をして患者を支配してはならず、共感や理解はご法度。
イメージの領 -
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今回はジャックラカンの精神分析の入門書を読んでみました。
面白いには面白かったのですが、あとは実際に精神分析を受けてみないと何とも言えないなというのが正直なところでした。残念ながら精神分析はそう簡単には受けられなそうですが。
読んだまとめ
・精神分析が無意識を重要視する、というのは仏教における阿頼耶識とも通じる。
仏教では修行により阿頼耶識にアクセスするが、精神分析は分析者という他者を通じて無意識にアクセスする。
しかも、あくまで言語を通じて、言語を超えた領域である無意識にアクセスしようとするというのが面白い。禅問答も似たような発想?
・いたずらな共感は患者の特異性(決して他者とは共有で -
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ネタバレ評判の高さを知り、単行本を買うかどうか迷っていたら文庫化した。
ソシュールとかを無駄に引き合いに出さない本。
偉い。
そして丁寧。
精神分析や現代思想にカブレていた十代。
ラカンはド真ん中だった。
何かの答えがあると思って。
中年になり再入門して、作者の所謂「居直り」をしているところだと気付く。
「シン・エヴァ」でさようならしたからかも。
人生の折り合い。
無限に先送りされる欲望。
永遠に遠ざかる風景。
遠い座敷。
仄めかし。
水で書いた名前はすでに蒸発した。
砂に書いた名前はすでに波でさらわれた。
シーツに遺された残り香。
熱で魘されていると、聞こえる何か。
何者かが、いや隣室で両親が、語ら -
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とかく難解と言われるラカンの理論を前期ラカン中心に述べているが、著者が精神分析を実際に受けていることもあり、思想家としてのラカンよりも臨床家としてのラカンを意識して描かれている。
ラカン派のポイントは「世界の認識の仕方」と「人間の理解の仕方」にあると感じた。前者については想像界、象徴界、現実界の理解に収斂しており、現代思想にある程度親しみがあれば比較的理解しやすいと感じた。
問題は後者である。一朝一夕で理解できるものでないのは当然だが、非常に難解である。一つには、本書で解説されるエディプス・コンプレックスが60年代までのもので、なにぶん古いこともあるだろう。とはいえこれ以上易しい解説もない