永田豊隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ精神疾患等をもつ妻と共に歩む人生を、夫の立場から綴られている闘病記。
結婚式の誓いの言葉である「病める時も健やかなる時も」の体現。陳腐な言葉で申し訳なくなるが、かなり凄まじい。
「妻は20年間、『緩慢な自殺』を試みていたのだろうか。否。必死で生きようとしていたのだ。」
筆者である夫の感情は、直接的にはそう多く語られていない。だが、こう思えるまで、どれだけのしんどい思いをしたのだろうと想像する。
果たして、これらのエピソードは他人事だろうか。病気、障害、それらがなくとも長生きをすれば、介護。もし自分が、もしくは配偶者が同じような状況になったとき、わたしは著者と同じように配偶者の隣を歩けるだろう -
Posted by ブクログ
精神科病棟で働いていたことがあります。この本を読んで、当時のことを思い出しました
この本に書かれている病気について、ほぼ全てかかわってきました
治療には、家族、もしくはキーパーソンの存在が何よりも大切なのですが、その存在の方が疲弊してしまい、家庭が崩壊してしまう事例を何度も見てきました
そして、同じ医療従事者からの差別と偏見
精神障害がある、精神科受診歴があるってだけで、一般科でなかなか受け入れてもらえないこと、何度も経験しています。その度にやりきれない気持ちになりましたが、今でもあまり変わっていないのですね
自傷行為を繰り返す人は、本当は生きていたいのです。死にたくなるほど、生きていたいこと -
Posted by ブクログ
壮絶な闘いの記録に圧倒された。
貧困、虐待などの「見えにくい」問題に起因する「見えにくい」精神疾患は、周囲や社会の偏見の目に晒され、さらに「隠すべきもの」として見えにくくされてしまう現状が記されていた。
自分にもアルコール依存症を患っている知人がいるので、その人はもしかしたら「快楽におぼれていた」わけではなくて「苦痛を緩和」したかったのではないか、甘えやだらしなさで歯なくて、根本的なその苦痛の原因はなんだったのかまで当時は考えが至らなかったし、周囲は「イネイブリング」をしてしまっていたのではないかと今更ながら思ってしまう。
逃げてしまいたくなるような終わらない辛さに直面し続けながらも、闘い抜い -
Posted by ブクログ
【315冊目】朝日新聞記者が、奥様の精神障害とどのように寄り添ってきたか記したエッセイ。
概要や装丁の雰囲気から、重苦しくて読み進められないことを心配していましたが杞憂でした。さすがは記者さんと言うべきか、文章は読みやすく、また、1ページに収まる文字数も少なめで、スイスイ読めてしまいました。
では、内容が予想よりも軽かったのかというと全くの逆で、まさに「壮絶」のひとこと。
摂食障害→幼少期の虐待判明→治療中に知人男性から性加害→解離性障害→アルコール依存症→旦那さんの適応障害→水中毒→アルコールの影響による認知症…
次から次へと押し寄せる難題の嵐に、読んでいるだけでめまいがするよ