末並俊司のレビュー一覧

  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    山谷という地区について、全く想像していなかった視点から描かれていて新鮮。一気に読ませる本なのだが、しばらくすると、何とも云えない悲哀に襲われる。限界まで堕ちることで差し伸べられる手。コミュニティの在り方、プライドと支援、公共と私、ありとあらゆる「生きること」に関わる問題を突きつけられる一冊。

    それにしても、本当に、色々な人がいるのだ。だから、世界が成り立ってる。

    0
    2024年04月27日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    帯のノンフィクション大賞選考委員3名の選評どおり。「山谷の特異な寛容性を見事に描ききっ」ているように感じられた。山谷の福祉の今について知ることができる良質なレポート。

    0
    2022年11月30日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    東京のドヤ街・山谷をテーマにしたルポ。お目にかかったことのある方々がけっこう
    出てくる。
    狂言回し的な人物は、かつてホームレスや行き場所・居場所のない人のためのホスピ
    スとして「きぼうのいえ」を立ち上げ施設長を務めていた山本雅基さん。その山本さ
    んが、いまでは統合失調症をかかえ生活保護を受け、山谷のアパートでケアを受けな
    がら暮らしているというドラマチックな幕開け。雅基さんの志ひとつと妻・美恵さん
    の支え、二人の出会いのケミストリーでできたような「きぼうのいえ」だが、美恵さ
    んは出奔し、もともと不安定ぎみだった精神面に拍車がかかったこともあって、雅基
    さんは「きぼうのいえ」の要職を外れいまに至

    0
    2022年09月14日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    小生も一度所用があり山谷に行ったことがある。いつの頃か忘れたが三、四十年前の昼頃駅から歩くうち、あっ此処が山谷なんだと気がついた通りには歩く人は殆ど無い。職業安定所に近づいた時路上で酒を飲んでいる人達が居た。多分今日の仕事にあぶれた人達なのだろうと思った事があった。今となってそんな体験を本書を読んで思い出した。

    0
    2022年05月29日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    衝撃的なノンフィクション作品。東京・山谷のドヤ街で民間ホスピス施設を経営していた夫婦の物語。主人公の人生はある意味スキャンダラスでもある、それがかえって不器用ながらも真摯に生きてきた証なのかもしれない。

    主人公である山本の生き様を描くことで、山谷という街の移り変わりを、生活保護や福祉活動における実態が伝わってくる。著者と取材対象者、そしてテーマが必然的に巡り合った稀有なノンフィクション作品だと思う。

    0
    2023年12月21日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    路上生活者の最期を看取る「きぼうのいえ」設立。“山谷のシンドラー”として持ち上げられたその人のその後。妻の失踪、統合失調症の発症、理事長解任、生活保護の受給。支援する方からされる方へ。谷底へ落ちる手前で受け止めてくれたのもその街。…日雇い労働者が集まる”寄せ場”。簡易宿泊所が立ち並ぶ”ドヤ街”。山谷という地名は今はなく通称のみ残る。台東区の北東部、南千住駅から徒歩7分。北の玄関口上野からもさほど遠くない。散歩にふさわしい街かどうかは知らない。ただ、ここで繰り広げられている物語は案外身近なものだと認識する。

    0
    2023年05月07日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    山本雅基さんのことは、朝日新聞の記事で知っていた。なぜ、福祉の担い手から受け手になったのか、驚きながら読み始めた。
    精神面の弱さをかかえなから、奥さんと二人で
    進んでいったことに心を打たれた。ひたむきな純粋さで周囲が見えなくなったのだろうか?
    山谷の地域ケアシステム、素晴らしい。純粋なボランティア精神をもった人が集まっているのだろう。

    0
    2023年04月10日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    一人の熱い想い行動が山谷という地域を支えていく。様々な弱みを持つ人を支えることはとても大変だと思う。
    しかし、山本さんにも弱さがあった。それを補うために勢力的になっていたところもある。

    制度だけでは支えられないこともあり、人それぞれのオーダーメイドをどう実践していくのか。
    難しい!

    0
    2023年04月03日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    少し気持ちが暖かくなると同時に何処か、虚しい、寂しいけど気持ちになった。福祉の難しさ、家族とは?、対人援助とは?考えさせられる。ルポとしては、素晴らしい!

    0
    2022年12月30日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    山谷でホームレス労働者(元労働者)を助けるNPO「きぼうのいえ」を夫婦で創設し、その後、妻は書き置きを残して失踪し、夫は、アル中や統合失調症などで、理事の座を追われた山本夫妻を描くルポ
    抑えた筆致が心にしみる。

    0
    2022年11月15日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    小学館ノンフィクション大賞受賞作。
    山谷、という場所は、私にとって遠くもないが近くもない場所である。
    その物騒なイメージとともに、どこか下町のあたたかみのようなものも感じられる不思議な場所だ。
    そこにボランティアや支援がどうやって根付いていったのかを、一人の男の数奇な運命とともに辿る。
    純粋で、まっすぐで、でもどこか壊れている……そんな男がつくった、いやそんな男でなければつくれなかったのかもしれない、ある意味「奇跡のような場所」が、山谷なのだろう。
    ここに出てくる、他人の幸せをとことん考え抜く支援の方たちには、ほんとうに頭が下がる思いである。

    0
    2022年11月08日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    山谷の共助・互助の仕組みと施設を立ち上げた主人公その人が、愛情と、その元になっているかと思われるような病的気質と不遇・不器用さ。具現化のパワーは発想の自由さと執着、拘り。全残スマートでも格好良くもなく、現状は幸福でもない。意外性が興味深かった。

    0
    2022年09月20日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    たまたま障害者界隈のノンフィクションが続いた
    不思議な本だ

    きぼうのいえすごいという本でもなく
    山本夫妻すごいという本でもなく
    山谷のシステムが紹介されるけれどもそれがすごいという本でもない

    山本夫妻という不完全なところのある(みんなそうだ)人間が、がんばって衝動的とも言えるエネルギーで作ったきぼうのいえ

    その不完全さや夫妻がいなくなってしまったこと、きぼうのいえのシステムは残っていることになんだか映画的とも感じる感動があった

    予定調和でない物語の面白さというか

    妻が出ていったことも、夫妻やきぼうのいえを取り巻く状況が丹念に取材されることでなんとなく納得がいく

    筆致は全く違うが、静

    0
    2022年08月20日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    民間ホスピス「きぼうのいえ」を創設した山本雅基さん夫妻の活動を中心に、「きぼうのいえ」創設の経緯、活動、山谷ならではの地域福祉活動などを描いたノンフィクション。
    統合失調症を主とした精神疾患が影響し、「きぼうのいえ」の活動からは退からざるをえませんでしたが、山本さんの人生そのものが山谷にあったのだなと思います。そして、美恵さんの葛藤。最後の美恵さんのインタビューから山本さんや「きぼうのいえ」に対する思いが伝わってきました。
    「ファミレス(ファミリーレス)」が問題になるという彼の考えにも納得 

    0
    2022年06月23日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    民間ホスピス【きぼうのいえ】を創設した山本さん夫婦の活動を中心に描いたノンフィクション。山本さんが精神疾患の影響で活動ができなくなるという思いもよらない展開が待っていた。

    0
    2025年06月11日
  • マイホーム山谷

    Posted by ブクログ

    山本さんの波瀾万丈な人生をスキャンダラスに綴った読み物かと思いきや、彼の生き様を通して山谷の独自のケアシステムを分かりやすく紹介した、社会性のある丁寧で誠実なルポで、色々と考えさせられた。

    0
    2023年01月07日