末並俊司のレビュー一覧
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東京のドヤ街・山谷をテーマにしたルポ。お目にかかったことのある方々がけっこう
出てくる。
狂言回し的な人物は、かつてホームレスや行き場所・居場所のない人のためのホスピ
スとして「きぼうのいえ」を立ち上げ施設長を務めていた山本雅基さん。その山本さ
んが、いまでは統合失調症をかかえ生活保護を受け、山谷のアパートでケアを受けな
がら暮らしているというドラマチックな幕開け。雅基さんの志ひとつと妻・美恵さん
の支え、二人の出会いのケミストリーでできたような「きぼうのいえ」だが、美恵さ
んは出奔し、もともと不安定ぎみだった精神面に拍車がかかったこともあって、雅基
さんは「きぼうのいえ」の要職を外れいまに至 -
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小学館ノンフィクション大賞受賞作。
山谷、という場所は、私にとって遠くもないが近くもない場所である。
その物騒なイメージとともに、どこか下町のあたたかみのようなものも感じられる不思議な場所だ。
そこにボランティアや支援がどうやって根付いていったのかを、一人の男の数奇な運命とともに辿る。
純粋で、まっすぐで、でもどこか壊れている……そんな男がつくった、いやそんな男でなければつくれなかったのかもしれない、ある意味「奇跡のような場所」が、山谷なのだろう。
ここに出てくる、他人の幸せをとことん考え抜く支援の方たちには、ほんとうに頭が下がる思いである。 -
Posted by ブクログ
たまたま障害者界隈のノンフィクションが続いた
不思議な本だ
きぼうのいえすごいという本でもなく
山本夫妻すごいという本でもなく
山谷のシステムが紹介されるけれどもそれがすごいという本でもない
山本夫妻という不完全なところのある(みんなそうだ)人間が、がんばって衝動的とも言えるエネルギーで作ったきぼうのいえ
その不完全さや夫妻がいなくなってしまったこと、きぼうのいえのシステムは残っていることになんだか映画的とも感じる感動があった
予定調和でない物語の面白さというか
妻が出ていったことも、夫妻やきぼうのいえを取り巻く状況が丹念に取材されることでなんとなく納得がいく
筆致は全く違うが、静