岡瑞起のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『AI時代に頭がよくなる人 悪くなる人』
岡瑞起、日経BP
最近読んだAI本の中で、最も納得感と共感があり、これからどう生きるかの指針になった本。
AIの進化はもう止められない。その一方で、AIには暗黒面もあり、社会問題を引き起こしたり、大きな社会変革をもたらしたりすることも避けられない。本書は、そうした現実に向き合いながら、普通の人がAI社会をどう生きていけばいいのかを、わかりやすく示している。
いくつも示唆に富む視点があったが、ここでは特に印象に残った3つを挙げたい。
一つ目は、AI時代になっても人間の学びの本質は変わらないということ。
AIは圧倒的な速さで情報を処理し、多くの領域で人間を上回っていく。しかし、人間の学びは、体験すること、考えること、人と対話することから生まれる。テクノロジーがどれだけ発展しても、この基本は揺るがない。
二つ目は、「オープンエンドネス」。ゴールを決めず、面白そうなことを次々と探っていくという考え方だ。
そもそも生物の進化にも目標はなかった。人間になろうと思って進化した生物はいない。人生も同じで、何か一つのゴールに向かって進むだけのものではない。目標を達成しても、また次の目標が生まれる。そう考えれば、人生そのものが終わりなき探索なのだと思う。
三つ目は、「イノベーションは辺境から生まれる」という話。
日本はAI開発競争を先導するアメリカや中国とは違う位置にいる。しかし、その違いは必ずしも不利ではない。ドラえもんや鉄腕アトムのような独自のAI観を生み出してきた日本だからこそ、別の価値観を提示できる可能性もある。
本書では、今日から実践できる5つのことも紹介されている。
・「面白い」を言葉にする
・「その後どうなった?」と聞く
・自分の意見を一つだけ言ってみる
・AIに聞く前に、まず自分で考える
・うまくいかなかったことを共有する
結局のところ、AI時代だからといって、特別な能力を身につけなければならないわけではないのかもしれない。
今、自分が面白いと思うことに夢中になる。自分で考える。そして、それを言葉にする。
AIを使いながらも、自分自身の「面白い」や「なぜ?」を手放さない。そんなふうに生きていこう、という本なのだと思った。 -
Posted by ブクログ
あるところで話題になっていたので手に入れて読んでみた。
もう少し衝撃的な内容かと勝手に思っていた割にはオーソドックスというか、安心して読めた気がする。元々そうなのかなと漠然と思っていたことに確信というかお墨付きをもらえたように感じた点が多い。実際にこれからどう変化していくかわからない面も多いが、これまでの延長線ではものごとが考えられないことも増える(一方何も変わらないことも)のかなと思う。切り口や粒度、レベルは様々なのだろうが、分断が進むことは突きつけられているのだろう。そういう意味で本書のタイトルも2種類の人のいずれになるかという意味でやはり分断ということを示している。さらっとしか触れらていなかったが、私の本業である教育が最も大きな影響を受ける(既に生成AIの普及後現場では直面している具体的な課題も多いが)のだろうということを再認識させられて、それへの対処を含めて新しいことを考えるのは楽しみということと間もなく引退してこれからますます大変になるであろう教育の現場から離れられることの安堵が同居しているというのが正直なところではある。 -
Posted by ブクログ
生成AIからより精度の高いアウトプットを引き出すためのプロンプトの書き方を、具体的な事例を交えて紹介しているところが良かった。実際に明日から活かせそうなプロンプトパターンが紹介されており、参考になった。
プロンプトエンジニアリングは「1回の対話を上手にする技術」だけれど、プロセス全体を構造化・しくみ化する場合には、APIの活用が不可欠になりそうなこともなんとなく理解できた。
生成AIはあくまで文脈から次に来る単語を予測することを繰り返しているだけで、そこに感情や意志があるわけではない、ということはサラッとしか書いていなかったけれど、ようよう心に留めておく必要があると思った。AIとはうまく付き合っていきたい。 -
Posted by ブクログ
数年前、世界中を驚きの渦に巻き込んだ生成AI。本書は、「いまさら聞けない」生成AIの言語処理の仕組みや学習方法をわかりやすく解説するとともに、タイトルどおり、その可能性を最大限に引き出すためのプロンプトパターンを体系的に紹介しています。
生成AIは「万能の知能」ではなく、あくまで確率的な言語予測エンジンです。その特性を正しく理解することが、活用力を大きく左右します。
本書では、AIの能力を引き出すために必要な視点として、次の5つを挙げています。
文脈を与える
制約を与える
役割を与える
推論させる
検証させる
こうした「問い」と「指示」の設計力こそが、AI時代に求められる本質的なスキルであると説いています。
さらに、具体的なプロンプトの検証例も豊富に掲載。理論だけでなく実践に直結する内容で、読んだその瞬間から生成AIの活用効果を高められる、実用性の高い一冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ目標は、本当に探索を導くのか
本書が問うているのは、目標を持つことの是非ではない。むしろ、現在設定している目標や評価基準が、未来においても価値を測る正しい物差しであり続けるという前提こそが「幻想」なのではないか、と読める。
目標を設定すると、探索は効率的になる。しかし同時に、その目標から外れたものを「失敗」「無駄」として捨ててしまう。ところが、未知の価値は、現在の評価関数では価値がないように見える場所から現れることがある。
「進化する」と「良くなる」は同じではない
本書の自然進化に関する議論を読みながら、「進化」という言葉そのものにも注意が必要だと感じた。進化には、あらかじめ定められた「より良い状態」があるわけではない。環境との相互作用の中で、ある形が残り、別の形が消えていく。
つまり、進化したことと、良くなったことは同義ではない。「良い」という評価には、必ず何らかの観点が入り込む。観点が変われば、同じ現象の意味も評価も変わる。
発見とは、既存のものに新しい意味を与えることかもしれない
本書で扱われる発明や創造の事例を考えると、まったく何もないところから新しいものを作るというより、既に存在していたものを別の文脈に置き直すことで価値が発見される場合がある。
電子レンジも、付箋も、既存の現象や技術そのものが突然変わったわけではない。変わったのは、それを見る観点と、それを結びつける文脈だった。
同じ現象でも、ある文脈では事故になり、別の文脈では発明になる。ここに「意味」の生成がある。
「試してみることに失敗はない」の意味
この考え方は、以前読んだ『仕事は楽しいかね?』の「試してみることに失敗はない」という言葉ともつながった。
もちろん、現実には損失も事故も失敗もある。ただ、当初の目標と一致しなかった結果を、その時点で「失敗」と確定してしまう必要はない。
結果を観察し、「これは何なのか」「この結果から何が見えるのか」と問い直せば、それは次の探索への足場になる。失敗を成功に読み替えるという精神論ではなく、評価のタイミングを後ろにずらす発想である。
AIは何を探索しているのか
本書をAIの観点から読むと、さらに興味深い。執筆当時のAI研究には、与えられた目的関数に対して、より良いアルゴリズムや解を探索するという発想が強くあった。本書は、そこに「そもそも目的関数を固定してよいのか」という問いを突きつける。
現在の生成AIやAIエージェントは当時とは大きく異なる。しかし、「何を探索するのか」「何を良いと評価するのか」「何を捨てるのか」という問題は残っている。
AIは評価関数を与えられれば、それを使って驚くほど高度な探索ができる。一方で、その評価関数そのものを誰が、どのような観点から生み出すのかという問題は別に残る。
オープンエンドネスとは、目標がないことではない
ここまで考えると、オープンエンドネスを「目標を持たないこと」と理解するのは少し違うと思う。
局所的な目標は持ってよい。目の前の問題を解いてもよい。ただ、その結果によって問題そのものの見え方が変わり、新しい問いが生まれる余地を閉じない。
問題を解く。
結果を見る。
解釈を変える。
新しい問題を発見する。
そして、また探索する。
この循環そのものがオープンエンドな探索なのだろう。
「目標という幻想」が残したもの
本書を読み終えて、目標を捨てようとは思わなかった。むしろ、目標を「暫定的な評価軸」として扱う必要があると感じた。
私たちは、現在の目標を未来の価値を測る物差しだと思い込みやすい。しかし未知のものを探索するなら、その物差し自体が変わる可能性を残しておかなければならない。
目標が幻想なのではない。現在の目標が、未来の価値まで正しく表現していると思い込むことが幻想なのだ。
そしてこの視点に立つと、「考える」とは答えを出すことだけではなく、何を問題とし、何を価値あるものとして見るのか、その観点そのものを更新し続けることなのだと思う。 -
Posted by ブクログ
野心的な課題を解決するためには目標は不要だということを主張する本。
しかしながら短期的な実現可能性が高い目標については持つことはの有用性は説いており若干矛盾を感じる。
私としてはスティーブ・ジョブズの言うコネクティング・ドットの考え方の方がしっくりくる。
目標という概念にとらわれず、いろいろなものを試してそれを後から拾い上げてつなげる。それがこの本でも述べようとしていることではないだろうかと思った。
より遠くへ歩こうと試みたロボットよりも、新規性のある行動をただ繰り返して試みたロボットのほうが、より効果的に歩行を習得できたとか、迷路を攻略するのも、出口に近づこうとするよりも、新規性のある行動を繰り返す方が、迷路への出口を偶然発見する確率が高まったというのも興味深かった。
また、第11章の目標とAIの探究は興味深く読んだが、今から1年前のAIの状況を前提にした考察は、やはり現時点でAstralやFableが来ている世の中ではちょっと議論が追いついていない感じがする。
この著者による、今現時点でAGIとも呼ばれているAIを前提とした、議論を読みたいと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今や必要不可欠な存在ではあるけれど、知識不足でAIの強みを3割も引き出せていない気がしていて、勉強のために読んだ。実践的なヒントをたくさん得られた訳ではないけれど、こうしてコツコツ積み重ねていくしかないね!!
・ただ質問するだけでは、既製品から服を選んでいるようなもの。オーダーメイドの服を注文するには、それ相応のプロンプトがいる。
・普段はノリの良い人格で動いているので、慎重になってほしいときは「ステップバイステップで考えよう」と指示する。
・ペルソナXとして振る舞ってください。タスクYを実行してください。
・Xについて説明してください。私がペルソナY(Xの知識がない人、豊臣秀吉など)だと仮定してください。
・私が質問したときは、常に改善した質問を提案してください。