松城明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最初の短編が大賞候補らしく、確かに良くできている。
それ以降の短編は、それぞれが1作目の短編の世界を、新たなキャラを登場させながら補完するような出来となっている。
一応、短編として起承転結もあり、工学や建築学、心理学の定理などをとりこみ緻密なロジックを展開するあたりは最近の若い作者の特徴でよく出来ている。
一方で話が小さくて面白みに欠けるのが残念。
受賞作に絡めるために作られた短編で制限が多かったであろうから、今後の長編には期待できるが、ラプラス理論(決定論)一辺倒で話を進めるのは少しきついのでは?
作者は九大出身だが、最近九大出身の本格(系の)作家が増えたような気がする。嬉しい事だ。 -
Posted by ブクログ
前作があったとは知らず、表紙買いです。
かわいいけど残酷な表紙に心惹かれました。
現代ニーズの高いSNSを題材にした作品だからこそ、登場人物の心情に共感できる部分がありました。
SNSやインターネットを介して、無数の情報を得られる今。私たちは情報リテラシーを正しくもって生活していかなければならないなぁと思いました。
前作を知らなくても、読める内容ではありましたが、馴染みのないカタカナ言葉が多く、私自身理解しきれていない気がします…。悔しい…。
「観測者」「変革者」「傍観者」「追跡者」と視点が分かれており、最初はなんだろう…?となっていましたが、後半になるにつれて、理解が追いつきました。 -
Posted by ブクログ
女子大学院生が自宅の浴室で死亡しているのが発見された。
自殺と判断されたその事件の裏には、人間も機械と同様、適切な入力(情報)を与えれば、思い通りの出力(行動)をすると主張する謎の男・鬼界の存在があった。
他人を思い通りに操る事が出来る鬼界の目的はいったい何なのか?
人間を一つのシステムとし、適切な入力をすれば人を思うままに操れると考える男を黒幕とした連作短編集です。
実際、話術などで他人の行動をある程度コントロールすることは可能かと思うのですが、ここまで緻密に他人をコントロールできるというのは創作物ならではという気がして、知恵比べ・あるいは化かし合いのようなやり取りが楽しいです。
大勢