大月康弘のレビュー一覧

  • ヨーロッパ史 拡大と統合の力学

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    2024年12月27日、イスタンブールへ向かい機上にて、コンスタンティノープルやビザンツ史について学びを深めるために読んだ。
    本書で大月先生は、国民国家史ではなく、汎ヨーロッパ史として、ヨーロッパ社会の歴史を規定的に動かしてきた文化的伏流水について展望する。これは、本書でも引用される増田四郎先生の「事件」や「出来事」に関心を集中させることなく、人物や出来事の舞台となった社会の構造(プラットフォーム)にまで掘り下げて検討することの重要性を説いた歴史学の流れを継承するものである。
    余談ではあるが、今回、後半の章では、近代ヨーロッパの文化的素地や人間関係観について増田先生の中世都市論を再び引いている

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    2025年01月07日
  • ヨーロッパ史 拡大と統合の力学

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    題名から想像していた内容と大きく違いました。国別の歴史を俯瞰したヨーロッパの地域史だと思っていましたが、まさにもっと「大きな」歴史でした。何が起こったか?ではなくその時代の人間はどう感じていたか?で語るヨーロッパ史です。なぜ、ヨーロッパという意識が生まれたか?を解き明かそうとする著者のスタンスが感動的です。本書で何度も使われるキーワード「伏流水」という歴史的遺物や国別の歴史には現れない時代の潜在意識を掘り下げていきます。今もウクライナの戦争においても間見えるヨーロッパの究極形態としてのEUの西ヨーロッパ中心の視点ではなく、著者は専門のビザンツ帝国という視座から汎ヨーロッパという視野を拡げていき

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    2024年08月14日
  • ヨーロッパ史 拡大と統合の力学

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    ネタバレ

    話が結構面倒なので先に最後の章を読んでおいた方が楽かもしれない。2度読んだけど、行き先がわかっていたらもうちょっと読みやすかったかなあと。

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    2024年04月09日
  • ヨーロッパ史 拡大と統合の力学

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    タイトルからは雄大なヨーロッパ通史を想像するが、実際としてはビザンツ帝国やローマ帝国など帝国論に近い。
    しかし、当時の人々のアイデンティティなどに思いをはせる見方は面白い。

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    2024年12月22日
  • ヨーロッパ史 拡大と統合の力学

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    ヨーロッパ史を事件ではなく、意識や思想を基に拡大と統合の歴史を辿っていく。イエ経済から救済の摂理に進化したオイコノミヤや地中海経済から脱落し独自の経済を創造して主役に躍り出た西北ヨーロッパ(フランク)などを通して、少し難解な解説が繰り返される。
    特に白眉だったのはヨーロッパに根強く蔓延る週末観念。「紀元千年の恐怖」による世界の終わりが人々の意識に刷り込まれていて、自然災害、イスラム勢との戦い、レコンキスタ、大航海など人々の行動に影響を与えていた。

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    2024年11月03日